2015年5月15日
桐蔭学園/iPad・MDM・フィルタリング活用で進むICT教育
桐蔭学園中等教育学校と中学校男子部・中学校女子部は、ICT教育に関する授業公開とICTツール活用に関する説明会を8日に開催した。
説明会では、中学校男子部技術科の山口大輔教諭がタブレットや学習支援ツールの導入目的や検討ポイントなどについて解説した。
桐蔭学園は、横浜市青葉区にある幼稚園から大学・大学院までを抱える総合学園。創立50周年を迎え、中等教育学校と中学校男子部・中学校女子部では「アクティブラーニング」「キャリア教育」「個別学習支援」「ICT教育」「サイエンス教育」「グローバル教育」「芸術・文化教育」「保護者の方々との連携」を掲げたアジェンダ8を策定。その一環として個々の学力に応じた新しい学習指導をスタートした。
今年4月には、1年生約500名を対象にiPad Air2(Wi-Fi64Gバイト)を貸与のかたちで配布。教室では、電子黒板、Apple TVと生徒のiPadとを無線LANでつなぎ生徒の画面を黒板へ表示したり、生徒と教員間での画像・データ等の共有をしたりすることのできる環境を整えた。
山口教諭はiPadを選択した理由について、朝8時から午後3時までの間、バッテリー切れすることなく使える端末であることと、直感的な操作ができるため使い方を生徒に教える必要がないという点を挙げた。
授業等で使う学習支援ツールとしては、プレゼンテーション用ソフト「KeyNote」やドキュメント制作用ソフト「Pages」のほか、協働学習に活用できる「ロイロノート」などを使用している。
iPadや学習支援ツールの導入に際しては、教員によるICT教育委員会を設置し、生徒が安全に学習を行えるよう細心の注意を払った。
こうした活用において重要となるのが、セキュリティ・管理のためのツールの選定だが、アプリを効率よく確実に運用するためのMDMとして、アイキューブドシステムズが提供する「CLOMO」を採用。また、セキュリティ対策としては、デジタルアーツが提供する「i-FILTER」を導入した。
i-FILTER導入について山口教諭は、フィルタリング機能を利用することで、「安全に、必要な情報だけにアクセスできる環境を構築することができた」と語った。
授業では調べ学習をすることも多く、様々な情報源にアクセスできる環境が必要。しかし、無制限に検索結果が表示される環境ではそこから不適切な情報に触れる危険も増える。
生徒にiPadを貸与しWebサイトへアクセスできる環境が整ったのち、生徒たちのサイトへのアクセス数やフィルタリングでブロックされたWebページの状況を山口教諭が確認したところ、1日のアクセス数は1万5~6000件、うちブロックされたのは1割程度で、その大半は芸能ニュースだったことが分かったという。
山口教諭は、「芸能ニュースを見ること自体が悪いのではない。どの端末で見るのかが問題」だとし、間違った使い方をすることで生徒たちは何をしてはいけないかを学ぶはずで、そうした経験も教育の一つと考えていると述べた。
iPadの利用について、桐蔭学園では自宅への持ち帰りを認めている。家庭でも学校にいるのと同じように学習をすることができるため、日々の学習への習慣づけと着実な学習内容の定着を図れるようになるという。こうしたタブレットや学習支援ツールの活用を進め、今後も1人ひとりに対するきめ細かい学習指導を行っていくとしている。
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