2016年2月10日
ICT CONNECT 21が教職課程の大学生にICT教育を知ってもらう勉強会
教育現場でのICT活用が期待されたほど進んでいない。原因は様々あるが、そのひとつがICTを使いこなす教師が増えていないことだ。ICT経験の少ないベテラン教師たちにスキルアップを望むのは難しいとしても、若手の教師でさえICTスキルを身につけるのは簡単ではない。
学校現場に指導者が少ないのはもちろんのこと、大学の教職課程の学生でさえICT教育の実践に触れる機会がほとんどないのが実状だという。
ICT CONNECT 21の「教育現場発!ニーズをシーズへ」SWGは8日、ICTを活用できる若手教員を育成する取り組みの第1弾として、教職課程の大学生にICT教育を知ってもらう勉強会を、東京学芸大学 櫻井眞治教授の研究室ゼミ生10数名を対象に開催した。
講師は、多摩市立愛和小学校の松田孝校長と教師たち。
勉強会のねらいは、教職を志す学生にICT教育の一端に触れさせ、その効果とこれからのTechnologyを利用した教育・授業実践をめぐる議論を通して、ICT教育推進の担い手としての意欲を喚起する、というものだ。
最初にゼミ生のよる、5年生の国土理解の授業での視点や課題提示方法等についてのディスカッションが行われ、その後同じテーマで、上田教諭によるバーチャル地球儀ソフト「Google Earth(グーグルアース)」と授業支援アプリ「ロイロノート・スクール」を使った授業が行われた。
グループワークの、指定された日本各地の特徴ある地形をGoogle Earthで切り取る作業では、写真で映し出されている地上の風景の高度や方向、視点などを自在に操作して形や立体感が表現されることに驚愕。また、四国から北海道まで一気に視点移動する場面では、「おお~」「すご~い」と歓声が挙がる。
すかさず、松田校長から「Google Earthを使えるかどうかが、これからの社会科教師の基本だよ」と声が掛かった。
つづいて才記教諭による、授業支援アプリ「スクールタクト」を使った話し合いの授業。
上田教諭の授業への感想や意見を一人ひとりがスクールタクトに書き込み、それを全員で共有、つづいて他の人の感想に意見を書き込む。それぞれはPCに向き合ってキーボードに打ち込んでいるだけだが、スクールタクトの中では、活発なディスカッションが繰り広げられている。
声を出しての話し合いは、一度に何人も発言することは出来ないが、このディスカッションは、全員が同時に行うことが出来る。短い時間で濃縮された話し合いを可能にする。
スクールタクトを使った授業では、「教師がどう教えるかではなく、子どもたちがどう学ぶのかを組み立てる」と才記教諭は解説、こんなのはどうですかと「マッピング機能」を紹介した。
マッピングは、クラスの誰が誰にコメントしたかをビジュアル化したもので、子どもを表す「点」をコメントを表す「線」で結んだもの。「授業中の関係は、クラスの中の関係を反映することがあり、学級経営に活かすことも出来ます」と、才記教諭。
「もちろん、ICTの使い方としては、個々の使い方があってもいいわけで、視力の弱い子どもはタブレット持って黒板の近くまで来て写真撮って自席で確認するということもあります」と語ると、「へー、そんな使い方してもいいんだ」と学生から声が漏れた。
最後は、小林教諭による音楽制作アプリ「Garege Band」を使った音楽の授業。集中力のない荒れたクラスの担任となったときに「耳を澄ませて音を聞く」ことを授業で取り入れ、「Garege Band」を使って身の回りの様々な音をサンプリングして演奏に使うという授業を行い、クラスの統一を創出した経験談を披露。
学生たちも実際に自分の声をサンプリングして、大いに盛り上がり楽しんでいた。
提案授業後の学生たちのディスカッションでは。「実際にICTを活用している子どもの姿を見たことがないので・・・」、「できる子とできない子の格差は埋められるのか」、「答を全員で共有するが、見られたくない子はどうしたらいいのか」、「自分はパソコンが苦手なので心配」といった、不安や課題から「手を挙げたり発表したりは尻込みする子でも、書けば出るし、コメントが使われたら自信になるのでは」、「ICTを使うと興味や関心が引き出せそう」、「使わなければならないではなく、使えるときに使えばいいと聞いて気が楽になった」、「これまで表現できなかったものが表現できるのは素晴らしい」といった前向きなものまで様々な意見が出された。
全体として大いに盛り上がった勉強会となったが、時間不足のため学生たちの不安を払拭する講師たちとのディスカッションや具体的なスキルアップの方法の伝授まで辿り着けなかったのは残念だった。
ICT CONNECT 21の「教育現場発!ニーズをシーズへ」SWGは今後も、ICTを活用できる若手教員を育成する取り組みを続けて行くとしている。
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