2017年5月19日
iTeachers TV LIVE! 教育ICTの先駆者がICT活用の秘訣を公開
学校でのICT活用には、どのような方法や考え方があるのか? 先駆者たちのアイディアは大いに参考にしたいもの。
「第8回 教育ITソリューション EXPO(EDIX)」開催初日の17日。教育ITソリューション専門セミナーの1つ「iTeachers TV LIVE!教育ICTの先駆者が語る、ICT活用の秘訣とは?」の広い会場には多くの聴講者が詰めかけ、3名の教師によるICT活用事例が紹介された。
大阪大学 全学教育推進機構の岩居弘樹教授は、インドネシア語、トルコ語、ベトナム語を学習する「多言語演習」の実践事例を紹介。同授業は、留学生をアシスタントとして、彼らにそれぞれの母語を教育してもらうというもの。彼らはICTに関する知識をいっさい持っていないという。
ごく普通の語学授業で行うロールプレイに、iPadを使って音声認識アプリを利用し練習、ネイティブスピーカーの発音を記録して帰宅後も復習できるようにしている。毎時間必ずレビューのビデオ撮影をし、何を学習したのかポートフォリオを作成。そして最後に学習成果のビデオを撮影する。同授業で取り入れているICTは「音声認識」と「ビデオ」のみ。
留学生に来てもらうことで異質な集団での交流力を、グループ学習で自立的な活動力を、ICT機器で道具活用力を磨くことができる。これは21世紀型スキルだと今回はじめて気づいたという岩居教授。普通の小中学校などでも簡単に取り入れられる手法ではないかと紹介した。
担当教科が「英語」の同志社中学校・高等学校 反田任教諭は、英語を教科というよりコミュニケーションツールと捉え、そこにICTを取り入れることで効果的な学習ができると感じているという。
授業ではオンライン英会話も使用する。講師1人につき生徒3~4人を受け持つ体制で、反田教諭は講師と事前にすり合わせをしており、自身はこの時間は見回っている。自分の作った英文をネイティブの講師に投げかけてコメントをもらうことなどで、生徒のモチベーションが上がる効果が出たという。
また、SNSを使った学校間交流も紹介。生徒同士の学びとして、同校中学2年生と他校の高校2年生をSNSでつなげ、中学生の作成した英文を高校生がアドバイス。高校生の励ましが中学生の勉強意欲につながったという。実施には校長などの理解が必要だが、教師の姿勢で実現可能ではないかと紹介した。
これからの生徒はアクティブ・ラーナーにならないといけないが、教員もまたアクティブであるべき。それにはテクノロジーに目を向けてほしいと反田教諭。教員が使う必要はなくても生徒には重要だとメッセージを贈った。
広尾学園中学校・高等学校の金子暁副校長は、学校になぜICT環境が必要か、その答えを広尾学園の改革の取り組みとともに、「教育活動」のためと明言した。
ICT環境の考え方のベースは、校内どこでもWi-Fiがつながること、生徒が1人ずつ情報機器をもっていること。そのうえに何を作り出していくか。ICT活用=授業と捉えがちだが、多くの活動があるなかで「授業がすべてではない」という発想でいないと、せっかくのICT環境も本当の意味で活かすことができないという。
日本の病院とまったく同じレベルで病理診断を行っているという、同校の「病理診断コース」の事例をもとに、こうしたハイレベルな授業ができるのは、生徒が日常的に研究活動をしているからであり、それを成立させているのがICT環境だと解説。
今までの教育活動は受験勉強と部活が主流だったが、これからはそれに加えて、研究活動やインターンシップ、翻訳活動(社会貢献)、それ以外の活動も含まれてくる。古い意味での文武両道をはるかに超えた教育活動が広まっていくし、それらを提供するのが学校の役割になると思うと金子副校長。
教育観や学校の役割を考え直さざるを得ない状況になってきているいま、学校にとって一番大切なのは「生徒のモチベーション」に尽きる。そこには「豊かな教育活動」の実現が必要で、そのベースには「ICT」が不可欠だと締めくくった。
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