2017年7月5日
マイクラで「遊びじゃない!」ガッツリハードなプログラミングキャンプ
プログラミング学習のツールには様々あるが、いわゆる「子どもたちの食いつきがいい」のは、マインクラフトを使ったものだ。『Minecraft』(マインクラフト)は、ブロックを地面や空中に配置し、自由な形の建造物等を作っていくゲームで、PCやスマートフォン、PlayStationをはじめとした様々なゲーム機でプレイできることから、子どもたちの人気は絶大である。
基本がゲームということで、大人たちからは「ゲームでプログラミング学習?遊びじゃないの」と、懐疑的に捉えられてしまうことも多い。
そんなマインクラフトを使ったガッツリ系のプログラムキャンプをやるというので訪ねたみた。場所は、池袋駅に隣接する書店のイベント会場。小学1年生から中学2年生まで、20数名がPCに向かって準備をしていた。周りをぎっしり保護者が取り囲んでいる。
このプログラミングキャンプを主催しているのは、学研プラスが運営するGakken Tech Program。はじめに挨拶した佐久裕昭塾長は、プログラミングキャンプに参加する上で大切なこととして「怖がらずにやってみること」、「どんどん失敗すること」、「目標に届かなくても、なぜ失敗したか、なぜ成功したかを考えることが大切」と3つの心構えを伝授。
塾長の号令にあわせて、「Let’s Programming!」のかけ声をあげてスタートした。
このプログラミングキャンプのどこが「ガッツリハード」なのかというと、小1~中2の参加者全員が分厚い3冊のテキストを参考に、キーボードでアルファベットのコードを打ち込んでプログラミングするのだ。小学校低学年では、キーボードを経験したことのない子どももいて、講師たちはそこからフォローしなければならない。
20数名の参加者に対して、講師は11名。小学校低学年のグループには、ほぼマンツーマンになるよう配置され、丁寧にサポートしている。
一方の高学年~中学生グループでは、講師がはじめに「まずちゃんと教科書を読みなさい。すべて教科書にかかれているから、その通りにやれば先へ進めるはず」ときっぱり宣言する。さっと見てざっくりやってみる。といったいい加減な取り組みは許されない。一つ一つ積み上げて実行に辿り着く、まさにプログラミング的な取り組みを行っている。
この「ガッツリハード」な学びを支えているのが、Gakken Tech Programが、このプログラミングキャンプ用に作成したオリジナルテキスト(教科書と呼んでいる)である。このテキストには、参考書や児童書を作ってきた学研の編集ノウハウが詰まっており、はじめてでも、プログラミングの楽しさを知って、問題が解決できるようになるステップアップ方式を採用している。
LESSON 1~LESSON 3の各章はいくつかのパートにわかれており、そこをクリアする毎に講師からスタンプがもらえる。「先生できました!」と、誇らしげに子どもが手を挙げると、先生が「やったね」と褒めながらスタンプを押す。学びの現場に見られる、微笑ましい風景である。
一方、躓いて立ち止まっている子どももいる。そんな子には、「ここは、次のステップで大切なところだから、ちょっと頑張ってやってみようね」と励ましながら、1歩1歩進めていく。
中には、「ここ、同じこと5回もやったら面倒だと思わない?」「思わない」「ここは思って欲しい所なんだけどなぁ」「思わない」というやりとりになってしまうこともある。そんな時は、無理矢理押し付けたりしないで、さり気なく「こんな感じね」と、繰り返しのコードを書き加えてあげる。次からは、思わなかった子も、繰り返しのコードを自然に使い出す。
さて、このプログラミングキャンプは、午前11時にスタートして昼食をはさんで午後6時まで7時間続く。もちろん途中15分程度の休憩を何度かとりながら進行するのだが、子どもたちはまったく飽きることなく集中力を維持し続ける。
LESSON 3までくると、テキストの通り入力するだけで無く、自分で動きを決め、それを言葉で書き出し、更にコードに変換するという作業が加わってくる。コードの構文も長くなってくるのでミスも出始める。
「だめだ~、動かない」、「なんだこれ~」といった声がこぼれる一方で、「ああ、“l”(エル)と“i”(アイ)間違えた~」とか、「スペース入れちゃった」といった、デバッグ作業を行う声も聞かれ始める。
午後4時を過ぎるあたりから、高学年ではLESSON 3の課題をクリアする子が現れはじめる。クリアした子は、別の課題にチャレンジしたり、自分でオリジナル作品を作り始めたりする。課題の縛りから解放されたからか、表情は一気に笑顔に溢れる。
午後5時、課題作成の締切。LESSON 1~2ではやや遅れも見られていた低学年生たち。最後までできたのか不安になったが、杞憂だった。全員が課題をクリアし、グループプレゼンを経て、グループの代表が保護者を含めた全員のまでプレゼンを行う。
マイクラの代表的キャラクターの一つである「クリーパー」を自動で作成する、という課題に対して、奥行きを出したり、数を増やしたり、透明にしたり・・・様々な工夫が加えられていた。プレゼンターとなった子どもたちは、自分が工夫した点や、苦労したところ、次にチャレンジしたいことなどを発表して、大きな拍手を受けていた。
最後に佐久塾長が「みんな、きょうのプログラミング楽しかったか~い」と質問すると、全員から「楽しかった~」と言う返事。加えて「もっとやりた~い」「帰りたくな~い」という声が湧き上がっていた。
■Gakken Tech Programサマーキャンプ2017「マインクラフトでプログラミング入門1DAY」他が、夏休み中に開催されます。
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