2018年3月27日
近畿大学とSBI生命、AI活用したがんゲノム医療の体制を構築
SBI生命保険と近畿大学は26日、AIを活用したがん遺伝子パネル検査に基づき、患者に最適な抗がん剤治療法を提示する体制を構築したと発表した。
がん遺伝子パネル検査は、患者一人ひとりの微小ながん組織または血液から遺伝子情報を解析して、患者に最適な治療法を診断するもので、がんの標準治療が効かなくなったり使用できる薬がなくなったりした場合でも、効果が期待できる薬物治療を見つけられる可能性があるといわれる。
近畿大学医学部ゲノム生物学教室では、「近大クリニカルシークエンス」プロジェクトとしてがん遺伝子パネル検査に取り組み、これまでに1000件以上のがん組織サンプルの遺伝子解析を実施してきたという。
同プロジェクトにAI (コグニティブ・コンピューティング・システム) の技術を取り入れることで、電子化された2000万を超える論文情報をはじめ、がん腫瘍部分の遺伝子変異や生命のメカニズムに関するAIの膨大な知識情報を活用し、患者一人ひとりに適した抗がん剤とその標的となる遺伝子を解析する。経験豊富な遺伝子解析の現場の医師と、情報処理能力と作業時間の効率化というメリットを持つAIが連携することで、より最適ながんゲノム医療の提供体制を構築していく。
今年夏から、近畿大学医学部附属病院で治療中の患者を対象に、実施可能性を問う研究を先行実施し、SBI生命は研究にかかる費用を支援することで、新たな保険商品の開発に向けた研究を開始する。
SBI生命は、個人が特定されないよう匿名化された情報のうち、検査を実施したがん種、年代、性別などの情報、および、遺伝子解析などの費用や検査所要日数の情報のみを受け取り、患者個人の機微情報、がん遺伝子解析結果や診断結果の情報は一切受け取らないとしている。
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