2019年8月2日
近大附属小、独自の放課後学習が『すらら』と抜群の相性
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教員の労働環境改善とICT
社会問題として顕在化して久しい、教員の労働環境。授業、授業準備・研究、保護者対応、部活動、テスト作成、採点、雑務……次から次へと押し寄せてくる終わりの見えない業務に、心身を疲弊させていく教員が後を絶たない。厚生労働省が2018年に実施した調査によると、教員の約80.7%が「業務にストレスや悩みがある」と回答を寄せ、そのうち43.4%が具体的内容として「長時間勤務」を挙げている。
いわゆる“働き方改革”が急務であり、国も対策に乗り出しているが、追いついていないのが現状だ。現時点では実質上、各校の自助努力に頼る部分が大きくなっている。
他方でそれを希望的に見るならば、学校の組織だった対策しだいで改善はある程度可能という意味でもあり、そこにICTの果たす役割は大きい。ICT化することで、「時短」ができる業務は決して少なくないからだ。
担任業務とゼミ指導の両立に難しさ
近畿大学附属小学校(奈良県)も、ICTを用いた教員の業務負担軽減に熱心な学校のひとつだ。
同校といえば、系列の附属中高が全国でも指折りの教育ICT先進校として有名だが、その牽引者であり、ICT教育推進室長、教頭、校長代行を歴任してきた森田哲教諭が、2017年度より小学校校長に就任。教員の業務環境改善も視野にした、包括的な教育ICT導入を進めてきた。
特に教員の負担軽減という点で見ると、当時とりわけ早急な対策を必要としていたのが『近小ゼミ』と呼ばれる放課後学習である。同ゼミは、4~6年生が対象。系列の近畿大学附属中学進学を念頭に、学力定着をはかるための習熟度別学習(補習)だ。
長期休暇中にも実施しており、現有学力に応じたきめ細やかな指導が児童からも保護者からも好評だったが、負担も大きかった。
同校で森田校長の右腕としてICT導入を推し進めた、大西浩二教諭(進路指導部長兼ICT教育推進主担)は言う。「小学校では基本的に担任がすべての教科指導を行いますよね。ただ、近小ゼミは教科単位の実施ですので、担任ではなく各教科担当が持ち回りで受け持ちます。そうした環境下では、まず自らのクラスの生徒たちを下校させ、ゼミを担当し、それから再びクラス指導用の授業準備や研究……という過密な業務サイクルにならざるを得ません。各教員の熱意や善意に支えられている状況でした」。
『すらら』で個別対応の負担を大幅削減
この課題解決に対し、同校が2018年4月から導入したのが、すららネットの『すらら』だ。『すらら』は、ネットを介してゲーム感覚で学ぶことができる、eラーニング型の自立学習支援プログラムだが、小学校での導入は同校が全国初。特に注目したのは、オーダーメイド式の出題機能だった。
『すらら』は出題だけでなく、採点、さらには間違えた問題の原因(どこでつまづいたのか)まで個別対応してくれる。同校では、これを近小ゼミと連動した家庭学習に応用。ゼミ開始前に『すらら』で小テストを出題、その結果をふまえて家庭で必要な学習範囲や量を指定する形だ。
学力診断もすぐにデータとして可視化できるため、教員は管理や対策を行いやすい。親しみやすいアニメーションキャラクターがナビゲートしてくれることも、小学生世代には馴染みやすかったようで、その機能の多くが、近小ゼミが抱える問題の解決に必要な要素と合致していた。以前は、これらのほとんどをアナログで行っていたというのだから、その労力の軽減たるや想像に難くない。
学習のつまずきを自然に解消
『すらら』の活用は、教員の業務負担軽減以外にも意外な効果があったようだ。「結果論ですが、児童や保護者のプライドに配慮することにも繋がっていました」と森田校長。
学習のつまずきが見られた場合、通常はそこまで遡って演習したり、小テストを実施したりするのがセオリーだ。時には、5年生が4年生次の学習内容を復習するなど、学年を超えて行うことも必要であろう。『すらら』でもそれは同様だ。
しかし、 子どもたちにとっては「5年生なのに、4年生の内容を復習する」というのは、受け容れがたいことなのだ。渡された復習プリントに「4年生用」などと書かれていようものなら、児童は自己肯定感を下げて意欲をなくし、保護者はそんな我が子を叱咤する、自己肯定感はさらに下がり学習に対する意欲を失っていく……最悪の場合、そんなスパイラルに陥りかねない。逆に私立中学の受験を考えている子どもに時折見られるのは、友だちや親への見栄のために難問にばかり挑戦し、時間をロスして基本的な問題を解く実力すら身につかないという姿だ。どちらも、つまらないプライドが妨げになっている。些細なことかもしれないが、こうした側面は、私立小学校ならではの悩みでもあるのだ。
その点、『すらら』はあくまで「どこでつまずいたのか」を自動的に検出し、個々に必要な単元の学習を効果的に進めていく。わざわざ「○年生の内容」などという情報は加えない。児童や保護者の感覚では、あくまで苦手分野の復習をしているに過ぎないのだ。そのため、本人も気づかないうちに、最適で効果的な「後戻り学習」に取り組むことができる。
もちろん、「挫折を回避させよう」というのではない。人生や人格の基礎を創る要素が強い小学生時代だからこそ、「できない劣等感や恐怖」より「できる喜び」を大切にしたいと考えているのだ。『すらら』の活用は、結果として学習に対する前向きな姿勢を育む効果を生み出している。
附属中学・高校とも連携し、利用拡大を企画
加えて、附属中学との連携にも取り組んでいる。『すらら』はすでに附属中学・高校でも導入済みのため、蓄積された学習ログやデータを、そのまま中学へ申し送りできるのは大きい。児童個人のIDやアカウントなども、そのまま流用できる。
導入して2年目、現在は近小ゼミの国語・算数に用いているが、今後は理科・社会・英語、さらには近小ゼミにとどまらず全校へと利用拡大したいという森田校長・大西教諭。小学生英語の必修化を念頭にしたTOEFL Junior対策などを『すらら』で行うことも計画中だ。
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