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2020年4月27日

新型コロナ休校に負けない!ICT環境整備が実現する遠隔授業/梅光学院中高

梅光学院中学校・高等学校
教頭 重村 雄太

【寄稿】
山口県の私立梅光学院中学校・高等学校では、2015年から全校生徒一人1台タブレットを持たせてICT教育を推進。Wi-Fiを全館整備し、2019年からiPadとApple PencilのWi-Fiモデルを全校生徒が購入している。

常勤講師以上は1人1台Surface(ノートPC)とiPad、Apple Pencilが学校から配付されており、非常勤講師は1人1台iPadとApple Pencilを所持している。

授業で使用する全教室にプロジェクター、ホワイドボード、Apple TVを導入。従来からICT環境を整備、勤怠や教務システム(Siems)、オンラインンストレージサービスも導入し完全ペーパーレス化が進んでいる。

遠隔授業実施までの流れ

・4月1日(水)~4月3日(金) 常勤・非常勤ICT研修と生徒のアプリへのログイン情報整理
・4月6日(月) 入学式・始業式・ICT研修(新入生はiPad配付、在校生は各サービスのログイン確認)・保護者へのClassi研修(ダウンしていたため説明とマニュアル配付)
・4月7日(火)~9日(木) 生徒は登校して授業を実施(遠隔でICTが使用できるか確認しながら)
・4月13日(月)~現在 遠隔授業を通常通りの時間割で実施

遠隔授業実施までの詳細

新型コロナウイルスの影響による休校措置が決定した4月1日(水)から1週間遠隔授業のための準備及び研修を開始。

まずは常勤以上の教員でMicrosoft Teams、Zoom、ロイロノート、Classi等のサービスの研修を開始。Classiのダウンとロイロノートのアクセス過多のため、普段使用しているアプリが使えなったため、Microsoft Teamsを中心として遠隔授業を進めることを決定。Teamsを選択した理由は、従来から生徒にOffice365でac.jpのメールアドレスを持たせていたため、短期間でMicrosoftのサービスを利用できるようになると判断したためである。

一人2台端末

次に非常勤講師への研修を開始。iPad1台の配付はあったが、PCの配付がなかったため、予備の端末などを使用し、全教職員1人2台端末を実現し、常勤・非常勤の大きな違いはなくICT端末を使用できる環境を整えた。

非常勤講師の挑戦

非常勤も端末を自由に扱えるようになった段階で、教員同士の学びあいが加速。常勤から非常勤へのレクチャーが始まりだったが、常勤同志、非常勤同誌の教えあいが加速したため、一週間足らずで全員が最低限必要なアプリを使用できる状態までスキルを向上させた。

Teams内に学年、クラス、授業別のチーム等、生徒との連絡手段を急ピッチでつくり、Teamsの使用方法についてゼロから研修をスタートした。

生徒は入学式・始業式の6日からICT研修を開始。新入生(中1・高1)はiPad、Apple Pencil、各種アプリのアカウント情報の配付とログイン確認。在校生は各アプリのログインが正常にできるかをすべて再確認した。

翌日からは授業を実施しながら各授業担当でどのように遠隔授業を実施するかを確認するため、「模擬遠隔授業」を実施した。ICTに不安がある教員や非常勤の授業にはICT教育推進部の教員と、ICTに強い教員が分掌等関係なくサポートに入り、準備が一層加速した。

今年度全員担任制を導入したことも功を奏し、生徒全員の状況を把握する体制が整ったため、家のWi-Fiの状態が悪い生徒や課題がうまく提出できない生徒もすべて把握することができている。

生徒にはWi-Fiモデルを使わせているため、家庭でのWi-Fi環境の整備状況が不安であったが、調査したところ、未整備の家庭は全体の約2%であった。Wi-Fi未整備の生徒は保護者の了承の上、登校して授業を受けてよいということにしているが、現時点で登校している生徒は2名まで減少した。(4月21日時点)

また、Teamsを活用することで、学校全体への連絡が迅速に行えるようになり、通常の時間割通りに授業を展開することができている。

出欠席に関してはTeamsの会議機能を使い、生徒の顔や声で確認をしながらおこなったり、チャット機能を使って教員への返信で確認したり、課題提出状況で判断したりしている。

年始に行う進路ガイダンスや新入生オリエンテーションや進路希望調査なども実施でき、例年に遅れのない学校運営をすることができている。

個別面談もTeamsを使って、順次開始している。

遠隔授業で行っていること

・Teamsの会議、Zoomを活用したリアルタイムオンライン授業
・Teamsの拡張機能Formsを使って出欠席の確認、課題提出
・Teamsの課題機能、ロイロノート・スクールを使った課題提出
・Teamsの会議機能を使ったオンライングループ学習
・ルーブリックをもとに動画作成課題、プレゼンテーション作成等

本校の取り組みは一方的な授業を行ったり、動画を配信するのではなく、双方向での授業を遠隔で実施することに重点を置いている。

生徒の様子を確認しながら、また会話・議論をしながら進めることに重点を置いている。

また、各家庭によりネットワーク環境善し悪しがあるため、必ず毎日全生徒が授業を受けられたかどうかを全教員でミーティングを開いて確認している。全体的には遠隔授業がうまくいっているようにみえるが、むしろきちんと受けられていない生徒をいかに授業に参加できるようにサポートできるかに力を入れている。

今回の遠隔授業で得られたこと

新型コロナウイルスの影響で、生徒にしてやれることはないかと全教員が真剣に未知の課題に取り組んだことでチームワークが生まれた。

遠隔終礼の様子(Teamsで)

ICT環境は整備されていたが、当たり前に授業ができる状態の時では積極的にICTを活用する学びを進めていたのは6割程度の教員に過ぎなかったが、生徒に対してできることが限定されたことで、教員が学びの本質を考えるようになった。最低限おさえておかなければならないことを考え、課題の厳選も今まで以上に厳しく行っている。また課題が超過負担にならないように各教科間での調整も進んでいる。

また、不登校傾向のある生徒の授業参加が増えてきていることについても教員は前向きにとらえている。

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