2020年12月15日
対面もオンラインも高性能な「書画カメラ」で効果的な授業づくり/大妻中学高等学校
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東京のど真ん中、皇居や靖国神社に隣接している千代田区三番町(最寄り駅 JR市ヶ谷駅 地下鉄半蔵門駅)にある大妻中学高等学校。創立から112年の歴史を誇る中高一貫校だ。現在、近代的な校舎にはおよそ1850名の女子生徒がBYOD(保護者負担で端末を購入)による1人1台のタブレットPCを日常的に学習や生活で活用している。
同校の創設者である大妻コタカ氏が、開学当時の明治時代、女子教育のはじめに取り入れたものが裁縫(和裁)だった。その系譜をいまも引き継ぎ、和裁の実技(浴衣作り)なども指導している家庭科の加藤花苗教諭は、「書画カメラ」を活用した授業を展開している。同校でICT環境の整備を推進するICTコーディネーター兼情報科の加藤悦雄教諭とともに話を聞いた。
手元の撮影も動画作成も手軽で使いやすい万能な「書画カメラ」
この日、中学1年生の家庭科の授業では、腕に装着するアームカバーの製作が行われていた。円筒状にした布に、チャコペンシルで線を引いて印を付け、その線に沿ってなみ縫いをしていく。花苗教諭は作業の様子を「書画カメラ」で映し、プロジェクターからスクリーンに投影して生徒全員に説明する。教室の後方からでも縫い目がわかりやすく確認できる。
使用している機材は、アバー・インフォメーションが提供する高性能な「書画カメラ」の 「M15W」。1300万画素と4Kの高画質で、最大23倍デジタルズームを搭載。撮影エリアはA3サイズに対応しており、紙媒体や物体の映像を簡単に共有できる。小型・軽量な設計で持ち運びに優れ、使う場所を選ばない。コンパクトに折りたためるので使用後の収納ももちろん場所を取らない。パソコンレスで本機とプロジェクターをHDMIケーブルでつなぐとすぐに使えるというシンプルさだ。(ワイヤレス接続も可能)
被服製作の細かい部分までズームでしっかり見せられることが同カメラの良さだという花苗教諭。「ズームをすると画質が粗くなる機材もありますが、アバー製品はズームをしても高画質で繊細できれい、ピントのフォーカスも早いです。縫い代の部分を広げた時など、本来見せたい細かい部分がよく映し出せます。チャコペンシルで書いた線の色が薄くてもはっきりと見えやすいですね。Wi-Fiでワイヤレスでも使えるので、書画カメラを持ち歩いて生徒の席へ行き、製作物を映すこともできます」。
動画撮影できることも大きな特長だ。この日、教室の前方に設置された2台のミシンには、花苗教諭が事前に作成した「ミシンの使い方」の動画を各自のタブレットで視聴しながら作業に取り組む生徒の姿があった。手元の細かい作業をクローズアップして撮影する際には、通常のビデオカメラやスマホでは上手く撮ることが難しく、固定できてかつ撮影方向にカメラを柔軟に調整でき、高精細に映し出せるフレキシブルな「書画カメラ」でないと意図した動画にならないという。「きれいでわかりやすい動画だと生徒も見ていて疲れにくく、理解もすぐにできるようです。授業で取り入れると生徒の反応が全く違うと感じます」(花苗教諭)。
調理実習でも、動画は一連の流れを把握できるため生徒から好評で、同校が活用する「Google for Education」の「Classroom」上に、動画やスライドを絶対載せてほしいとリクエストが寄せられるほどだという。アバーの「書画カメラ」は実物の投影はもとより、見る側にとってフレンドリーな動画作成が簡単にこなせるため、対面でもオンラインでも活用の幅が広くて万能。今後「書画カメラ」はこうした動画作成の活用がより生きてくるだろうと、情報科の加藤教諭も同機の利便性を高く評価する。
先入観なく、良い機器を見極めてICT環境を整える
同校のICT環境の整備は2013年から徐々にはじまっていたが、2018年度に加藤教諭が同校に招聘されたことを機に整備の充実が加速した。BYODによる生徒1人1台タブレットPCの導入のほか、貸出用のタブレットPCを約60台、iPadを200台用意。Wi-Fiを完備し、現在は、最新のプロジェクターを57台導入して、全ての普通教室と特別教室にプロジェクターと電子黒板を整備している。加藤教諭は既存のICT環境もミックスさせ、校内の先生同士の勉強会として「ティーチャーズナイト」を週ごとに開催、ICTを取り入れた授業のミニ研修会でアドバイスなどを行っている。
また、対外的にも他校の先生たちが集う「D-project(デジタルデザイン研究会)」を北海道で10年以上、その後、関東ブロック、香川県他の開催を主導。この研究会は、産学官の3者共同開催で、企業から最先端ICT機器を持ち込んでもらい、大学の先生による講義や参加者同士のディスカッション、機器を使ったワークショップなどを行っている。「先生たちはカタログを見ただけで機材を購入しがちで、届いてから“失敗した”となるケースが多いです。しかし、こうした場なら実際に使っている様子を見たり、使い道の経験談を聞けたりできます」(加藤教諭)。また、同校への視察は年間で100回を超え、企業や教員だけでなく、今年は管理職や教育委員会からの訪問も急増している。そして、依頼があればどこでも、学校や教育委員会に赴いて出張講座をしている。
どんな教科であっても授業には、1時間ごとに到達目標がある。その目標に近づくためにICTをどのタイミングでどう活用すると効果的かを追求し、そのためにはなんでも同じじゃなく、教員にとって本当に活用しやすい機材やアプリケーションを選んでほしいと加藤教諭に妥協はない。
ソーシャルディスタンスを保ったイベントにもぴったり「プレミアムWebカメラ」
動画撮影したり、オンライン授業で画面共有したりする時に、もう一つ便利な機器が「プレミアムWebカメラ」だ。4Kで高画質。手のひらに乗るほど小型でどこへでも持ち運びができ、PCやモニター上部に取り付けたり、三脚に取り付けたりして手軽に使える。こちらもUSBでPCにつなぐだけで設定が簡単。そして最大の特長は、近距離から撮影可能な120度超広角レンズを搭載していることだ。
コロナ禍で余儀なくされているソーシャルディスタンス。同校の音楽部やコーラス部のステージ発表では、一人ずつ2メートル間隔を空けると舞台いっぱい横長の配列になってしまう。ビデオカメラで撮影する場合、近距離から全体を捉えるにはカメラを左右に振る必要があるが、120度超広角レンズの「プレミアムWebカメラ」なら、近距離からでも固定したまま全体を一画面に納めることができる。現在の状況下にもまさにうってつけだ。
その他、「授業参観や研究授業では、通常のカメラ類だと教室の対角線上に設置しないと全体が撮れず、斜めだとどうしても臨場感に欠けます。『プレミアムWebカメラ』なら正面と後方に1台ずつ置けば、生徒の表情も、先生の表情と板書まで全て撮れます。ただ置いておけばいいので、いちいち動かす手間も、カメラマンが張り付く必要もない。そういう意味でもこれは最強だと思います。いま本校はGoogleのサービスで10万人までライブ映像配信できますが、たとえば入学式や卒業式にこれを使って高画質(4K)な映像でライブ配信すれば会場の臨場感も伝えられやすくなります。しかも、全校生徒と保護者や家族はその様子を一緒に家庭で視聴できます。これからの時代は、送り手側のクオリティの高さも大事なファクターになります」(加藤教諭)。使い方のアイディアや可能性がどんどん広がる1台だ。
今年2月の終わりから6月までの約4カ月間、全教科をオンライン授業に切り替えたという同校。生徒も教師も全員在宅になったが、普段から実践しているICT活用によりこうした移行にもスムーズに対応できた。「明日からまた学校閉鎖になっても、授業は普通にオンラインで行います。しかも高レベルな授業です」と加藤教諭。いつどのような状況になるか見通しづらい昨今だが、効果的な授業づくりを支援する「書画カメラ」や「プレミアムWebカメラ」は、登校状況が変わっても威力を発揮し、いつも通りの授業を可能にする。普段から“本当に使える”ICT機器の選定と活用が、柔軟な対応にも必須と言えそうだ。
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