2021年7月30日
GIGAスクール構想で Chromebook、クラウド環境活かす挑戦を / 印西市教育委員会
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「データはクラウドで」が必須条件
GIGAスクール構想により、全国で「1人1台」の環境整備が着々と進みつつある。その際、端末を選ぶ判断基準にはさまざまな視点があるが、その一つが機能の「互換性」。特に、自治体単位で同一機種の導入が前提となる公立校であればなおさらだ。アプリケーションや個々の学習データなどが、端末によって使えたり使えなかったり、使い方が異なっていたり、あるいはそれらが学校ごとに違っていたりでは運用しづらいためである。
その観点で「端末ではなくクラウドでデータを扱う仕組みにすることを前提に、端末の追加などが簡単であることが本市の必須条件でした」と語るのは、千葉県印西市教育委員会(印西市教育センター)の穂戸田和宏センター長だ。
同市は、この少子化時代において児童生徒数が年々増加している町。同一市内での転出・転入も活発であるため、「転校したAくんが使っていた端末を、新たに転校してきたBくんが使う」といったケースへの対応も想定しておく必要があった。必然的に端末は、クラウド管理で完結できる Chromebook という結論になったという。
同市は、GIGAスクール構想実現に向け、市内の公立小中学校27校へ児童生徒1人1台のICT端末としてASUS Chromebook Flip C214MA-GA0028 を導入した。
小1~中3までが同じ端末で学べるように
Chromebook は、WindowsでもMacでもなく、Google が開発した独自OS(Chrome OS)を搭載したノート型デバイスの総称。ドキュメントやスプレッドシートなど、Google が提供する各種サービスと連動することで、穂戸田氏らが重視した「クラウド上でデータを管理する」システムになっていることが特徴だ。
同市が採用したのは、ASUS Chromebook Flip C214MA-GA0028。小1~中3まで同じ端末を使えることが条件だったため、タブレット型とキーボードを使用するノートパソコン型、両方の機能が使える点もニーズに合致したと言う。「例えば小学校低学年のうちはタブレット操作を中心に、感覚で端末に慣れつつ、将来的にタイピングスキルが身についた段階では、キーボードを用いてクリエイティブな制作物に取り組んでもらいたいと考えていたためです。」(穂戸田氏)。
市教職員の4人に1人が参加する、学びのネットワークを構築
Chromebook を活用した「同一端末で、クラウドベース」という環境は、印西市教育センターや子どもたちだけでなく、教職員にとってもメリットがあった。Google Classroom 上にグループを立ち上げ、教育ICTに関心の高い教職員同士で情報交換できる場を作ったからだ。
同市教育センター指導主事として教育ICT化をサポートする中里和彦氏は、その根底にある狙いと運用事例をこう語る。
「ICTを使うことの目的は、授業以外の校務も効率化することでした。例えば教員研修やクラス運営、各家庭とのやりとり、不登校の子ども
たちへのフォローなどもそうです。こちらから効果的な教材やアプリを紹介することはもちろん、各校からの実践事例も共有することで、相乗的に効果を上げることができています」。
情報をシェアする際、データをクラウド共有でき、かつ端末が同じであれば、そのまま実践に落とし込みやすい。しかもこのネットワークには、すでに市教職員のうち4人に1人が参加している。今後は、市全体を巻き込んだオープンイノベーションにも期待できそうだ。
子供たちの学びを加速させるスタイラスペン
Chromebook は複数のメーカーから発売されているが、同市が選んだのはASUS Chromebook。
その理由について、穂戸田氏は「やはりASUSの Chromebook には、最初からスタイラスペンが付属していることが大きかった」と明かす。同市が採用したC214MA-GA0028には、EMR(電磁誘導方式)のスタイラスペンが搭載されており、本体に収納ができる。
EMR方式の特長は、他のスタイラスペンにはない、鉛筆のような書き心地を実現したペンであることだ。ペン先も非常に細く、小さな文字も正確に書けるため、メモなどの普段使いから、イラスト作成といった微細な表現が必要な美術の授業にも使用できるなど、活用シーンをより拡げることができる。また、ペンの充電や電池交換が不要なため、「充電不足で授業で使えない」というトラブルを回避することができる。
子どもたちにとってはそのアナログチックな操作感覚が親しみやすかったようで、自然に、そして楽しそうに Chromebook を使いこなしているという。結果として、ICTを活用した授業への抵抗感も薄れ、以前よりも子供たちの主体的な学びに繋がっている。
「ASUSのあんしん保証」に助けられた
また、ASUS独自の製品保証サービス「ASUSのあんしん保証」にも「加入しておいてよかった」と言うのは中里氏。無料で加入できる同サービスは、メーカー標準保証の対象外となる故障原因(利用者過失の物損故障)において、特別な価格で修理対応を受けられるというもの。「ASUSのあんしん保証」はメーカー標準保証である1年間で1回のみ受けられるサービスだが、全額有償扱いとなってしまう物損故障の修理代金費用が実質、修理部品代の20%のみで、修理が可能となるサービス。
「予想した通り、子どもたちが落としたり少し乱暴に扱ったりして、液晶が割れたりキーが外れたりなどのトラブルが発生しました。修理をしようと思うと、やはり修理金額がそれなりに高額でした。一般的に考えても物損故障が起きてしまった場合の有償修理費用は高額であることは理解していますが、いざその費用を負担するとなるとなかなか厳しいのが現状です。ただあんしん保証に加入していたおかげで、費用負担を抑えることができました。最初はそんなに意識せずに加入した「ASUSのあんしん保証」ですが、今となっては加入しておいてよかったと本当に思っています。」と中里氏。
こうした人的な可能性のある故障トラブルの発生はなかなか予測することが難しい。だからといって、すべてのデバイスに物損故障に対する保証をつけることはコスト的に厳しいところ。よってこうした万が一の時のためにも、「ASUSのあんしん保証」のようなサービスは端末選択の上で重要な判断基準の一つになるだろう。
児童が運営するブログやオンライン授業参観など、ユニークな取り組み
GIGAスクールにおいて本格的に Chromebook 導入が開始されるにあたり、同市では先行して2校の市立小学校で端末活用の実証実験を行っていた。
その1校である原山小学校では、通常の連絡帳代わりに、児童が自分たちでブログを立ち上げ、自ら発信を行っている。持ち回りで記事をアップし、必要なことはそのブログで確認するという仕組みだ。もちろん保護者も閲覧できるため、情報共有の漏れも少なくなる。また、地元のスーパーと連携し「環境に優しい商品」の紹介記事を投稿するなど、地域との協働を活かした学びも積極的に行っている。
また原山小学校の児童(6年生)は学校へ来校した外部関係者向けに、自校の紹介プレゼンを持ち回りで実施するという活動も行っている。
同じくモデル校となった船穂小学校では、コロナ下の「オンライン授業参観」を実施。しかも、教室全体の様子をただ配信するのではく、児童一人ひとりの端末の画面を保護者が自宅で閲覧できるという取り組みを行った。つまり、その授業内で我が子がどんなふうに学んでいるのかが分かるということである。まさに当初の条件であった「クラウド上で動作する」ことを活かした斬新な授業参観であり、保護者からも非常に好評だったという。
子供達の喜ぶ姿に、使わないという選択肢はない
まだICTそのものに抵抗感を持つ教員もおり、取り組むべき課題は残る。しかし、それでも同市のある教員はこう言って笑ったそう。「パソコンは苦手。でも、子どもたちは Chromebook を使った授業に目を輝かせるんですよ。こんな姿を見せられては、使わないという選択肢はないですよね」。
穂戸田氏、中里氏も力を込めつつ口を揃える。「GIGAスクールによる現場の混乱は当然あるでしょう。しかし、教員の働き方改革にも取り組みたいし、家庭との情報共有もさらに深めたい。不登校児の支援も充実させたい。ICTや Chromebook はそれを可能にするツールだと信じ、今後さらに推進していきます」。
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