2021年9月28日
6割強の高校教師が「ICTを活用したい」が、「積極的に活用している」のは37%だけ=カシオ調べ=
カシオ計算機は27日、全国の、ICT化が完了している高校の教師と、していない高校の教師各206人ずつ計412人を対象に実施した、「高校におけるICT教育の実態調査」の結果をまとめ発表した。
それによると、1人1台環境が整備されている高校でも、ICTを「積極的に活用している」と回答した教師は37%に留まった。一方で、端末未整備の高校では6割強の教師が今後「ICTを活用したい」と答え、期待感がうかがえる結果となった。
ICTを活用したい理由については、「これからの時代のスタンダートとなるから」「授業を効果的、効率的に行えるから」「ビジュアルで見せることができるので、生徒の興味関心をひきやすい」「コロナ禍で学習時間を確保するため」などの意見が多く、「ICT化が進んでいる高校の事例を参考にしたい」との前向きな声が全体の76%にのぼった。
端末整備済みの高校で、授業などで使用しているツール、アプリについて困っていることを聞いたところ、トップ3は「使い方の習得に時間がかかる」、「ノートと同じような操作性とは言えず、操作が難しい」、「端末の機種によって使用できない場合がある」だった。
端末が未整備の高校の教師が今後使用するツール、アプリに最も期待することを聞いたところ、「操作が簡単で誰でもすぐに使いこなせる」、次に「端末の機種に依存せず使用できる」と続き、端末整備校が抱える課題と同じ結果となった。
現場の教師が、ツール・アプリに最も求めているのは、「すぐに使える」「簡単操作」であることが分かる。
また、ICT化を進める上での不安・課題を聞いたところ、トップは「教師間の意識にギャップがある」で50%。以下、「端末が支給されただけでその後のサポートがない」38.8%、「ICTに関する研修が不十分である」35.7%が続いた。
ICTの活用で実現している/したいことのトップは共に、「教材のビジュアル化」で61%。一方、ICT整備校の教師の75%が「理解しやすいように、教材をビジュアル化して提示」していると回答しており、理解や知識の定着を促進したいという教師の思いが読み取れる。
続いて、「授業や課題の準備業務を効率化させたい」、「課題をオンラインで配布、提出できるようにしたい」が共に約46%だった。
一方、「探求型の学習やグループ学習を推進したい」は37%。ICT整備校で「探求型・グループ学習の支援ツール」として活用している教師は約40%で、全体として2022年から新たに導入される「探求学習」への活用はこれからといえそうだ。
ICTの活用によって「板書にかかる時間」を節約したい教師が62%、「教材準備の時間」を節約したい教師も53%で、多くの教師がICTで業務の効率化をはかりたいと考えている実態も明らかになった。
実際に、ICT整備校の教師の50%以上が「課題のオンライン上での配布・提出」に取り組んでいた。
また、端末や各種ツールの使用、資料作成など、教師自身の基本的なICTスキルについて、端末整備校では「かなり身についていると思う」「ある程度身についていると思う」を合わせて73%だった一方、端末未整備校では50%弱と差が顕著だった。
学校や担当クラスの生徒のICTスキルについても同様の傾向で、端末整備校では「かなり身についていると思う」「ある程度身についていると思う」が60%だった一方、端末未整備校では38%と差が開いた。
この調査は、全国の、ICT化が完了している高校の教師と、ICT化が完了していない高校の教師各206人ずつ計412人を対象に、8月13日~15日にかけて、インターネットで実施。
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