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2022年6月13日

離島のハンデを「Qubena」とICT活用で乗り越える新しい学び/利尻富士町教育委員会

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日本最北端の北海道稚内から62㎞の海を隔てた利尻島。その北東部に位置している利尻富士町。4月1日現在、小学校2校、中学校2校の計4校。児童生徒数は小学校96人、中学校53人の計149人。GIGAスクール構想でネット環境の整備や1人1台端末の配備は完了し、昨年5月には全小中学校でAI型教材「Qubena」(COMPASS提供)を導入した。「Qubena」導入の目的や利活用状況について、利尻富士町教育委員会の松谷大輝次長と鴛泊(おしどまり)中学校の中山雅之教諭と林英樹教諭に話を聞いた。

鴛泊(おしどまり)中学校と利尻富士

「Qubena」は使える、この教材を使いたいという教師の熱意が導入の決め手

利尻富士町教育委員会 松谷大輝 次長

Qubena導入の経緯について松谷次長は、「鴛泊中学校の先生から使ってみたいAI型教材がある、という相談を受けました。当時鴛泊中学校では全国学力・学習状況調査の結果を踏まえ、数学科における学力緊急事態宣言を発出して、生徒自身が苦手な単元や躓きを発見しレベル別に学べるよう管理職を含めた全教職員による学習指導の取り組みが行われていました。その取り組みの中で『Qubena』(当時は算数・数学版の提供)は最適な教材と考え、無料トライアルを申し込み、試験的に活用しました」と語る。

「Qubena」は単元・項目別になっていることや、苦手な問題をAIが判断し繰り返し出題してくれたり、生徒自身が自分のレベルを確認しながら復習や予習ができる。また教師も個人別に回答状況等を確認出来ることから、個々に応じた指導がしやすく、非常に便利なツールだと感じたという。

「実際私も管理者画面からログインして学校別、個人別の情報を確認しましたが、便利なツールだと確認できましたし、当教育委員会としても学校からの要望や町内児童生徒の学力向上の一助となればと思い2021年度から導入することにしました」と松谷次長。

「定着・自主学習・フィードバック・評価の4場面」で「Qubena」を活用

利尻富士町立鴛泊中学校 中山雅之 教諭

「Qubena」導入のきっかけとなった鴛泊中学校のICT活用状況は、校内どの教室でもどの授業でもどういう使い方でもICTが使える環境になっている。また同校では家庭への毎日の持ち帰りを許可していて、自主学習や宿題に使える環境も整備してる。タブレットやICTツールはすでに、文房具の一つとして定着しているという。

学習の場面での「Qubena」の活用について中山教諭(社会科)は「毎日普通に使っているタブレットに、ドリル・ワークの機能がプラスされたイメージ。「紙のワークから切り替える形で『Qubena』を使っています。『定着の場面」『自主学習の場面』『フィードバックの場面」『評価の場面』で活用しています」と語る。

「Qubena」に取り組む様子

□「定着確認の場面」
宿題としてワークブックを配信してチェックする。紙のワークでは、どこまでやったらAなのかと悩みながら評価を行っていたが、「Qubena」を導入してからは、どれくらいの時間やったのか、どれくらい間違えたのか、間違えた問題にどれくらい再チャレンジしたかなどが分かるので、効率的にチェックができるようになった。

社会科の単元毎の確認テストも、「Qubena」のワークブックで実施すると正答率がすぐに分かる。長期休業中の課題や、休み明けテストも「Qubena」で行うようにしている。

□「自主学習の場面」
定期テストの範囲表に「Qubena」の単元番号を記載。生徒は「Qubena」をやっていれば知識・技能の問題は解けるという実感があるため、テスト勉強にも活用している。また、自分がまだ理解していないところを習熟度機能で確認出来るため苦手なところを埋めていく学習ができる。

今年度は家庭学習の集計表を「Qubena」は赤、それ以外は黒と色分けして毎日記入している。表は生徒の勉強した時間。テスト勉強の必需品として「Qubena」は確立している。生徒たちもやれば成果が出ることが分かっているので教員の指示がなくても自分から取り組むようになった。

□「フィードバックの場面」
社会では、前時の復習として授業の最初に「Qubena」を実施。前の授業で説明不足だったり、理解が不十分と感じたものをワークブックで配信して生徒にやってもらう。すぐに結果がでて、教員側でも把握出来る。不正解の多かった問題は補足説明を行うことができる。

帰りの会の前の10分学習で各自「Qubena」を実施。予習や復習に利用して、解説を読んでもわからないとか間違いが多いといったときには教師に聞きに来るようにしている。

利尻富士町立鴛泊中学校 林英樹 教諭

□「評価の場面」
「Qubena」を組み込んだ理科の評価方法について林教諭(理科)は、「“主体的に学習に取り組む態度”についてどう評価していくのか。今までのように頑張ったからいいねということではなく、“粘り強く学習に取り組む態度”と“自らの学習を調整しようとする態度”この2軸をきちんと踏まえた上で、評価にあたらなければなりません」と語る。


具体的に理科で「Qubena」をどう活用しているかというと、「主体的に学習に取り組む態度」のところで、「Qubena」は50点満点中15点と大きな配点となっている。1日10分を目安に頑張りましょうということと、問題数や正答率を加味しながら数値化して評価する。10分という時間にしたのは、10分あれば「Qubena」の場合は十分その日にやったことを復習できるから。


「知識・技能」の評価についても客観的な数値、評価・評定の根拠が求められる。これについても「Qubena」の位置づけを50点中10点としている。単元テスト後と定期テスト後に取り組み状況を数値化し、習熟度を評価する。以前は管理画面である「Qubenaマネージャー」で教師側でしか確認ができなかった単元ごとの習熟度が、現在は生徒の画面からも自分で確認できるようになった


単元テストの段階では、BだったりDだったり全くやっていない生徒もいるが、定期テスト後にはほぼすべての生徒がAもしくはBでこの表が埋まっている。なのでこれを点数化することによって、知識・技能評価の一つの材料として林教諭は有効に使っているという。

このような評価方法で、生徒の学力の主に基礎・基本の力が付いてきたという。「去年5月の導入当初は、ある程度評価にも反映するから『Qubena』をちゃんとやるようにと教師側から言うこともありましたが、いまはほぼ言わなくても生徒たち自身でかなりの問題数を解くようになりました。『Qubena』をやっておけば点数がとれるということを生徒自身も理解しているし、どのような学びをしていけば基礎・基本が自分のものになるかということを『Qubena』の学びを通して会得できているからです」と林教諭。

時間的・地理的条件を乗り越えて理想の教育を目指す

鴛泊中学校における「Qubena」活用の成果について中山教諭は以下の3点を挙げる。
1)「Qubena」を導入してから各種テストで、知識・技能の問題は5割から6割は確実に取れるというベースが担保される。
2)いままで定着や確認に割いてきた時間が削られるので、思考力・判断力・表現力を身につけさせる授業に切り込む時間の余裕が生まれる。
3)思考する中で疑問に思ったことや解らないことを解決するために、「Qubena」で確認するサイクルができる。

「本校は利尻島という離島にあります。都市に比べへき地は情報が少ないというイメージですが、日本のどこにいても水準以上の教育が受けられなければならないという理念の元、教師も学校も教育活動を進めてきました。『Qubena』などのICTを活用することで、時間的条件や地域差がクリアされるという教育の理想に向かっていると実感できるのが幸せです」と中山教諭は語る。

また松谷次長は、「子どもたちにとっては端末が文房具の一つとして定着して、現在では授業でも家庭でも日常的に利用されています。『Qubena』導入によって、『個別最適な学びの具現化きめ細かな指導』が可能となり、『Qubena』を日常的に利用することで『基礎学習・家庭学習の定着』につながり学力の向上が図られ、『授業や宿題、テストで活用』することで教員の業務負担の軽減にもつながる。今後は教員のスキルアップ研修や定期的な情報交換、情報共有を行って、より一層ICT教育の推進を図っていきます」と未来を見据えた取り組みを語ってくれた。

ICTを活用した離島のハンデ克服は、日々進化している。

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