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2023年7月4日
3M、STEM・理系分野で課題の女性比率の低さに注目したパネルディスカッション
スリーエム ジャパンは6月29日、STEMの公平性の促進の一環として、多様性の中でも日本のSTEM・理系分野で特に課題となっている女性比率の低さに注目したパネルディスカッションイベントを実施した。
パネリストとして、日本科学振興協会 代表理事 東北大学 名誉教授の原山優子氏、東北大学大学院 工学研究科の女子学生 1名を迎え、スリーエム ジャパンの社員 2名とともに「STEM分野に女性比率向上がなぜ求められるのか」「女性の理系進出を促すには」をテーマに、主に3Mが独自で行った 2つの調査結果を用いて議論を行った。
調査の1つは、3Mがグローバルで 2018年から毎年行っている、人びとの科学に対する意識調査「State ofScience Index(ステート・オブ・サイエンス・インデックス)」(SOSI)の 2023 年版。もう1つは、3Mジャパングループ社員の進路選択などに関する社内アンケート。
SOSIの調査結果では、「女性はSTEM分野でのまだ活用されていない労働力としての可能性を秘めている」に 84%の日本人が同意していることに加え、昨年比で4%ポイント増加しており、STEM分野での労働力としての女性の活用に対する課題意識が高まっていることが示された。
STEM分野の女性比率の低さについてさまざまな背景がある中で、同ディスカッションでは周囲や社会からの影響などに着目し、女性の理系選択を阻む要因について各パネラーの体験談と共に深掘りした。
他方、スリーエム ジャパンの社内アンケートの結果では、理系進路を選択した社員でそれを身近な人(保護者や親せき)から反対されたことが無いと回答した割合は男性が 99%、女性が93%だった。
また、同アンケートでは、理系進路を選択した女性社員の 54%が「女性なのにすごいね」などのアンコンシャスバイアスのかかった言葉をかけられた経験があることが分かり、登壇者からは「女性で物理学を専攻しているなんて珍しいね、すごいね、という声をかけられたことがある」や「女子なのになぜ博士課程まで進学したのかと親戚や周囲から言われたことがある」などの体験談が語られた。
SOSIの調査における「STEMキャリアを目指す利点」を選ぶ設問では、全ての項目で日本の回答がグローバルの平均を下回っていることが分かった。特に「STEMでのキャリアを目指す利点はない」と回答した割合がグローバル平均の約 2倍となっている。さらに、同調査において「科学を擁護しようとする人々に影響を与える人」として、日本の回答の上位3つは、「科学者」「企業」「メディア」の順となり、「企業」を選んだ人の割合はグローバル平均の約2倍となっている。
特に日本では、社会への影響力が大きいとされる科学者や企業自身が、科学やSTEMキャリアの魅力をこれまで以上に広く発信していくこと、加えて進路を選択する学生自身だけでなく保護者も含めて伝えていくことの重要性についての意見が交わされるとともに、原山氏からは「社会制度や企業の取り組み、STEMへの認識や教育方法への対応など、個々でなく多様な取り組みが必要になる」とのコメントがあった。
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