2024年1月31日
答えのない課題を考えるために、探究の第一歩「すららSatellyzer」による授業事例 /東海大学付属相模高等学校・中等部
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東海大学は幼稚園から大学院までを擁する大規模な教育機関。中高大の一貫教育で文武両道と文理融合を実現する教育を推進している。部活動は全国レベルで数々の輝かしい実績を誇る。
11月28日、東海大学付属相模高等学校・中等部で公開授業が行われた。「すららSatellyzer(サテライザー)」を活用した犬塚孝一教諭による1年生探究の授業を紹介する。
「今日は人工衛星の打ち上げをやります」で授業スタート
「今日は半分の時間で課題解決の中間報告をしてもらい、残りの半分で人工衛星を打ち上げます。」中学1年生の教室とは思えない、犬塚孝一教諭の言葉で探究の授業が始まった。
◆ミッション課題の話し合いと中間報告の共同編集
5、6名ずつ6つのグループに分かれ、生徒らが自分のiPadで「すららSatellyzer」(サテライザー)」のユニット8の画面を慣れた様子で開く。生徒らはグループごとに頭を寄せて話し合いながら自分のiPadでミッションの中間報告の共同編集を始めた。
「人工衛星の活用方法はどうする?まだ決定できてないよ。」
「アマゾンで違法な伐採をするのは人間じゃん。」
「止めさせるような防犯カメラみたいなデータで解決したいな。」
話し合う声が教室中から聞こえてきた。発表に向け、引き締まって取り組む様子が伝わってくる。犬塚孝一教諭は全体に目を配りながら各グループの進捗を確かめ、笑顔で声をかけて回る。
◆「すららSatellyzer」での探究授業の流れ
「すららSatellyzer」での探究授業は当日が10回目だ。これまでの授業で、人工衛星の仕組みや機能について前提知識を学び、「アマゾンの危機」「スマートシティ」「自然災害の脅威」といった5つのミッションから自分達のグループで扱いたいテーマを決定、そのミッションに関連する知識を学び、課題の把握、自分達がすぐにできることを確認し話し合った。さらにもう一歩進めて人工衛星でできることを学び、取得できるデータについて考えて、ミッション課題での活用法をグループで発想した。
ここまでの学習内容を中間報告としてまとめているのだ。
ミッションの中間報告をプレゼン
「それでは、各グループの代表者は前に出て中間報告を始めましょう。」
犬塚孝一教諭が声をかける。プレゼンの順番を決めるじゃんけんで、一層盛り上がった。
代表者はiPadを手に教室の前方へ行くと慣れた手つきでAirplay(エアプレイ:無線の画面ミラーリング機能)でプロジェクターに「すららSatellyzer」の中間報告画面を投影する。時折、前方に視線を配り、手元でiPadの画面拡大など視聴者を意識した操作をしながらグループの発表が進められた。イラストや写真を効果的に配置した伝わりやすい中間報告ばかりだ。
探究学習で必要なことは何か
全ての発表が終わると犬塚孝一教諭は「ここまで2カ月間、探究をやってきて何が必要だと感じましたか?」と問いかけた。
「想像力」「話し合い」「コミュ力」すぐに意見が飛び出す。
犬塚孝一教諭はうなずきながらこう答える。
「そうですね。人の意見を聞くことが大事。知識を得ることが大事。情報や知識をたくさん調べて、それをより良く使うこと、工夫すること、考えること、これらがないと進まないのが探究だと理解してください。」
大いに盛り上がって人工衛星を打ち上げる
授業の後半ではいよいよユニット9の人工衛星の打ち上げだ。センサーの種類など必要な知識はレクチャー動画で得られるようになっている。ミッションのために必要な部品を選択したら打ち上げのシミュレーションだ。
予算、工期、燃料に制限が設けられている。生徒はそれぞれ「すららSatellyzer」の画面で操作を始めた。
「(値段が)高いっ」
「俺、ハイスペックなやつにしようっと」
「ダメだ、安くて期間が短いのにしないと・・・」
「全部エラーだ」
試行錯誤しながら楽しげな声をあげて打ち上げ条件をクリアできる部品の組み上げに熱中していた。やがて一人また一人と打ち上げステータスへ移行すると
「カウントダウンが始まった」と歓声を上げる。
他の生徒は期待を込めて見守ったり、「カウントダウンが始まっても成功とは限らないぞ」と笑い合ったり非常に賑やかだ。
興味が尽きず大いに盛り上がる中、終礼のチャイムが鳴った。
「すららSatellyzer」による探究授業を振り返って 〜導入に最適 次への期待
「良さそうだなと感じたのですぐに1年生の探究に取り入れました。実際に授業をやってみて非常に面白いと感じています。教員も探究の本質、やるべきことを学ぶ必要がありますし、生徒たちも今回が初めてでしたから『すららSatellyzer』は導入として非常に適していました。探究では知識を活用することが重要です。そのためには知識を得る必要もあります。今回の『すららSatellyzer』だけではもちろん完結しません。探究の取り組み方の訓練に次ぐ訓練が重要です。中高6年間かけて、答えのない未来の人生設計にも生きるよう、各自が考えられるようになるというのが探究の意義だと思います。今後はもっと探究を教科学習に寄せて、何のために学ぶのか考えるのもよいですね。すららさんの次のコンテンツにもとても期待しています。」
授業を終えて犬塚孝一教諭は期待を寄せた。
誰ひとり取り残さない探究を 「すららSatellyzer」の開発に込めた想い
「総合的な探究の時間(探究) は、文部科学省が謳うように自分の生き方を考える力を育てる非常に重要な学びです。ただいきなり始めても生徒も先生も不慣れな場合が多いですし、現場の負担も大きいのが課題です。名ばかりの探究にしてはいけないと強い危機感を持っていました。そんな時、人工衛星内部システム等の開発ベンダーNECスペーステクノロジー社から、優れた技術を教育に活かしたいという話があって、宇宙という面白く未知のテーマは探究にぴったりだと直感しました。そして誰ひとり取り残さない探究のために『すららSatellyzer』を開発しました。」すららネットの久保田航氏は語る。
「次のステップでは『すららSatellyzer』で扱うテーマを『すらら』の関連単元へシームレスに繋げる予定です。探求には基本知識は必須ですし、生徒一人ひとりが関心を持ったことをもっと追求してほしいからです。例えば人工衛星の軌道から物理法則へといった具合に、学びを深める入り口になればと願っています。」
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