2026年4月13日
中高教職員の働き方改革、現場の7割が「進んでいない」と回答=システックITソリューション調べ=
システックITソリューションは10日、全国の中学・高校の教職員1010人を対象に実施した、「教員の具体的な残業時間と、校務支援システム導入による残業削減効果の期待値」に関する調査の結果をまとめ発表した。

それによると、はじめに、「学校での役職」について尋ねたところ、最も多かったのは「一般教科教員」43.4%で、以下、「クラス担任(副担任)」31.1%、「学年主任」18.2%と続いた。回答者の構成を見ると、「一般教科教員」や「クラス担任(副担任)」といった現場の最前線に立つ教職員が約7割を占める一方で、「学年主任」や「教務部長(教務責任者)」「副校長・教頭」といった組織運営を担う教職員からも一定数の回答が得られた。
続いて、教職員が抱える実際の業務負荷を把握するため、定時外労働時間(残業時間)の現状について調査。「平均的な『定時外労働時間(残業時間)』は、月に何時間程度か」と聞いたところ、約6割が「10時間未満」19.5%、「10~20時間未満」16.4%、「20~30時間未満」22.7%と回答した。
約6割が「30時間未満」と回答したことから、残業時間が一定の範囲内に抑制されている状況が伺えるが、残りの約4割は月「30時間以上」の残業を行っており、中には「60時間以上」という長時間労働の教職員も含まれている。この結果は、教職員の働き方が「比較的定時に近い層」と「極端な長時間労働層」に2極化している可能性を示しているが、具体的にどのような業務が時間を圧迫しているのだろうか。

「定時外労働の原因として、特に時間を費やしている業務」について尋ねたところ、「授業準備(教材作成含む)」42.2%が最も多く、「成績処理」33.7%、「学校行事の準備・運営」31.9%が続いた。教員の最も本質的な業務である「授業準備」が最多となったことは、教育の質を維持しようとする現場の意欲のあらわれといえる。
しかし、同時に「成績処理」などの事務的業務や、「学校行事の準備・運営」といった季節性の高い業務も上位にランクインしており、これらが恒常的に時間を圧迫している実態が浮き彫りになった。
また、「現在の教務の多忙さが原因で、教員としての仕事の『やりがい』が低減したと思うことはあるか」と尋ねたところ、約8割が「よくある」28.7%、「ときどきある」48.2%と回答。多くの教職員が、教務の多忙さを理由にモチベーションの低下を感じている実態が明らかになった。

一方、「新たに校務支援システムを導入することで業務の効率化が図れた場合、月に何時間程度の事務工数を削減できると予測するか」と尋ねたところ、「5時間未満」34.3%が最も多く、以下、「5~10時間未満」23.0%、「10~15時間未満」22.7%となった。約8割が月「15時間未満」の事務工数を削減できると予測しており、システム導入に対して現実的な削減を見込んでいるのが分かる。
役職別にみると、校長、副校長・教頭や教務部長(教務責任者)といった「学校全体のマネジメントや事務統括」を担う層ほど、システムによる削減効果を高く見積もる傾向が見られた。これは、成績集計や報告書作成といった「データ処理業務」を多く抱えており、システムの恩恵を直接的に感じやすいためと考えられる。
対照的に、生徒と向き合う時間が長い一般教科教員、クラス担任(副担任)、進路指導担当の教職員は、システムで代替できない「対人業務」が中心であるため、効率化の実感が湧きにくい側面があるようだ。
「校務支援システムを活用することで、残業時間は削減されると思うか」と尋ねたところ、約6割が「大幅に削減されると思う」10.3%、「ある程度削減されると思う」45.6%と回答。システム導入だけで残業時間は削減されるわけではないと考える「慎重派」が約4割存在するものの、それを上回る約6割が、残業削減に「期待」を寄せているのが分かる。これは、アナログな業務管理に限界を感じ、デジタル化によって現状を打破したいという現場の意志のあらわれといえる。

さらに、「校務支援システム活用などで業務が効率化された場合、削減できた時間を主に何にあてたいか」と聞いたところ、最も多かったのは「休息・プライベートの充実」22.4%で、以下、「授業改善(教材研究・指導の質向上)」21.2%、「生徒とのコミュニケーション」20.1%が続いた。「休息・プライベートの充実」が最多で現状の疲労度の高さを物語っているが、「授業改善」や「生徒とのコミュニケーション」も上位で、「本来やるべき教育活動に時間を使いたい」という意欲を持っているのが分かる。
役職別にみると、現場の最前線にいる一般教科教員は「休息・プライベートの充実」が他の役職よりも割合が高く、現場の疲弊レベルの深刻さを物語っている。対照的に、進路指導担当や副校長・教頭、校長などは、システム導入を「授業改善」につなげたいという経営的な視点を持っている。

また、「勤務校での働き方改革は進んでいると感じるか」と聞いたところ、約7割が「全く進んでいない」17.3%、「あまり進んでいない」52.2%と回答。「進んでいない」と感じる教職員が多く、政策やスローガンと現場の実感との間に大きな乖離があることが浮き彫りになった。制度上の変更はあっても、日々の業務量や人員配置といった根本的な課題が解決されておらず、現場レベルでは変化を感じにくい状況が続いている可能性がある。
一方、「働き方改革が進んでいると感じる場合、特に効果を感じる施策は何か」と尋ねたところ、「校務の削減(書類・会議の簡素化、決裁フローの改善)」39.6%が最も多く、以下、「校務支援システムの導入・拡充(成績処理・出欠管理・校務分掌のデジタル化)」32.5%、「業務フローの改善・標準化(教務・庶務・行事運営の手順整理、年間計画の見直し)」23.4%となった。
改革を実感している現場では、物理的な人員増よりも「校務の削減」や「システム導入」が上位に挙げられており、限られた人員の中でも、無駄な業務の削減やデジタルの活用で、働き方を変えられることを証明している。特に、「システム導入」が2番目に多く、成績処理や出欠管理といった定型業務の自動化が、教職員の体感的な負担軽減に大きく寄与しているのが伺える。

最後に、「今後、教務業務の効率化を進めるために必要だと感じる取り組み」について聞いたところ、最も多かったのは「教員数・事務職員数の増員」58.3%で、以下、「学校内の業務フローの抜本的見直し」43.8%、「非効率な校務の削減(ペーパーレス化・会議など)」33.9%となった。最も必要だと感じる取り組みは「人員の増員」で、人員不足こそが、教育現場が抱える問題であることが浮き彫りになった。
この調査は、全国の中学・高校の教職員を対象に、2026年2月4~6日にかけてインターネットで実施した。有効回答数は1010人。
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