1. トップ
  2. データ・資料
  3. 子どもの不登校に「介護休業」条件に適合で活用可能、知らない親8割=サイボウズ調べ=

2026年8月28日

子どもの不登校に「介護休業」条件に適合で活用可能、知らない親8割=サイボウズ調べ=

サイボウズ ソーシャルデザインラボは、多様な価値観を持つ人々が安心して暮らせる社会を目指し、サイボウズ流のチームワークに基づく社会実験(育苗実験)を行っている。

2026年7月8日には、企業で正社員として働く子育て中の親1000人と人事担当者500人への調査から、「孤立する親が存在しているが、企業人事は認識が低く、相談しやすい環境へと動いている企業はごくわずか」という認識ギャップを公表した。

今回は、同じ調査の中から「介護休業」という制度に焦点を当てて分析、27日結果を発表した。


調査からは、この選択肢そのものが親にも人事にもほとんど知られておらず、知らないまま活用されていない実態が見えてきた。

介護休業は、勤務先の判断によっては子どもの不登校・行き渋りへの対応にも活用できる場合がある制度。(本調査の設問文における定義)。

実際に、国もこの点について言及し始めている。
厚生労働省が公表した「介護休業制度等における『常時介護を必要とする状態に関する判断基準』の見直しに関する研究会報告書」(令和7年1月)には、「いわゆるひきこもり、不登校の状態にある対象家族が『常時介護を必要とする状態』に該当するか否かの判断に当たっては、(中略)基準に照らして判断すべきものであり、個々の事情に応じた適切な制度運用がなされるよう留意すべきである」との記載がある[出典:厚生労働省 令和7年1月報告書]。

また、2025年11月には文部科学省および厚生労働省が発行の事業主向けリーフレット「不登校の現状をご存じですか? 事業主・労働者の皆さまへ」を公表し、「不登校児童生徒が育児・介護休業法における『常時介護を必要とする状態』に該当し、保護者の『対象家族』である場合には、介護休業・休暇制度等が利用可能です」と明記して、企業への周知を呼びかけている[出典:文部科学省リーフレット/日本商工会議所 2025年11月28日付周知ページ]。

ただし、これは「不登校であれば自動的に利用できる」という意味ではなく、「項目①〜⑫の基準に照らして該当する場合に利用できる」という条件付きの制度。
*誤解を招かないよう、本レポートにおいても「該当すれば使える場合がある」という認識・表現とする。

こうした国の動きがある一方で、調査からは、この選択肢そのものが親にも人事にもほとんど知られておらず、知らないまま活用されていない実態が見えてきた。


働く親(全体 N=1,000)に、内容まで知っている制度・働き方を尋ねたところ、「介護休業」を挙げたのは34.5%でした。「在宅勤務・テレワーク」54.1%、「フレックスタイム」50.8%、「時短勤務」48.8%と比べると、介護休業の認知度は相対的に低い水準にとどまっている。「介護休暇(短期)」も25.1%と低く、「介護」を冠する制度全体が他の働き方に比べて知られていない傾向がうかがえる。【図表1】


介護休業が「企業によっては子どもの不登校・行き渋りへの対応にも活用できる場合がある」という事実そのものを知っていたかを尋ねたところ、「知らなかった」が63.3%と過半数を占めた。「聞いたことはあるが詳しくは知らなかった」17.0%を合わせると、正確に理解していなかった親は合わせて80.3%にのぼる。「知っていた」は9.6%、「活用したことがある」は10.1%にとどまった。【図表2】


実際に、不登校・行き渋りを経験した親(N=500)が対応に使った休暇を見ると、最も多かったのは年次有給休暇で44.2%。一方、介護休業を使えたと回答した親は3.0%にとどまった。

もっとも、この2つは同じ土俵にある制度ではない。有給がほぼ誰でも無条件に使えるのに対し、介護休業は「常時介護を必要とする状態」という基準に該当する場合に限られる条件付きの制度。今回の調査では、そもそもこの基準に該当し得た人数までは把握していないため、単純に「使われていない」と断じることはできない。

ここからうかがえるのは、多くの親が、子どものケアという場面でありながら、汎用的な有給でしのいでいるという実態。ケアのための制度が選択肢に入らないまま、手持ちの休暇でやりくりしている——その背景に制度の認知や周知の課題がないか、検討する必要がある。【図表3】


なお、図表2の「活用したことがある」は10.1%(101人)だったが、図表3で不登校・行き渋り経験者500人に直接「実際に使った制度」を尋ねると介護休業は15人(3.0%)にとどまり、両者は概ね同数となるべきところに原因不明の開きがある。本レポートではより直接的に不登校・行き渋りを経験した親向けに聞いた「実際の活用」の数値として図表3(3.0%)を採用して検討を進め、図表2の「活用したことがある」10.1%は参考情報として扱う。

「勤務先から介護休業の活用方法について案内されていたら、活用したい(していた)と思うか」を尋ねたところ(「活用したことがある」と回答した101人を除く N=899が対象)、「ぜひ活用したい」18.6%、「状況によっては活用したい」53.0%だった。「あまり/まったく活用したくない」は合わせて15.8%にとどまった。【図表4】


また、子どもの不登校対応で働く親が仕事を続けやすくするために企業に求めることを尋ねた設問(図表5)でも、最多の回答は「使える制度(介護休業を含む)の積極的な周知」53.6%だった。「上司・同僚が理解を示す文化」45.8%、「在宅勤務・時差出勤など柔軟な働き方」38.2%を上回り、1位となっている。【図表5】


人事担当者(全体 N=500)に図表2と同じ問いを尋ねたところ、「知らなかった」34.2%、「聞いたことはあるが詳しくは知らなかった」36.2%で、合わせて70.4%が正確に理解していなかった。「知っていた」は29.6%。【図表6】


この認知度の低さの背景には、制度自体の周知がまだ広がっていない時期的な事情もあると考えられる。国(文部科学省・厚生労働省)が事業主向けにこの点を明記したリーフレットを公表したのは2025年11月であり、本調査の実施(2026年6月)からはわずか半年余り前。周知が社会全体に行き渡るには一定の時間を要するため、人事担当者の認知度がまだ道半ばであること自体は、想定の範囲内とも言える。

さらに、「家庭事情で利用できる制度・休暇(介護休業を含む)はあっても、実際の現場では使いにくい雰囲気があると感じることはあるか」という問いには(全体 N=500)、「よく感じる」17.0%、「たまに感じる」41.6%で、合わせて58.6%の人事担当者が現場の使いにくさを認識していた。制度は用意されていても、人事自身がその活用実態や心理的ハードルを十分に把握できていない可能性がある。【図表7】


家庭事情で利用できる制度・休暇(介護休業を含む)の活用方法を「積極的に周知している」人事担当者は19.4%にとどまり(全体 N=500)、「入社時・制度説明時に案内」28.8%、「申請があれば案内」27.4%という受け身の周知が過半数を占めている(前回リリース既出データ)。「あまり周知できていない」14.4%、「周知していない」10.0%と合わせて24.4%は、周知がまだ十分に行き渡っているとは言えない状況にある。【図表8】


「周知していない」と回答した人事担当者(N=50、複数選択可)にその理由を尋ねると、最も多かったのは「個別に相談があった際に案内すれば十分だと思っている」30.0%だった。次いで「従業員から特に要望がなく、必要性を感じていない」18.0%、「経営・上層部が制度活用の促進に積極的でない」10.0%と続く。【図表9】

「相談があれば案内で十分」という考え方自体は、従業員一人ひとりの事情に配慮しようとする、人事担当者にとって自然な姿勢だと考えられる。しかし、そこには一つのすれ違いが潜んでいる可能性がある。

同じ調査で、人事担当者の58.6%が「現場では制度が使いにくい雰囲気がある」と自ら回答していた(図表7)。現場に言い出しにくさがあると人事自身が感じているのであれば、「相談を待つ」運用は、結果として声を上げにくい親を素通りしてしまう構造になっている可能性がある。

また、前回リリースでは、親が職場に相談しなかった理由として「言い出せない雰囲気だった」(22.0%)「相談しても変わらないと思った」(29.6%)「評価に悪影響があると思った」(12.2%)の合計63.8%が挙げられていた。

この3つの理由の合計(63.8%)とも表裏の関係にあると考えられる。

[調査概要]
調査対象:企業で正社員として働く子育て中の親 計1000人
【内訳】男性500人/女性500人
うち、過去または現在、不登校や行き渋りのある小中学生の保護者男女は、500人
*割付条件:地域・年齢・男女・小学生・中学生別・
在籍する企業規模(従業員数)で割付
人事担当者 計500人 *割付条件:従業員数 ・業種・人事経験年数で割付
調査期間:2026年6月2日(火)〜6月9日(火)
調査方法:パネルを活用したインターネット調査

関連URL

サイボウズの楽校

サイボウズ ソーシャルデザインラボ

サイボウズ

自律的な学習者への第一歩に 自己効力感の向上 活用事例多数紹介 すらら 活用事例のご紹介
ユーバー株式会社

アーカイブ

  • ICT要員派遣はおまかせ!ICTまるごとサポート 詳細はこちら
  • 事例紹介作って掲載します。 ICT教育ニュースの楽々 事例作成サービス