2023年12月4日
横浜市立大学、地方自治体でのデータ活用推進の鍵は職員の変革に対する意欲
横浜市立大学は11月30日、横浜市立大学大学院データサイエンス研究科 黒木淳教授、大山紘平共同研究員らの研究グループが、組織の発展に有効な、個々人の組織に対する貢献意欲を表す、「組織変革へのコミットメント」の日本語版尺度(データ活用推進の文脈)を日本ではじめて開発し、地方公共団体の職員のデータ活用に対する行動意識の実態とその要因の調査を実施したことを発表した。
同調査で、職員のデータ活用推進へのコミットメントと実際の行動意識の関連性が明らかとなった。同研究成果は、雑誌「会計検査研究」に掲載されている。
近年、組織の変革やデジタルトランスフォーメーションは、ビジネスや行政の世界で中心的なテーマとして注目を浴びている。地方公共団体においても、EBPM(Evidence-based Policy Making)の推進と共に、データの活用が効率的なサービス提供や政策決定の鍵となる要素として期待されている。
地方公共団体において、デジタル化やデータ活用を推進することは、行政組織における業務プロセスの変革を進めるもので、これは組織変革概念に含まれる。たとえば、データを活用せずに直観的な意思決定の下で業務を行っていた組織が、データ活用の下で業務を行うようになる場合には業務プロセスの変更といえる。
また、データを分析する際に BI(Business Intelligence)ツール、統計言語処理の可能なプログラミングソフトを用いることが一般的で、データ分析に必要な情報システムの導入や利用、それに伴うシステムの変更はプロセスの変革をもたらす。
しかし、このようなデータ活用推進のプロセス変革において、鍵となる職員のマインドセットへの理解に資するような先行研究は十分ではない状況だった。
研究の結果、データ活用の推進には、対価に基づくよりも、組織への愛着や、変革への義務感に基づく意欲が重要であることがデータで裏付けられた。また、データ活用の推進には、組織への愛着に基づき変革の意欲のある職員や、変革に対して義務感を持つ職員の活躍が重要であることがわかった。
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