2025年10月9日
ユーバーの「Scratchで小・中学校のプログラミング」Vol.27 <スクラッチでアンケートの集計>
ユーバープログラミングスクールの中村里香代表による、小学校のプログラミング授業で使ってほしいプログラミング言語Scratch(スクラッチ)の学習動画第27回。
今回は<中級者>向け、Scratchでアンケート結果を集計するプログラムを作ります。
アンケート結果を集計する
今回はScratchの「○ときいてまつ」と「こたえ」とリストを使ったアンケートで複数名の回答結果をリストに集計するプログラムを紹介します。
◆「○ときいてまつ」と「こたえ」を使って一人分のアンケートをとる(前回のおさらい)
リスト「項目リスト」には好きな給食アンケートの回答となる選択肢をあらかじめ格納しておきます。
リストとは、変数の一種で、複数の値をまとめて保存できる便利なしくみです。
「うさぎ」のスプライトで、緑の旗が押された時に、「(番号で答えてね!1.コロッケ 2.カレーライス 3.ソフトめん)ときいてまつ」を実行し、答えの入力を待ちます。
入力値は「こたえ」に代入されますので、「(項目リスト)の(こたえ)ばんめ」を使ってセリフで復唱します。
「○までくりかえす」のブロックで、「こたえ」の入力値が1〜3の範囲でない間は、質問を繰り返して、入力値を1〜3の範囲になるように対策をしています。
複数人分の回答を集計するために、新しいリスト「結果リスト」を準備します。
1. 最初に全てを削除
2. 項目の集計用に、3つのデータを「0」で追加
「結果リスト」の1番目には「コロッケ」の得票数、2番目には「カレーライス」、3番目には「ソフトめん」の得票数を集計します。
つまり「こたえ」で取得する値が、リスト内の位置(○番目)に対応するのです。
一人分の回答を取得する処理に、「結果リスト」への集計を付け加えて、複数人に対応できるようにします。
まず、回答者の「こたえ」に応じた集計先に1票を足します。
• 「こたえ」には、リストの位置にあたる1〜3が代入されています。
• そこで、「(結果リスト)の(こたえ)番目」に「1」を足せばよい、ということになります。
このとき、「(リスト名)の○ばんめを□でおきかえる」ブロックを利用します。
「(結果リスト)の(こたえ)ばんめを((結果リスト)の(こたえ)ばんめ + 1)でおきかえる」のようにします。
例えば「こたえ」が「1」(コロッケ)の場合、最初に結果リストの1番目には0が入っています。そこに1を加えて「1票」にします。次の回答者も「1」の場合はさらに1を加えて「2票」になります。このように、「こたえ」の番号に応じて結果リストの該当位置を1ずつ増やして置き換えていきます。
最後に、質問から集計までの一連のブロックを「ずっと」ブロックで囲み、複数名に対応できるようにします。
複数人へのアンケートなので、終了する機能が必要です。今回は、アンケートを繰り返す「うさぎ」のスプライトに、スクリプトを停止する機能を追加します「このスプライトがおされたとき」を利用し、その中に「スクリプトのほかのスプライトをとめる」ブロックを入れます。これにより、アンケートの繰り返し処理を停止させます。
利用者が止め方を分かりやすいように、プログラムの最初に「全員が答えたらボクを押してね」といった説明のセリフを追加しておくと親切です。

今回は、Scratchの「○ときいてまつ」と「こたえ」そしてリストを組み合わせて、複数人分のアンケート結果を集計するプログラムを作成しました。
次回は、集計結果を棒グラフで視覚化し、よりわかりやすく発表できるプログラムに挑戦します。
授業での活用
Scratchはゲームづくりだけでなく、子どもたちのアイデアの表現、発表、調べ学習など、さまざまな教育活動で活用できるツールです。
今回紹介したプログラムは、複数名の回答を自動で集計できるようになったことで、授業や学級活動の場面により直結した活用ができるようになりました。子どもたちにとっても「自分の意見がデータに反映される」「全体の傾向が見える」という体験は、学びの広がりにつながります。
次回は、集めた結果をもとに 棒グラフで可視化 し、より分かりやすく発表できるプログラムに挑戦します。
<筆者プロフィール>
ユーバー株式会社 代表 中村里香
2017年4月、すべての子どもが楽しく学べるプログラミング教育を目指し、ユーバー株式会社を設立。プログラミング教室運営、クラウド型学習サービス「うさプロオンライン」の提供、教材開発、講師育成支援、体験イベントの開催などを行う。環境に左右されない学びの機会を届けるため、教育現場や企業と連携し活動中。
ご質問・お問い合わせ info@yuber.jp 中村宛(ご質問は該当記事のURLを添えてください)
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