2025年10月23日
ユーバーの「Scratchで小・中学校のプログラミング」Vol.29 <スクラッチでアンケートの結果発表>
ユーバープログラミングスクールの中村里香代表による、小学校のプログラミング授業で使ってほしいプログラミング言語Scratch(スクラッチ)の学習動画第29回。
今回は<中級者>向け、Scratchでアンケート結果を自動で発表するプログラムを作成します。
アンケート結果を発表する
今回は、前回までに作った「アンケートを集計してグラフ化するプログラム」をさらに発展させ、一番人気のメニューを自動で見つけて発表する仕組みを追加します。
◆アンケート結果の集計とグラフ表示(前回のおさらい)
「うさぎ」のスプライトで、給食の好きなメニューのアンケートをとり、メニューごとの得票数を「結果リスト」に集計します。「うさぎ」のスプライトが押されたら、アンケートをとる処理を停止し、グラフ描画の合図としてメッセージ「グラフ」をブロードキャストします。
使用するリストは以下の通りです。
・項目リスト:「1.コロッケ」「2.カレーライス」「3.ソフトめん」など、選択肢を入れる。
・結果リスト:各メニューに対応した得票数を格納する。

「グラフ」のスプライトは、メッセージを受け取ったら、項目ごとに得票数分のスタンプを縦に積み上げて棒グラフを表示します。
まずはグラフ描画の前と描画中に「おわるまで○のおとをならす」ブロックで楽しい音の演出を加えます。

音を加えることで、注目を集め、発表の場をさらに盛り上げることができます。グラフが表示されるまでの「ワクワク感」を演出します。
◆一番人気を探す定義
グラフ描画が終わった後に、一番人気のメニューをセリフで表示するためにブロック定義を作ります。
「ブロックていぎ」の「ブロックをつくる」ボタンで「一番人気を探す」定義を作成します。
・変数の準備
- 「一番人気番号」:得票数が一番多い項目の番号(位置)を入れる
- 「比べる番号」:比較対象となる項目の番号を入れる
・比較の手順
1. 最初の比較
– 「一番人気番号」に1を代入(まずは1番目を仮の一番人気とする)
– 「比べる番号」に2を代入
– 「結果リスト」の1番目と2番目を比べる
– もし2番目の得票数が多ければ、「一番人気番号」を2に更新
2. 次の比較
– 「比べる番号」を1つずつ増やし、3番…と順番に比較
– 比較して得票数が多ければ「一番人気番号」を更新
– リストの最後まで繰り返す
・結果を表示
最終的に「一番人気番号」には、得票数が一番大きい項目の番号が格納されています。最後に「(項目リスト)の(一番人気番号)ばんめ」をセリフで表示すれば、一番人気のメニューが発表できます。

*今回は獲得数が同数の場合は、リストの項目番号が若い方を表示しています。
◆プログラムの完成
完成した「一番人気を探す」ブロック定義は、「(グラフ)をおくってまつ」ブロックの次に繋げます。これにより、グラフ描画が終わった後に、自動で一番人気のメニューが発表されます。

これで、Scratchでアンケートをとり、結果を集計して発表するプログラムが完成です。
授業での活用
Scratchはゲームづくりだけでなく、子どもたちのアイデアの表現、発表、調べ学習など、さまざまな教育活動で活用できるツールです。
今回紹介した「アンケート結果を発表するプログラム」は、得票数の多い項目を自動で見つけて表示できるのがポイントです。
「アンケート(質問と答え)→集計(リストに格納)→棒グラフ→結果発表」を通して、子どもたちは「意見を集めて整理し、数値やグラフで視覚化し、結果を表現する」という一連の流れを体験できます。教科学習だけでなく、さまざまなシーンで活用していただけたらと思います。
<筆者プロフィール>
ユーバー株式会社 代表 中村里香
2017年4月、すべての子どもが楽しく学べるプログラミング教育を目指し、ユーバー株式会社を設立。プログラミング教室運営、クラウド型学習サービス「うさプロオンライン」の提供、教材開発、講師育成支援、体験イベントの開催などを行う。環境に左右されない学びの機会を届けるため、教育現場や企業と連携し活動中。
ご質問・お問い合わせ info@yuber.jp 中村宛(ご質問は該当記事のURLを添えてください)
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