2016年10月17日
子どものための無料プログラミング道場「CoderDojo」をはじめてみませんか
隠れ家代わりの居場所を見つけた“忍者”
「“忍者”って本当は、CoderDojoに参加している子どもたちの事なんですよ。だから私は、“忍者の先輩”なんです」と黒い作務衣姿で登場したのは、CoderDojo小平の道場主とがぞのさん。忍者の先輩だけに、本名・顔出し厳禁である。
とがぞのさんがCoderDojoに出合ったのは2年程前。はじめたきっかけは、自分の隠れ家・・・いや居場所作り。大学を卒業後、会社に入ってから本格的にプログラミングを学び、SEになった。多忙な日々を送っていたある日、ふと昔の夢「漫画家」になりたいという思いが膨らんで退職。本気で漫画家を目指すが、あえなく挫折。自分を見失いかけた日々を送っていた。
ただ、心の中では社会の役に立ちたい、「教育」「地域」「IT」そして「教育の機会均等」をキーワードの何か出来ないだろうかという思いを持ち続けていた。昔はSEをやっていた。10年以上ブランクあるが、プロとして教えられるのはやっぱりプログラミングかな、と。下北沢のCoderDojo Tokyoを見学、やれそうな実感をつかんだという。
隔週水曜日の18時30分が、CoderDojo小平の開始時刻。開始30分以上前から子どもたちが集まってきて、マインクラフトで遊んでいる。1人でやっているところに1人がやってきて2人に、もう1人やってきて3人に。仕組みは分からないが、3人が連動してゲームを展開している。学びではなく遊びなのだろうが凄い。
CoderDojo小平の壁には、「道場の掟(おきて)」が沢山貼られている。「できることから」「失敗を恐れない」「何事も自主的に」「学びあい教えあう」、そして「みんなで一緒に遊んで学ぼう」。この場所は、とがぞのさんだけでなく子どもたちにとっても大切な「居場所」なのである。だから、子どもたちが自主的に活動することを求める。CoderDojoを“無料の教室”と勘違いされるのが一番困るという。無料で教わるのではなく、場所と道具は用意するから自分で考えて、自分でやりなさい。
カリキュラムはないが学びの段階やレベル設定はしている。PCでHour of Code(アワーオブコード)をやってViscuit(ビスケット)をやってみる。難しいようならタブレットでHour of Code(アワーオブコード)をやってからScratchへと進んでみる。インターネット検索なども自在に出来るようにと、タイピング練習もしているという。子どもたちに目標を設定するため、とがぞのさんも手本を示さなければならないので練習が大変だとか。
とがぞのさんは、CoderDojo小平のことを「プチ田舎の小さな道場」と表現する。たしかに、参加人数もメンターの人数も多いとは言えない。しかし、存在感や役割は増していく。「自分がやっていて楽しく、継続できることをやりたい」「こどもたちに、平等に、やりたいことをする機会を提供したい」という思いではじめたCoderDojoだが、地域での役割も期待されているようだ。
今年10月~12月にかけて小平市教育委員会が実施する「子どもプログラミング教育 サポーター養成講座(全3回)」の企画・運営を依頼された。第1回の講師に安川 要平CoderDojo Japan 代表理事が登壇した講座をはじめ全3回はすべて満席となり、市民の関心の高さをうかがわせる。
「運営資金も足りないし、忍者もメンターもすくない。大変なんですよ」と言いながら、道場でとがぞのさんの笑顔が絶えることはなかった。
ボランティア精神ではなく自分のためにCoderDojoをはじめてみませんか
CoderDojoは7〜17歳の子どもを対象にしたプログラミング道場です。2011年にアイルランドで始まり、世界では63カ国・1000の道場、日本では全国に65以上の道場がある。今年8月には、CoderDojo の公式日本支部「一般社団法人 CoderDojo Japan」が設立。国内のCoderDojoを後押しする体制強化が進められる。
CoderDojoの開設・運営で守らなければいけないのは、「子どもや保護者から参加費を徴収しないこと」、「参加者を人種・性別・経済状況などで差別しない」ということくらいで、実際の運営は各CoderDojoに任されている。
CoderDojoを開催することの意義について安川 要平CoderDojo Japan 代表理事は「ボランティア活動と解釈されるのは少し違います。たしかに子どもたちの役に立つ無料の活動ではありますが、自分のためでもあります。プログラミングのプロとして仕事をしている人が、仕事では出会えない人脈作りに役立てる事もあるし、教え方を学ぶ人もいます。もちろん、子ども好きの方が一緒に楽しみたいと思うこともあるでしょうし、地域コミュニティとの関わりを持ちたいという人もいます。私自身は、本当に得がたい人脈を得られました」と、自分自身の目的をもってはじめることが大切だという。
そして、「一度、近くのCoderDojoを覗いてみてください。きっと自分でもやれそうだとおもうはずです」と、安川さんは出来そうな人々を後押しする。
「寺子屋形式で小規模でもいいからCoderDojoを始めて欲しい」と宮島さん。「小学校の学区に1つずつCoderDojoがあったらいいのに」と、とがぞのさん。
CoderDojoのような活動が日本のプログラミング教育を支えていくのかもしれない。
あなたも、子どものための無料プログラミング道場「CoderDojo」をはじめてみませんか。
関連URL
CoderDojo Japan
CoderDojo柏
CoderDojo小平
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