2016年7月26日
佐賀県に学ぶ。自治体が失敗しない教育現場へのICT導入
佐賀県に学ぶ。自治体が失敗しない教育現場へのICT導入
~佐賀県在住教育ICTコンサルタント 田中康平氏に訊く~
佐賀は昔から「先進の気風」で知られたところ。
薩摩や韮山で有名な反射炉、最初に導入したのは佐賀藩(1850年)だった。日本で初めて鉄製大砲を鋳造した反射炉も、蒸気機関や写真、ガラスなどの研究を行った研究所も佐賀にあった。幕末の佐賀藩は、日本の産業革命の拠点、近代化のトップランナーだった。
幕末から明治にかけて活躍した「佐賀の七賢人」と呼ばれる人たちは、学問・医学・政治・外交など様々な分野で顕著な功績を残した。また最近では、日本のIT革命の祖といってもいいソフトバンクの孫正義会長も佐賀県出身である。“変革期に強い”のが、佐賀県人の気質だとも言われているらしい。
さて今は21世紀、グローバル化の時代。情報通信やコンピュータが想像を超える速さで進化、革新を続け、「第4次産業革命」と呼ばれるようになってきた。
変革の時代。「先進の気風」あふれる佐賀が動いた。2011年度には、教育の情報化の推進目標と工程を具体化した「先進的ICT利活用教育推進事業」を、佐賀県総合計画2011において県の最重要施策に位置づけ、全県規模で取り組むことを決めた。
日本全国に先駆け、ICTの積極活用にチャレンジした佐賀県の取り組みは、成功したのか、失敗だったのか。まだまだ途上なのか。
九州ICT教育支援協議会会長で佐賀県の「ICT利活用教育の推進に関する事業改善検討委員会」の委員も務める教育ICTコンサルタント、田中 康平NEL&M代表に話を訊いた。
佐賀県の取り組み
2014年4月、佐賀県は県立学校の新入生徒全員に1人1台の情報端末導入を開始。2016年4月入学の新入生で3学年全員が1人1台の学習環境で学ぶことになった。
1人1台導入2年目の昨年5月には、佐賀県ならではの教育の特色を活かした、より効果的なICT利活用教育の実施につなげることを目的として、「ICT利活用教育の推進に関する事業改善検討委員会」を設置。「先進的ICT利活用教育推進事業」の検証を開始した。
今年3月には、県立高校の生徒と教員のICT教育に対する満足度について行った調査結果で、2015年は生徒の8割、教師の6割以上が満足と答えたと発表した。
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