2014年12月12日
俊英館×TENTO/ 教科教育と組み合わせたプログラミングワークショップを開催
進学塾の俊英館 とプログラミングスクールのTENTOは7日、御茶ノ水にあるデジタルハリウッド大学で、国語・算数の教科教育にプログラミングを組み合わせたワークショップ「One Dayプログラミング体験キャンプ ~Scratchで図形・物語を学ぼう!~」を共同開催した。
同イベントは、子供向けプログラミング教育への関心が高まっていることを受け、進学塾の俊英館と首都圏で5教室を展開するプログラミングスクールTENTOとが企画したもの。一般的に、子供向けのプログラミングワークショップといえばゲームを作成するものが多いなか、同イベントでは国語や算数など、教科教育で活用できるプログラミング学習に挑戦。MITメディア・ラボが開発したプログラミング環境「Scratch」(スクラッチ)を用いて、小学3年生から6年生までを対象に開かれた。
イベント冒頭で俊英館の小池氏は、プログラミング教育の義務化や、企業・各団体のプログラミング教育に関する取り組みについて述べ、「プログラミング自体を学ぶのではなく、プログラミングを通して学ぶことができる“論理的思考”や“表現の多様性”への関心が高まっている」と説明した。
TENTO代表の竹林氏は、「ゲームというアプローチではなくても、教科の教育にプログラミングの要素を取り入れることで、子供の学びの態度を変えることができることを実感してもらいたい」と述べた。ゲストスピーカーの玉川大学・小酒井正和准教授は「子供のたちの将来は、半数以上が今までになかった仕事に就いたり、新しい仕事を生み出す能力が求められる。そのためにはプログラミングを学ぶことが必要だ」と述べた。
ワークショップは会場を2つに分けて行われた。子供たちは国語と算数の好きな方を選んで参加した。
国語のテーマは、『Scratchで物語を作ろう!』。TENTO代表の竹林氏が講師となり、三幕構成の物語を作る課題に取り組んだ。子供たちは、まず、スクラッチの基本的な操作の説明を受けた。スクラッチの特徴である「制御」「見た目」「調べる」「動き」など、目的別に分かれた命令ブロックを組み合わせてモノを動かす仕組みを学び、その後、会話文の挿入や背景を変更するプログラミングに挑戦した。
続いて、課題である三幕構成の物語制作に取り組んだ。子供たちは紙のワークシートに、場面や登場人物を書き込み、「始め」「冒険」「終わり」の順番に従ってストーリーを考えた。
スクラッチで物語を作成する場合は、構成や物語の展開を明確にしなければならない。文章で物語を書く時は、曖昧なつながりでも話として成立するが、プログラミングを用いた場合は、場面設定や登場人物の動き、話の展開など物語をより構造的に考え、実行しなければ成立しない。
TENTO代表の竹林氏は「より深く考えるためにプログラミングを活用するのは、教科教育でも有効だろう」と話す。
算数のテーマは『Scratchで図形を描こう!』。TENTOの平山希夢氏が講師を務めた。子供たちは最初に、ロボットのスタート地点の座標を設定し、そこからロボットを動かして横線や直角線を描いた。その後、ロボットの曲がる角度を考え、「120度は三角形」、「90度は四角形」という具合に四角形や三角形、五角形の描画に挑戦。さらには多角形、円の描画にも進み、「繰り返し」のブロックと図形の傾きを利用したタートルグラフィックスにも取り組んだ。中には、変数を用いて“うずまき”の描画に挑戦した小学生もいた。
算数のワークショップを担当した平山氏は「子供の集中力がすごく、想定よりもかなり上のレベルのことができた。角度や変数の感覚を実体験してもらえたと思う」と述べた。定規と分度器を使って図形を描くことはできるが、プログラミングを用いることで、様々な数値を入力しながら角度と図形の関係を試行錯誤できるのはメリットだ。
「自分の仮説を試して、すぐにフィードバックで結果が得られることは、子供たちの興味・関心を高め、学習意欲を向上させるのに役立つ」とTENTO代表の竹林氏は語る。
最後は、子供たちが制作した作品発表会とクロージングが行われた。作品発表会では、国語と算数のグループからそれぞれ1名が選ばれ、作った作品を発表した。今回のイベントについて共同主催者の俊英館・小池氏は「子供たちの熱心に取り組む姿を通して、教科教育の中にプログラミングを取り入れることは、彼らの思考や創造を深めるために有効な手段であると示せたのではないか」と述べた。[取材:神谷加代]
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