2014年12月18日
JCEA/「2014年著作権セミナー」 関心高く満席で開催
日本著作権教育研究会(JCEA)は、「2014年著作権セミナー」を12日に東京国際交流館で開催した。
著作権の2次利用の申請を中心に、海外含めて年間約4000件を受諾し、実務経験が豊富な日本著作権教育研究会のセミナーとあって、80名の定員は満席となった。
セミナーは、日本著作権教育研究会の松岡さとみ代表理事の挨拶とともに始まった。
松岡代表は、「2013年は、260の大学から依頼を受けて入試問題の2次利用の申請を行った」と、会の業務について説明。また、「近年、MOOCなどのオンライン講座や、オンラインの教材、塾の教材などの処理に関する依頼や問い合わせを受けるようになっている」と語った。
特別講演「著作権入門」には、かがやき総合法律事務所の矢根俊治弁護士が登壇。
著作権について、「著作物を創造した人が持つことができる権利」という定義を紹介するとともに、その特徴を「役所への登録手続きが不要で、死後も権利が存続するため所有者が分かりづらい」と述べた。
「私的使用のための複製」「引用」「学校等教育機関の複製等」「試験問題としての複製等」などの、著作法で定められた著作物を自由に使うことができる条件を確認した後、教育機関での事例をもとに著作物の利用について参加者と一緒に考えた。
新聞記事の利用では、「大学職員向けの冊子に新聞記事のコピーを掲載すると、私的使用の範囲を超えているため著作権の侵害になるが、一部を引用の範囲で紹介する場合には問題ない」と解説。どのような行為が複製にあたり、どのような行為までが著作権法で認められているのか、様々な事例をもとに確認した。
「これで安心 入試問題の著作権処理」と題した講演では、日本著作権教育研究会の内田弘二事務局長が、著作権処理のためのポイントを紹介した。
著作権第36条で、試験で世間に公表された著作物を利用することは、著作権者の利益を侵害しない限り認められていると説明。しかし、入試問題の作成には、著作物の「改変」や「引用」、「出典明記」という問題点があるという。
「改変」については、「文章の書き換えはクレームになりやすい」と述べ、「特に英語の文章の場合、学生がまだ習っていなかったり、難しすぎる単語を書き換えてしまうケースが多いが、書き換えは行うべきではなく、改変をしなくてすむような文章を選択するべきだ」と続けた。
途中余談を挟みながら、入試問題の2次利用には全て許諾が必要だという点や、問題を作成時における出典情報の保管、許諾の取り方などを確認。最後のまとめの中で、海外で多いという高額な著作権利用料の請求には、「日本の相場を上げないためにも利用しないという選択肢も持つべき」と述べ、セミナーを締めくくった。
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