2015年11月26日
ロイロノート/「こども授業成果発表会」&「ユーザー会秋 2015」で熱気あふれる
LoiLo(ロイロノート)は21日、ロイロノート・スクールを活用する子どもたちが授業の成果を発表する「SPEAK OUT こども授業成果発表会」と、「ロイロノートユーザー会秋 2015」を同志社中学校グレース・チャペルで開催した。会場には、発表を行う小中学生や教職員、児童生徒の発表を見守る保護者や関係者など様々な人たちが集い、熱気あふれる発表が行われた。
ロイロノート・スクールは、これからの学校教育に必要とされる、アクティブ・ラーニングにマッチしたタブレット用授業支援アプリ。教材作成とそれに伴う配布、回収、比較、共有、発表、質疑応答などが簡単に行える点が特長となっている。カードをつなげて構成するなど、画面上で試行錯誤が容易に行えるため、思考をまとめて発表するといった活用が可能で、学習者の思考力や判断力、表現力を養うことができるという。
こども授業成果発表会で最初に登壇したのは、京都市立錦林小学校の女子児童。「福祉を支える若者を変えるためには教育を変えることが必要!それには広い視野を持ち疑問を感じることが必要」と語り、そのために自らのクラスでも「疑問を追及することができる”パフォーマンス課題”を研究している」と述べ、最後に疑問を呈する形で次の発表者につなげた。その後も9名の児童による聞きごたえのある発表が続き、ロイロノート・スクールを活用した大人顔負けのプレゼンテーションに対して、会場の参加者も大きな拍手で応えた。
次に、同志社中学校の生徒から、授業や予習といった日常的な学びや体験学習など学びのシーンごとに、iPadやロイロノートほかのITツール活用についての報告があった。
2014年に1人1台iPad環境を整えた同校では、授業でもiPadをフル活用している。例えば史跡を調べてプレゼンする授業では板書された画面が後でiPadに送られてくるため、後で何度でも見直して学習に役立てている、とそのメリットを語った。
また、近畿大学附属中学校の発表では、問題を作って解く実習ではkahoot! を使いゲーム感覚で取り組んでいるほか、ロイロノート・スクールの活用としては、問題の作成や画面配信の機能を使って先生の説明を聞いたりする際に便利で、さらにカードとカードの間にまっすぐな線を引く機能が追加されたので、より分かりやすくなって良かったと述べるなど、日常的な学びにIT機器が無理なく活用されていることが分かった。
続いて行われた「ロイロノートユーザー会」は、関西大学の黒上晴夫教授によるワークショップからスタート。黒上教授は、考えを進める手続きやそれをイメージさせるための手段として“シンキングツール”の活用を推奨している。
ワークショップは、壁に描かれた兵士の絵について、表情、タッチ、色の3つの視点から感じることをY字の図表に書き出し、意見交換するという流れで進められた。こうしたシンキングツールの活用によって、比較や分析、関連付けといった考え方を視覚的に理解することができるようになり、思考を広げることができると述べ、また今後の予定として、ロイロノート・スクールの機能の一つとして融合させる考えがあることを語った。
続いて登壇したのは、オープニングで見事なプレゼンを見せてくれた京都市立錦林小学校の児童を指導した長野健吉教諭。「『単元を貫いた思考のベース』ロイロノート・スクール」をテーマに「児童にツールを使い倒させ」、「学ぶ楽しさ、学び続ける力をつけさせる」ための取り組みについて紹介した。
人が何かを学ぶ際には段階があり、“知っている”から“分かる”へ、“分かる”から“使える”へと進んでいくが、“知っている”から“分かる”にすることが思考のベースを作ることであり、“分かる”から“使える”が思考をつながる状態にすることだ、と長野教諭。まず思考のベースを作るために、児童たちはロイロノート・スクールのカードを使って「思考したことをそこに残し、さらにそれ
を見て話す、を繰り返すことで自分の考えをはっきりとさせていくことができる」という。
そして、思考を整理していく具体的なサンプルとして、シンキングツールの一つである“ピラミッドチャート”とロイロノート・スクールを使った例を挙げた。ピラミット状の図形を使って学習したすべての情報(メモや実験結果、動画など)をまとめるというもので、下層には事実を記した数枚のカードを並べ、上に行くほど上位概念になるよう整理されている。そして、頂点に位置づけられるのが、学んだ内容を活用して最後に発表を行う「パフォーマンス課題」だと説明。こうして作られた図があることで、「アウトプットする際に、自分の思考がどのように整理されてきたのかに注目することができるようになる」と、長野教諭。
こうした取り組みから得た結論として長野教諭は、ロイロノート・スクール活用は単元を貫いた思考のベース作りに役立つ、とそのメリットを語った。
続いて行われた同志社小学校の実践報告では、振本ありさ教諭らが登壇。同志社小学校では、2013年度に小中連携の英語授業からロイロノート・スクールを使い始め、2015年度からはiPad90台とMacBook60台を導入し、ロイロの校内研修も行うなど、IT活用が本格化したところで、動画を使った活用等、すぐに取り組みやすい活用事例を紹介。同志社中学校の実践報告では、社会科の青木潤一教諭、英語科の香月佳容子教諭が、楽しみながら学習できるロイロノート・スクール活用例を、図書・情報教育部の反田任教諭がロイロ活用を含めた同校のICT活用状況についてそれぞれ発表した。
最後に大阪大学岩居弘樹教授が、大学での実践報告と言語学習の体験ワークショップを行い、5時間にわたる発表会も終了。長時間にもかかわらず熱気にあふれるイベントとなり、児童生徒や教職員それぞれがロイロノート・スクールを日常の学びに活用し、その輪が広がっていることを実感させる催しとなった。
「ロイロノートユーザー会」は、次回、2016年1月9日に東京・千代田区立麹町中学校で開催する予定。
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