2017年1月22日
大阪教育大池田小・佐野先生の「MetaMoJi ClassRoomを使った授業実践」
【PR】ICT機器の魅力を活用した授業を
~リアルタイム授業支援アプリMetaMoJi ClassRoomを使った授業実践~
大阪教育大学附属池田小学校 佐野 陽平
知人と連絡をとるときには、メールやSNSがあり、調べものをするときには、インターネット検索をする。現代社会において、ICT機器は生活に欠かせないものとなっている。この社会の変化に応じて、教育の環境に変化があることは当然だと考える。実際、学校のネットワーク環境などのインフラは変化しており、電子黒板やタブレット端末などのICT機器も、現場にどんどん導入されている。
それに伴い、教師には学習内容に適したICT機器の活用が求められている。しかしながら、念頭に置かなければならないことは、くれぐれも「ICT機器を使う授業」を目標としないことである。教師は「ICT機器によって学習効果が上がる授業」を作っていかなければならない。そのためには、ICT機器の魅力を把握した上での授業づくりが必要である。そこで、今回は主に「簡単に操作できる」「授業準備の効率化」「考えの共有化」という点に着目した実践例を紹介する。(電子黒板、iPad、リアルタイム授業支援アプリ「MetaMoJi ClassRoom」を利用)
小学3年 社会科「コンビニエンスストアへ見学に行こう~見学の視点づくり~」
社会見学前には、児童に見学する際の視点づくりをさせることが重要である。そこで今回の授業では、児童一人ひとりがコンビニエンスストアの店長となって、商品をお店のどこに置くかを考えた。見学時に、商品の配置の工夫に気づかせるためである。
簡単に操作できる
授業では、「MetaMoJi ClassRoom」を使って商品の写真をタブレット上のお店の見取り図に配置していく。児童は販売者の気持ちになって、「おにぎりは、ここかな?」「じゃあ、雑誌はどこに置こう?」と試行錯誤を繰り返しながら工夫して商品の配置を考える。
従来のように紙媒体で作業をすると、糊付けが必要となり、やり直しがきかなくなることがある。「あ~、やっぱりこうしたかったのに・・・」という声が出てくるのである。また商品をカードにすることになるので、机の上がたくさんのカードで作業しづらくなってしまう。
ところが、ICT機器を用いれば簡単に作業ができるようになる。児童はコピー&ペーストを繰り返すことで、何度でも商品の配置のやり直しができる。さらには、「売れそうな商品を多くしたい」という考えから、同じくコピー&ペーストで商品を増やす児童もいた。写真に示すように、机の上にカードが散乱することもなく、iPadのみで活動することができた。
授業準備の効率化
ICT機器を使わずに、同内容の授業をするには、以下の物が必要になる。
1.お店の見取り図を入れたワークシート
2.商品カード(商品数×児童数)
3.はさみ・のり
2つ目の商品カードの用意にはかなりの時間と労力が求められる。商品カードを児童数に切ったり、1人分に小分けする作業は非常に大変である。だからといって、授業中に児童に切らせたり、分けさせたりすると授業での活動時間がなくなってしまう。
今回の授業準備は、パソコンで1人分のワークシートと商品カードを作り、それらを児童が使うiPadに配信しただけである。念のために、事前に教師用と児童用のiPadで動作チェックを行ったが、その時間を踏まえても効率よく準備ができていることは明白である。
それぞれの考えの共有化
ICT機器の最大のメリットは、リアルタイムの共有性ではないだろうか。この授業では電子黒板にそれぞれの学習状況を映したり、複数人のワークシートを即時に比較表示したりした。
自分なりに考えをまとめた後、さまざまな考えをその場で全体共有したのである。それによって、自分の考えと友だちの考えに共通点や相違点に気づき、「自分と同じだ」と自分の考えに自信をつけたり、「どうしてだろう?」と思考を深めたりすることができる。さらに比較をした上で、iPadを持って自由に立ち歩いて学び合うと、話し合いは活発化する。なぜなら、学び合う相手を考え方から探すためである。「自分とよく似た考えだけど、理由も同じかな?」「自分とは違うようだけど、どうしてあんな考え方をしたのだろう?」という思考から、学び合いがスタートするのだ。
今回の授業では、「簡単に操作できる」「授業準備の効率化」「考えの共有化」という点からICT機器を有効に活用した授業を紹介した。当然のことながら、ICT機器だけではなく黒板も活用し、言語活動も取り入れた授業であるということを、誤解のないようにしたい。デジタルとアナログの融合も求められることである。
教育現場にはICT機器が増え続けている。ICT機器に興味をもつ教師も増えてきている。そして、子どもたちはICT機器が大好きである。それゆえに求められるのは、ICT機器の魅力を活用した授業である。やはり、教師は「ICT機器によって学習効果が上がる授業」を作っていかなければならない。
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