2019年8月28日
社外の自己研鑽、日本は46.3%が「何もせず」でアジア最多、パーソル総合研究所調べ
パーソル総合研究所は27日、日本を含むアジア太平洋地域(APAC)の14の国・地域の就業実態・成長意識をインターネットで調査した結果をまとめ発表した。
それによると、現在、非管理職の人に「管理職志向」を聞いたところ、日本は管理職になりたい人の割合が21.4%で、14の国・地域で最も低かった。
逆に言えば、日本では積極的な管理職志向がない人が78.6%にものぼり、出世意欲も低い。
勤務先以外での学習や自己啓発については、日本は「特に何も行っていない」が46.3%で、14の国・地域で最も高い。2位のオーストラリアと比べて24.8ポイントもの差があり、段トツで自己研鑽していない実態が判明した。
東南アジア(シンガポール以外)やインド、中国では「何も行っていない」は1割未満で、自己研鑽に意欲的な様子がうかがえる。
起業・独立志向も、日本は15.5%しかなく最も低い。東南アジア(シンガポール以外)、インド、中国では、起業・独立志向は4割を超えている。
仕事選びで重要視する点について、日本は、1位「希望する年収が得られること」、2位「職場の人間関係が良いこと」、3位「休みやすいこと」だった。
「年収」は他国も1位ないし上位だが、「職場の人間関係」や「休みやすさ」は日本だけがベスト3に入っており、独自の傾向が見られる。
また、ダイバーシティに関しても日本は受容度が低く、「女性上司のもとで働くことに抵抗はない」の項目で最下位、「外国人と一緒に働くことに抵抗はない」で最下位、「年下上司のもとで働くことに抵抗はない」でワースト2だった。
オセアニアや東南アジア、インドは全体的にダイバーシティに「抵抗はない」割合が高い。
日本は、「働き続けたい年齢」が63.2歳で最も高かった。韓国と、オセアニアの2カ国も60歳以上で日本に続く。東南アジアは、東アジアやオセアニアに比べると働き続けたい年齢は低く「50代前半」という国も複数ある。また、男女による差はほとんど見られない。
勤務先の満足度に関して、「会社全体」「職場の人間関係」「直属上司」「仕事内容」「プライベート」の各項目で満足度を尋ねたところ、14カ国平均では各項目とも70%以上で、「会社全体」は80.2%が満足している。
この14カ国平均値と各国を比較したところ、日本は勤務先に関する満足度が低く、「会社全体」に満足している人の割合は52.3%、「職場の人間関係」は55.7%、「直属の上司」は50.4%、「仕事内容」は58.2%で、すべて最下位だった。
東南アジア、インド、オセアニアは、14カ国平均を上回るか同程度の国が多く、中国以外の東アジアとシンガポールは全5項目が14カ国平均を下回った。
今の勤務先で働き続けたい人の割合も、日本は52.4%で最下位。一方で、日本の転職意向は25.1%でこちらも最下位。勤め続けたいとそれほど思っていないが、積極的な転職も考えていないというのが実態。
中国、ベトナム、インドでは、勤続意向は8割以上と高いが、転職意向も4割以上あった。
日本は、転職後に年収が上がった人の割合が43.2%と最も低い。日本以外はいずれも6割以上が年収が上がっていた。
日本は、年収が下がった割合(40.4%)と変わらない割合(16.4%)の合計が5割を超えており、転職が収入増につながりにくい状況が浮かび上がっている。
この「APACの就業実態・成長意識調査(2019年)」は、今年2月6日~3月8日にかけて、APAC14の国・地域(主要都市)で、就業している人(休職中除く)、20~69歳男女、対象国に3年以上在住の人を対象に、調査モニターを用いたインターネット定量調査で実施。各国1000サンプルで、日本は東京、大阪、愛知の3都市で調査した。
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