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2020年9月16日

教師主体の教育から、生徒主体へ。Chromebook と G Suite for Education で進化し続けるICT教育のパイオニア/桐光学園中学校・高等学校

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多摩丘陵の緑に囲まれ、落ち着いた雰囲気の街にある桐光学園中学校・高等学校は、特別な人工芝を使用した国際基準のサッカー場をはじめ、校舎の随所にこだわりが感じられる。

全国大会常連の運動部、文化部を有しながら、難関大学への高い進学率をも誇る、まさに「文武両道」の進学校。「有名大学に入れば良いという教育から、体も精神も、学習する習慣もすべて身につけて卒業してほしい」と語る桐光学園の小塚良雄 理事長と同中学校・高等学校の松浦仁 教頭にICT教育に取り組む同校の現状を訊いた。

時代の流れを先読みする

小塚良雄 理事長

かつての、「次世代リーダーの育成」という目標から、2019年の中野浩 校長の就任を機に「他者との関わりの中で自己を高めていこう」「失敗を恐れず失敗から学んでいこう」「一生続けられる好きなことを見つけよう」という3つの教育目標を新たに掲げた同校。いま、教師主体の教育から、生徒主体の教育への変革期だという。

書籍化もされている「大学訪問授業」や、同校独自の「TOKO SDGs」は生徒も制作に携わるなど、生徒が積極的に考える機会を作っている。1つのテーマを突き詰める経験をすることで、生徒自身がいま何を学んでおくべきか、何が必要かを知り学んでいくことができると小塚理事長。そこで重要な役割を担っているのが、Chromebook と G Suite for Education である。

松浦仁 教頭

3年前の2018年度から主要5教科を中心としたICT教育が始まった同校では、開始当初から ASUS Chromebook を採用。今年で3年連続の採用となる。毎年600台以上を導入しており、今年度の後期(10月)からは先行して中学3年生への導入も決定。2021年度には中学1・2年生にも導入することで、中学校・高等学校の全員が ASUS Chromebook を所有することになる。

Chromebook は BYOD (個人所有)で、家に持ち帰ることもできる。導入時から今まで、保護者からの異論や、反対意見を言われたことは、一度もないという。同校の保護者もまた、世の中の流れを理解しているからだろう。

BYODの ASUS Chromebook を使う生徒

コロナウイルスによる緊急事態宣言下での休校期間中も、Google Classroom などを活用し、オンライン学習を取り入れた同校。今まで培ってきた3年間の試行錯誤と努力による確固たる自信と経験により、動じることなく学びは継続された。

また、コロナウイルスの影響により政府がGIGAスクール構想の前倒しを発表したが、中学校のICT導入を先んじて計画していた同校は慌てることもなかったという。

代理店との信頼関係

NTTラーニングシステムズ株式会社 猪狩秀人 氏(左)、小塚良雄 理事長(中央)、松浦仁 教頭(右)

導入前は、世の中の流れからICTを導入しなければいけないだろうとわかってはいたものの、様々な懸念や問題点があったという小塚理事長。「教師と生徒の距離が近い」ことが強みの同校は、ICT導入によって教師と生徒の距離を離してしまうのではないか、うまく使いこなせるだろうかという懸念があった。しかし、ASUS Chromebook の販売代理店であるNTTラーニングシステムズ の猪狩秀人氏との出会いによって、問題点や懸念事項がクリアになり導入に至ったという。

猪狩氏は、機能や性能ばかりを売り込む営業ではなく、正面から同校の課題を一緒に考え、どう解決するかをチームとなって一緒に考えてくれたと小塚理事長。

また、Chromebook が教育に特化していることで、セキュリティがしっかりしていたこと、そしてその中でも ASUS Chromebook は、生徒が多少乱暴に扱っても壊れない堅牢性を兼ね備え、万一の時の保証も充実。緊急時の対応も早いことが、結果として3年連続採用、中高全6学年採用に至った理由であることも明らかだ。

また松浦教頭は、「G Suite for Education が何といっても無料で使い易く、Google Meet の安定性も抜群。そしてなにより ASUS Chromebook は故障率が比較的低いですし、営業対応も早い」と称賛する。

試行錯誤の3年間でノウハウを作る

オリジナルの昇降式映像装置

建築家でもある小塚理事長は、病院づくりの経験から、学校に Chromebook を導入しただけでは意味がなく、活用もできない、押しつけだけではうまくいかないことを知っていた。Chromebook を導入する学校側の体制を整えることが一番大事だと考え、「どうすればいいか」からスタート。まずはプロジェクトチームを発足し、全学年への同時導入ではなく、高校1年生(現高校3年生)から「うまく使おう」ということを前提に使い始めたという。

教師は、教科ごとのプロジェクトチームを立ち上げ、導入校の見学や情報収集などを行い、3年間試行錯誤しながらノウハウを積み上げてきた。

その試行錯誤とこだわりは、教室の映像装置にまで及んでいる。通常は、黒板の脇に置かれている映像装置。しかし生徒たちの可視範囲は黒板の範囲であることから、黒板の中に映像装置があった方がいいのではと、試行錯誤を繰り返し、黒板中央にオリジナルの昇降式映像装置を作った。教師からも、この昇降式映像装置は抜群に使い易いと評判で、さらに使い易く安価にできるよう進化中だという。

小塚理事長は、ICTを導入するにしても、どのように活用していくか、構想を自分たちがオリジナルで考えていくことがとても大事だという。

Chromebook と G Suite for Education を使いこなす生徒たち

高校1年生(男子)の「情報」の授業

高校1年生の男子(特進クラス)の「情報」の授業では、「企業インターンワーク」を行っていた。40人ほどの生徒が、4人から5人のグループになり、「ローソン」「明治製菓」「森永製菓」「大塚製薬」「グリコ」「KDDI」(順不同)の6社を分担。共通の3つの指令の中から2つの指令を選び、内容を調べ、グループでまとめて、最終的にはプレゼンをするといった授業だ。

それぞれの机には Chromebook が置かれ、G Suite for Education を使い始めて半年にも満たない生徒たちが自在に使いこなしていた。各グループワークは盛り上がり、とても楽しそうに進んでいた。生徒たちは「普段はスマホばかりだけど、Chromebook は使い易い」と口々に語る。「通常の授業より、ほんとうの仕事をしているようで面白い」といった声も聞かれた。

ICTは「友達」

最後に生徒にとってICTは何かと小塚理事長に伺うと、こんな答えが返ってきた。

Chromebook で G Suite for Education を使いグループワークを行う生徒たち

「生徒にとってのICTは、なくてはならない『ツール』で『友達』と一緒。友達はすごく大事だが、友達に頼りきってズルズルと付き合うのは、本当の友達ではない。本当に信頼できる友達は、着かず離れず。ICTとも、うまく付き合っていける人になってほしいと思っています。
中高生時代は社会へ出るための準備期間、今後ますます進んでいく情報化社会のとらえ方を、生徒たちには学んでほしい。そのために、生徒たち自身に考えさせる機会を増やしていく、それが学校の使命だと思っています。
もちろん学校の授業も大事です。覚えるべきものを覚えておかないと、事象が起きた時に何もわからない。何事も、深く追求するときは基礎が必要です。最低限の基礎は、がまんしてやっておくべきだと思います。そして何か事が起きた時、追求する方法を学んでほしい。そこに Chromebook が役に立ってくれると期待しています。」

学校だけでも、代理店だけでも、メーカーだけでもなく、関わる人がチームとなり、学校を中心に生徒の為に何が一番いいのかを考え、試行錯誤した結果が、パイオニアとしての自負につながっているのだろう。今後もICT教育のパイオニア、桐光学園の進化から目が離せない。

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