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2021年1月1日
2021年 新春所感 Society 5.0時代の新しい学びに向けて
明けましておめでとうございます。
2020年は、大変な年でした。新年早々、新型コロナウイルス感染症が急激に拡大し、3学期には全国一斉休校に追い込まれました。感染源とされる中国の小学校で、休校直後からオンライン授業がはじまったというニュースと、先生がプリントを作成して生徒の家を回って手配りしているとう日本ニュースを見比べて、愕然とした人も多かったと思います。いや、愕然として欲しいのです。それほど世界と比べて日本のICT教育は遅れをとっているのです。
OECDの行う国際的な学習到達度調査PISA(Programme for International Student Assessment)で、読解力の低下が指摘されて久しいのも、能力そのものではなくコンピュータを使用したテスト(CBT:Computer Based Testing)への不慣れが原因だといわれています。もはや日本は、科学技術も経済もそして教育も世界の最先端国ではないのです。科学技術や経済は中国に抜かれたくらいですが、教育分野は悲惨です。欧米諸国はもちろん、アジアの国々からも周回遅れにされそうな状況です。20世紀の高度成長時代に、その発展を支える教育が大成功したために、それをぶち壊してまで新しい学びに取り組むことができない、というのが21世紀初頭の日本の教育でした。
「学び」の原点は、「気づき」だといわれます。他者からの刺激で、そうか、なるほどと気づくことが深い学びへのモチベーションとなります。多くの人に、いま日本の教育は新しい時代に向かって進んでいくのには「かなり遅れをとっている」と、気づいて欲しいのです。21世紀になって進めてきた国の「ICT教育政策」も、遅々として進まぬ状況が続いていました。ICT教育元年と呼ばれ、ICT教育ニュースがスタートした2013年以降、国は予算措置など含めて推進してきたはずなのに、「2020年1人1台情報端末」を目指していたはずなのに、一向に進みませんでした。「今の教育は間違っている」と、気づきたくない人が多かったからではないでしょうか。
国民皆教育では、国や自治体、学校や教員、そして保護者や社会が「今求められている学び」を共有する必要があります。もちろん、それを理解した上で、保護者が何万人に1人という職業を目指して我が子を育てるのを否定するものではありません。とにかくいま、日本の教育は「ICTを活用した21世紀に相応しい新しい学び」に変革しなければならない、ということです。
コロナショックで、小学校の新しい学習指導要領の実施もプログラミング教育の必修化も英語の教科化もうやむやになってしまった2020年ですが、「災い転じて福となす」。世界に遅れをとっている、オンライン授業やデジタルを活用した「ICT教育」の実情が多くの人に知れることになったり、1人1台情報端末と全教室Wi-Fi環境整備を目指す「GIGAスクール構想」が前倒しになったり、「ICTを活用した21世紀に相応しい新しい学び」への地ならしが一気に進みそうな気配です。
2021年は、遅れをとっていたICT教育環境という土台を一気に整備し、その活用を進める年となるでしょう。20世紀の「優秀で忠実な労働者育成」の教育から、Society 5.0時代を支える「先端技術を活用して、自分で考え行動して社会に貢献できる人づくり」を目指す「学び改革」の幕開けを期待して、新春所感とさせて頂きます。(編集長:山口時雄)
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