2021年11月19日
大阪工業大学、奈良時代の幻の伽藍をVR・ARで疑似体験 学生グループがコンテンツ開発
大阪工業大学は16日、同大学情報科学部の学生グループが奈良時代の高官、百済王敬福(くだらのこにきしきょうふく)が750年頃に建立したとされる百済寺を三次元復元したVR・ARコンテンツを制作したと発表した。
百済寺跡地は枚方市中宮西之町にあり、文化財保護法に基づく特別史跡に指定されている。同コンテンツでは建立当時の風景を再現し、時空間を超えた体験をすることができる。学生グループは、11月23日に開催される百済寺跡で1250年前の寺院をAR体験する枚方市のイベントに同コンテンツを提供する。
学生たちは、百済寺のイメージ画像を基に三次元復元したモデルを、百済寺跡地の特定の位置から全方位カメラで撮影した全天球画像に合成し当時の風景を再現。タブレット端末などのジャイロセンサーに応じて360度映像から適切な視野角を画面上に表示し、遠隔地からはVRとして、現地ではARとして疑似体験することができる。カメラで写している風景にバーチャル視覚情報をリアルタイムで合成する従来のARとは異なり、あらかじめ合成したものを提示する手法である事前生成型拡張現実感を用いているため、GPSやコンパス、ジャイロセンサーによる誤差を感じずに楽しむことが出来る。
同コンテンツは、新型コロナウイルスの影響で外出ができない状態でも、遠隔地からVRとして安全に魅力ある景色をバーチャル体験できる機会の創出を目指している。同大学では、今回の技術提供で改善点等を抽出し、高齢者や子供にも提供できる全年齢に向けたICT学習への活用を期待している。将来的には、教育における格差を緩和し、誰一人取り残さない社会の実現に挑戦する。
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