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2022年1月17日

震災から10年 郷土への帰還・復興に向け「Qubena」活用で「教えるから学びのデザイナーへ」変容/大熊町教育委員会

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福島県大熊町。太平洋に面し温暖な気候に恵まれた自然豊かな町だったが、2011年の東日本大震災とそれに伴う原子力発電所の事故により、およそ100km離れた会津若松市への全町避難を余儀なくされた。すぐに学校、幼稚園を立ち上げたことで、学びの環境は維持されたが、10年が経過し、年々児童生徒の数は減少、現在は小中学校とも存亡の危機にあるという。2023年4月には12年ぶりに元の大熊町での学校再開を予定しており、「多様性と混在」、「アナログとデジタル」をコンセプトにした「個別最適な学びを実現する校舎」が建設されている。大熊町に住みたい、大熊町の学校に通わせたい、そんな魅力ある学校を創っていくため、「デザイン力を育む自律した学びの展開」を目標に掲げその取り組みの一つとして「Qubena(キュビナ)」(COMPASS提供)を活用した「学びの改革」を進めている。担当する大熊町教育委員会 増子啓信 主幹兼指導主事、大熊町立大熊中学校 鈴木健太 教諭、大熊町立大野小学校 陽田恵美 教諭の3人に話を聞いた。

「大熊町立 学び舎 ゆめの森」(義務教育学校)の外観イメージ(2023年4月 大熊町での学校再開予定)

Qubenaの導入を迷わず決定し、大熊の学びをスタート

大熊町教育委員会 増子啓信 主幹兼指導主事

教育の魅力化について増子主幹は「大熊町の学校教育では、教育が育む次世代に必要な資質・能力について5つを掲げました。土台としての『恐れずにチャレンジする意欲』、『常に好奇心を持って世の中を見る目』を養って『多様な価値観を受け入れる柔軟性』や『ちょっとした変化を敏感に感じ取る感性』を磨き『見たこと・感じたことを先取りして形にできるデザイン力』、そうした力を育む教育を展開していきたい」と語る。

そのためには、多様性(多様な人との関わり・多様な学びの方法)に対応した、個別最適な学びが必要だと考え、先進校といわれる長野県の大日向小学校(イエナプランの理念に学ぶ)、東京都の麹町中学校(個別最適化に学ぶ)を参考にしたという。

教師が一斉授業で画一的に教えるのではなく、子どもたちが目的意識をもって主体的に学んで行くことが大切であり重要だと考え、両校を掛け合わせた大熊ならではの教育、魅力ある教育を創っていきたいとの思いから、麹町中学校で取り入れていたQubenaの導入を迷わず決定、大熊町の学びをスタートさせた。

導入初期は試行錯誤の連続 一斉のめあてをなくすことからはじめる

Qubenaは2020年の9月から導入した。9月10月11月の導入初期は試行錯誤だった。
うまくいったことは、子どもたちが大変興味をもって算数科の授業に取り組むようになったこと。ゲームのステージをクリアしたような達成感を子どもたちは味わっていたようだ。
しかし授業者には「これで本当に算数科の学習内容が身についているのか」という不安があったという。

苦戦したことの一つ目は、今までの授業スタイルに組み込んだので、結局進むペースは同じになってしまったということ。Qubenaは使ったけれど、進むペースは同じ。これでは個別最適化のために導入したQubenaの意味が無い。

もう一つ苦戦したのは、教師たちに教科書から離れる不安があったこと。Qubenaが教科書のどの問題に対応して、どの問題に対応していないのか、といった見極めもしていかなければならない。現場の教師のやることがかえって増えてしまったり、混乱していると感じた。このままでは従来の授業スタイルに逆戻りしてしまうのではと、教育委員会も不安になった。そこで、授業に於ける一斉のめあてをなくすことからはじめた。

「子どもたち一人一人が目的意識を持って、主体的に学んで行くこと、そういう学びを追求するなら、めあては一人一人異なるもの、その子なりのめあてでなければならないと考えました。自分のめあての下、自分のペースで自分にあった方法で学べばいい」と増子主幹は振り返る。

Qubenaは、学習指導要領が求める「生きて働く“知識・技能”の習得」、「未知の状況にも対応できる“思考力・判断力・表現力等”の育成」、「学びを人生や社会に活かそうとする“学びに向かう力・人間性”の育成」の3本の柱のうち、「知識・技能」に特化したAI学習ツール。だから「知識・技能」はQubenaに任せ、「思考力・判断力・表現力」を問う文章題は授業者が行うなど、Qubenaに任せる部分と授業者(人間)が担う部分の明確化を図ってきたという。

一斉のめあてをなくして個々のめあてで進める授業とは

通常の授業の中にQubenaを取り入れたやり方だと、得意な子がどんどん先に進むといったことが出来なくなるし、理解が難しい子も出る。これまで通りの内容の授業になってしまうので、授業者に時間的な余裕が生まれるということは無かった。

大熊町立大熊中学校 鈴木健太 教諭

大熊中学校の鈴木教諭は「一斉のめあてをなくすことで、個々に進めることが出来るようになってきました。そのかわり振り返りの時間を十分とって、その時間にどんなことを学んだのかということを子ども自身が自分の言葉でまとめを行います。一斉のめあてを設定していたときは、めあてに対する答えを教科書の中の言葉から引っ張り出すまとめになっていました。それをなくすことで、それぞれがこの時間に学んだことを振り返ってまとめるようになり、自分自身の振り返りになりました。また、Qubenaにより自身の学びの進捗が見えることで、ここまでは出来たから次はここをやろう、あるいはこの部分は分からなかったから次回はここを確認してから始めようと、振り返りの中で次の時間のめあてになるような課題を自分で見つけられるようになってきました」と、学びの変化を語る。

また、より個別最適で多様な学びを推進するため、、その子の学びや課題に応じてQubenaの他にも、教科書やプリントを使ったり、先生に質問、あるいは児童生徒同士で学び合ったり、様々な方法を授業で取り入れている。

一斉のめあてをなくし、多様な学びを実施する計画書

「一斉の学習のめあてをなくして個々の学びのめあてにする。それぞれが学びのマネジメントを行うようになり教師はそれを支援するという形で取り組んでいる。今後は、学びのマネジメントを単元だけでなく学期や年間などを見通して、個別にその子の得意不得意に応じて学習の計画を作っていける支援をしていきたい」と、鈴木教諭は今後の展望を語る。

特別支援学級の児童もQubena×異学年学習で意欲的な学びへ

大熊町立大野小学校 陽田恵美 教諭

大野小学校では、小1から中1までの児童生徒が同じ教室で異学年の学習を行っている。それぞれがQubenaで学習を進めているが、時には児童生徒が学習内容に応じて教科書やプリントなど自分で選択して学ぶなど、一人一人が自律的、計画的に学び、自分のペースでじっくりと課題に取り組んでいる。異学年が合同で行うことで、分からないことを上学年の児童に教わるなど、お互いに学び合うということが自然とできているという。

特別支援学級の児童に教える6年生

陽田教諭は、「本校は、インクルーシブ教育を大切にしています。子どもたちの多様性を尊重し、障がいのある子も他の子と変わらず参加出来るようにしています。特別支援学級の児童は、Qubenaを導入してから、大変意欲的に学ぶようになりました。どうやって解くか分からないときに解説を見てノートに書き写し、次に同じような問題が出されたとき、書き写した説明を見ながらノートに解き方を書いていました。自分の力で解いて正解したのが嬉しくて、次の問題に意欲的に取り組んでいました。Qubenaを活用することで、分かる、出来るという達成感を持ちながら充実した時間となっています。時には1年生に引き算や足し算のしかたを教えるという姿も見受けられます」と、Qubena×異学年学習の効果を語る。

特別支援学級の児童に教えていた6年生は「答えを教えるのではなくヒントを教えるようにしています。上の学年に聞くときも答えを聞くのではなく、ヒントを聞きに行くようにしています」と語ってくれた。

Qubenaで変容する教師の役割

Qubenaの導入で児童生徒の学び方だけでなく教師の変容も見られる。

「Qubenaを導入した当初、陽田先生は『私は、何をしたらいいですか』と困り果てていたけれど、最近は子どもたちに『困ったことはない』と訊ねるそうですね。心境の変化があったんですか」と問う増子主幹に、「以前は『教える』ことしか考えなかったのですが、今は子どもの学びの邪魔をしないように、今子どもがじっくり考えているのか、それとも困っているのかを確認するために声掛けをしています」と、役割の変化を語る。

「大熊町立 学び舎 ゆめの森」(義務教育学校)の図書ひろばのイメージ
(2023年4月 大熊町での学校再開予定)

Qubenaを活用した算数・数学科における教師の役割について教育委員会では、「子どもたちの実態を見極め、一人一人の学びを充実させる教師の柔軟な発想」とその対応を求め、個別最適化な学びを提供するために「教える教師」から「学びのデザイナー」への変容を追求していくという。

素晴らしい環境の新しい学び舎で、Qubenaを活用して子どもたちが一人ひとり異なった年間カリキュラムで学ぶ日もそう遠くないかもしれない。

□ 本記事の内容を発表した講演会のレポートページ(当日の動画を紹介)

□ 事例共有会ほか、株式会社COMPASS開催のイベント情報

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