2022年10月13日
オープンスクールで Chromebook を活用した公開授業、テーマは「考える力を育む」 /桐生大学附属中学校
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桐生大学附属中学校は、小学生とその保護者を対象にしたオープンスクールを9月17日に開催した。1年生から3年生まで教科ごとにICTを活用した公開授業を見ることができるとあって、当日は多くの親子が来校し、教室を自由に行き来しながら授業を見学した。
2017年度から1人1台 Chromebook を導入
群馬県桐生市。桐生駅から徒歩5分の場所にある桐生大学附属中学校は、2011年に設立された県内では最も新しい私立中学校。特別進学コースと進学スポーツコースの2コースがある。校舎の外壁には、ロボコンクラブやクエストカップ、サッカーの全国大会出場を伝える垂れ幕が際立つ。
教育理念に「実学実践」を掲げ、「生徒一人ひとりが輝く学校」を目指す同校。総合学園としての教育資源を活用し、「こころの教育」と「きめ細やかな質の高い少人数教育」を行っている。英語教育には独自の英語スピーチコンテストや英検取得、日本文化には能や箏の学びや実技、体験型学習には探究・プレゼンなど行うクエストエデュケーションに力を注いでいる。
こうした教育を支えている土台にICTがある。同校では全館無線LANを完備し、プロジェクターやデジタル教材、クラウドサービスも積極的に導入している。さらに、2017年度から生徒用端末に1人1台 Chromebook を整備。Google Workspace for Education の活用で、課題の配布や提出、採点、コメントなど授業内のあらゆる活動をクラウド上で実現している。
深掘教育とICT教育で「考える力」を育てる
オープンスクール当日のガイダンス冒頭、神子澤修教頭(道徳)は、同校を卒業した現在高校生の生徒からの言葉を紹介。中でも最も嬉しく感じた言葉は「授業がわかりやすい」というコメントだったと話す。
「本校は先取り教育をしません。深掘教育です。だからわかりやすい。一人ひとりの生徒をしっかりと見ています。桐生大学附属中学校といえばICT。おそらく群馬県で一番進んでいます。今日はたっぷり味わってください」と参加者に呼びかけた。
ICT教育と同校の取り組みについて、渡辺桂祐教諭(理科)は、「ICT教育は『新しい時代への対応』」だと述べる。「ICT教育によって、みんながコンピュータの専門家になるということではありません。確かにプログラミングする人やこうした機器を作る人は、世界的に不足していると予想されているので今からその勉強をすることはとても大事。しかし、より大切なのは『どう役立てるか』。そうした『考える力』や『環境を作っていく力』です」。未知の状況への対応、生きて働く知識・技能、情報活用能力。それらを養うのがICT教育の目的だと解説した。
その方針の下、 Chromebook の1人1台導入にいち早く取り組み、試行錯誤しながら着実にICT教育を進めてきたという同校。現在、Google Workspace for Education と、教育プラットフォームの「Classi」を活用。教員同士、教員と生徒、教員と保護者の連絡など用途は幅広く、保護者は定期テストの結果や学習記録なども確認できる。また、AI型教材「Qubina」を活用することで、生徒は自分の苦手分野を遡ったり、得意分野を先に進めたりもでき、個別最適な学びにも対応している。
「こうした全てがクラウドのため、Chromebook を毎日持ち帰る必要はありません。Chromebook で取りかかった課題を家庭ではPCやスマホで作業することもできます。『いつでも、どこでも繋がる』これが我が校のICT教育です」とガイダンスを締めくくった。
数学は Google Jamboard で協働学習
ICT公開授業は、社会、国語、英語、道徳、数学、理科と全6教科が行われた。その中から2つの授業をレポートする。
はじめに、伊藤潤教諭による数学(2年生)「いろいろな角度を求めよう」。図形の角度を求める学び。グループで相談しながら“完璧な解答を作る”という授業で、Google Jamboard を使った協働学習が展開された。
「平行と合同の問題集」に取り組んでいく生徒たち。授業全体の進め方は、まず、各自が問題集の課題を解いていく。わからなければグループで相談しても構わない。次に、作成した解答をもとに、誰が見ても完璧だと言える「模範解答」を作成する。具体的には Google Jamboard をグループ全員で共有し、Chromebook のスタイラスペンを使って画面の図形に手書きしながら解答をまとめていく作業だ。
この日は始めに、前日の授業でしたことをグループで15分間共有。“完璧な解答を作る”ため、グループ内で個人の考えを発言する生徒や、自分とクラスメイトの画面を見合わせて、違いに気づけばすぐにデータを修正する生徒もいるなど協働学習が進む。何が異なるかをお互い理解し解答をブラッシュアップしていく。
その後、グループごとに発表。生徒は手元の端末を見ながら、スクリーンに投影した解答の説明をしていく。クエストエデュケーションに取り組んでいる経験からか、生徒たちは発表にとても手慣れた様子だった。
理科は Google スライドで個別学習
渡辺桂祐教諭による理科(3年生)「ノートを使わない理科の授業」は、Chromebook を活用し、クイズを利用して新しい用語を覚えたり、用語の説明を自分の言葉で表現したりするなど、考えて覚えていくことを目標にした授業が展開された。
まず、各自で「物質の原子・分子」の動画を視聴。そして Google スライドに提示された課題に取りかかる。はじめに「用語調べ」。調べた言葉はコピペせずに自分の手で入力することが条件。生徒たちは手元の教科書やWeb検索も使いながら用語を調べ、わかったことをスライドに入力していく。次に、「基礎の問題」。解答は調べたそのままの文章ではなく、これも自分の言葉としてまとめていく。
スクリーンと先生の端末には、生徒全員の解答状況がリアルタイムで表示されている。先生はその進捗を随時確認し、進み具合を見ながら、「陽イオン・陰イオンの共通性は何か?」「名前のルールにどんなことがあるかな?」など設問についての考え方を促す。解答が出揃ったところで、生徒から提出された答えの中からポイントになる内容を解説した。
その後、再度課題に取り組む。学習クイズを作成できるオンラインの無料ツール「QUIZIZZ」を使った課題で、「イオン名」に関する2択クイズと記述問題。生徒の画面を覗くと、2択クイズはビジュアルもわかりやすく生徒の解答も軽やかな様子。記述問題は、ここでもやはり「考える」ことに重きをおき、自分の言葉でまとめていた。

他教科の公開授業でも、Chromebook を活用しながら、生徒は慣れた様子で個別作業や協働学習、発表などを行っていた。英語の授業では、理科と同様にエンタメ性のあるクイズ形式での出題と解答の場面があった。正解数が高い生徒の名前がランキングで瞬時に表示される機能もあり、上位の生徒が入れ替わるたび授業が盛り上がった。見学していた参加者の親子も、ICTを活用したこれらのアクティブな学びや授業に興味が高まった様子だった。
生徒にはできるだけ多くの気づきのチャンスを提供していきたいという同校。「知(自ら知り)、考(自ら考え)、行(自ら行い)、確(自ら確かめる)」を行動指針に、ICT先進校として「実学実践」を大切にしていく考えだ。
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