2022年12月29日
東京書籍、「クラウド版デジタル教科書」共同実証研究の報告書を公開
東京書籍は27日、つくば市教育委員会、東北大学大学院 情報科学研究科 堀田龍也研究室、Lentranceと、2021年10月からGIGAスクール構想による学習者用端末と学習者用デジタル教科書の普及に対応し、学習者用デジタル教科書から得られる学習履歴の活用による指導改善や評価への活用の実現に向けた実証研究の報告書を公開した。

それによると、学習者用デジタル教科書使用開始直後(10月)と4カ月後(2月)に実施した英語力の調査(Reading、Listening)では、全ての指標で2回目が1回目を上回る結果となった。

また、合わせて実施した英語学習に関するアンケート調査の結果からは、「英語の学習方法(学習方略)」「教科書観」などの項目については、前後で大きな変化は見られなかったものの、「英語の学習方法(学習方略)」の項目で、「英語の発音練習をする」における肯定的な回答の割合が上昇していることがわかった。
授業後に行ったアンケートからも、使用開始直後と4カ月後では特に「単語の発音練習をする」「教科書本文の音読練習をする」などの項目で、学習者用デジタル教科書の使用が増えると同時に、「していない」の回答が減っており、学習者用デジタル教科書の導入により、発音練習や音読練習に対する意識が高まっていることがわかった。
一方で、「教科書の色々なページを見る」「教科書本文をノートに書く・写す」などの項目では前後で大きな変化はなく、紙かデジタルか一方ではなく、メディアの特性を生かして両方を使い分けている様子が見て取れる。

学習履歴データからは、教育委員会が実施した研修会後、操作回数、ユーザ数共に増えている様子が確認できる。学習者用デジタル教科書の活用の推進のためには、導入するだけではなく、研修会等で活用の仕方を周知していくことが重要であると言える。

教科ごとの活用のされ方を詳しく見ると、中学校英語では、他教科と比較してデジタルコンテンツ(ネイティブ発音による朗読音声の再生など)の利用が多く、英語科においては朗読音声コンテンツの重要性が高いと考えられる。また、放課後や長期休暇中などにも利用されており、授業中だけではなく、家庭学習においても活用されている様子が確認できる。

さらに、教科書のどの部分を使用したかを表すヒートマップでは、小学校5年生社会下巻では、図版やコラムが多く、小学校6年社会歴史編では本文が多いなど、教科や学年による活用のされ方の違いが明らかになった。
また、中学校英語では、朗読音声の再生コンテンツよりも本文の拡大表示の方が多く使われていることも明らかになっている。
研究概要
実施期間:2021年10月~2022年3月末
実証対象:つくば市立小学校7校、中学校5校(※義務教育学校含む)
実施方法:「Lentrance」と「Lentrance Analytics」(先行開発版)を用いて学習履歴データを収集・分析
実施教科:
・小学校 国語(1~6年) 社会(4~6年) 保健(3~6年)
・中学校 英語(1~3年) 技術・家庭(技術分野)
※上記の内、小学校社会4年と中学校英語1年について詳細な調査を実施
調査項目:
(1)学習者用デジタル教科書の使用が児童生徒の学習に与える影響の検証
(2)学習履歴データの活用による学習行動の可視化
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