2024年10月24日
ウェブメディア「不登校オンライン」、不登校に関する政党アンケート結果
キズキのウェブメディア「不登校オンライン」は22日、各政党に実施した不登校への取り組みに関するアンケート結果を発表した。
アンケート実施期間は、10月15日~21日正午。対象は、自由民主党・立憲民主党・日本維新の会・公明党・日本共産党・国民民主党・れいわ新選組・社会民主党・参政党。
回答した政党は、自由民主党・立憲民主党・日本維新の会・公明党・日本共産党・国民民主党・れいわ新選組・社会民主党。
文部科学省の調査によると、令和4年度の小・中学校における不登校児童生徒数は29万9048人で、前年度から5万4108人増、10年連続の増加で過去最多。これを踏まえて、以下の3問について、各党の取り組みを聞いた。
Q1 「不登校の子ども本人に関する現状認識と今後の取り組みについて」。
Q2 「不登校の子どもの保護者に関する現状認識と今後の取り組みについて」。
Q3 「不登校について学校関係者に関する現状認識と今後の取り組みについて」。
各党回答
以下、各党からの回答をそのまま掲載。
■自由民主党
Q1 不登校の子ども本人に関する現状認識と今後の取り組みについて
不登校には様々な原因がありますが、不登校であっても、子供たちが学びにアクセスできるようにすることが必要です。学校内に落ち着いた空間で学習・生活できる環境を整備するほか、オンラインを活用した指導・支援など、「誰一人取り残されない学びの保障」を推進します。加えて、不登校になる前に SOS を見逃さない取組みを進めるとともに、学校を「みんなが安心して学べる」場にしていきます。
Q2 不登校の子どもの保護者に関する現状認識と今後の取り組みについて
不登校の子供の保護者が一人で悩みを抱え込まないよう関係者が一丸となって支援する必要があると認識しています。各教育委員会の相談窓口を整備し、保護者の方々に、教育支援センターや保護者の会など支援に関するわかりやすい情報を提供していきます。また、学校、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーや関係機関が連携して子供達と保護者の支援に当たり、保護者の不安を和らげます。
Q3 不登校について学校関係者に関する現状認識と今後の取り組みについて
子供たち一人ひとりの状況に応じ、きめ細かい教育を提供するため、教師が子供に接する時間を確保することが重要と認識しています。このため、学校における働き方改革を推進します。不登校の子供たちへの対応については、教師だけに任せず、専門家や関係機関と連携して「チーム学校」で支援を行います。同時に、教師の質を保証し、人材を確保するため、「人材確保法」の初心に立ち返り、教師の処遇を抜本的に改善します。
■立憲民主党
Q1 不登校の子ども本人に関する現状認識と今後の取り組みについて
SNS の普及もあり、子どもたちが抱える問題はさらに見えづらく、厳しい環境に置かれていると考えています。
不登校の原因は様々だと思いますが、立憲民主党は子どもたちの悩みや苦しみに寄り添うため、さらなる少人数学級の推進、学校現場への専門家配置、フリースクールへの支援を積極的に行います。
また、すべての子どもたちの学ぶ権利を保障するため、多様な学びを尊重し、不登校の子ども、フリースクール等への支援を推進していきます。
Q2 不登校の子どもの保護者に関する現状認識と今後の取り組みについて
周りに相談できず、保護者が悩みを抱え込んだり、不安にさいなまれたりして孤立してしまうケースもあると考えます。
相談できる場所や適切な支援や情報等が得られるように、体制を整備していきたいと考えています。
Q3 不登校について学校関係者に関する現状認識と今後の取り組みについて
教職員・学校関係者は、過剰な業務による多忙化等により子どもたちと十分に関われていないケースもあると認識しています。
立憲民主党は、教職員が、さまざまな状況に置かれている子どもとしっかり向き合う時間を確保するため、教職員定数の充実を進め、給特法の廃止を含めて教職員の処遇改善を進めるとともに、長時間労働を是正していきます。
■日本維新の会
Q1 不登校の子ども本人に関する現状認識と今後の取り組みについて
学校内で生じる問題の解決について、児童生徒への聞き取りを強化し、臨床心理士や公認心理師などの常勤スクールカウンセラーやオンラインカウンセラーの配置を全国的に促進します。これにより、いじめ・ヤングケアラー・不登校など多様化する子どもの悩みに対応できる体制を整備・強化します。また、不登校の生徒が通うフリースクールの単位認定を促進し、多様な居場所を提供します。
Q2 不登校の子どもの保護者に関する現状認識と今後の取り組みについて
不登校を理由にする保護者の離職等による減収と、食費や教育費等の支出増が現状としてあります。保護者への情報提供体制を整えるために、多様な相談窓口や学びの場・居場所情報を提示します(教育委員会窓口、教育支援センター、フリースクール、親の会、学びの多様化学校、夜間中学など)。孤立化を防ぎ、早急な情報提供と対応により「ひきこもり期間」の短縮化を図ります。
Q3 不登校について学校関係者に関する現状認識と今後の取り組みについて
不登校問題の解消に向けて、教員不足と業務負担軽減に対する取組が必要不可欠です。校務分掌や部活動の見直し、校務の情報化を進め、教員の負担を軽減し、教員が児童生徒一人一人と豊かな人間関係を築くための心理的、時間的余裕を持てる環境整備が重要です。また、教育課程において同一年齢同一集団や一斉指導に馴染まない子ども達に対応した教育の多様化が重要と考えます。今後、専門家と協力し、不登校問題について学校関係者の支援にも努めていきたいと考えております。
■公明党
Q1 不登校の子ども本人に関する現状認識と今後の取り組みについて
不登校児童生徒については、個人の問題で済ませるのではなく、教育を多様な子どもたちのニーズに合わせていく必要があると考えます。
これまでの一斉授業だけによる「みんなが同じ」学校教育から、一人ひとりの子どもに光を当てて、自分らしく強みを発揮して輝いていく教育へと再生に取り組みます。例えば、午前中は集団学習形式で友達と協力して学び、必要な学力と社会性を身に付け、午後は個別学習形式で探究学習や文化芸術・スポーツ活動、企業実習、自然体験など一人ひとりに合った学びで、自己肯定感を育てる教育へと転換していきます。
Q2 不登校の子どもの保護者に関する現状認識と今後の取り組みについて
これまで不登校の児童生徒や保護者、学校、NPO等の皆様のお声を聴いてきましたが、保護者支援は重要だと考えています。保護者の会が設置されているかどうかも地域によって状況は様々であり、保護者に対する支援体制を強化するための予算を盛り込みました。保護者の会にスクールカウンセラーを定期的に派遣できるようにするとともに 保護者の会の設置を促進します。
Q3 不登校について学校関係者に関する現状認識と今後の取り組みについて
子どもたちの将来を閉ざさないために、不登校の児童生徒が欠席中にフリースクールなど、学校外で学んだ成果を成績に反映できることを法令上明確化することを求めてきましたが、本年、学校教育法施行規則が改正され、法令上にも規定されました。
また、学びの多様化学校(不登校特例校)の全都道府県・政令指定都市への設置や、子どもたちが安心できる居場所となるスペシャルサポートルームの全小中学校への設置、フリースクールなどの柔軟な学びの場の確保に取り組みます。
子どもたちが一人一台持っている端末を使っていじめや不登校の相談ができる仕組みの構築、スクールカウンセラー等による相談支援、教育と福祉の連携による支援体制の構築等に取り組みます。
■日本共産党
Q1 不登校の子ども本人に関する現状認識と今後の取り組みについて
私たちはこの間、あらためて不登校問題の関係者、当事者のみなさんから直接ききとりをおこなってきました。
そのなかで私たちが学んだことは、不登校にはさまざまな形があるけれど、子どもたちは心にケガを負っている状態・心に傷を負っている状態にあること、だから安心して休養できることが大切なこと、回復のなかでありのままの自分を肯定的に受け入れられるようになり力がうまれ模索が始まること、他者との人間関係が大切な役割をはたすこと、などです。
子どもたちはどこかで、誰か(特定の人に限らず)に傷つけられたわけで、「不登校の子どもは悪くない」ことは本当に言うまでもありません。問題は、子どもをより多く傷つけるようになった学校や社会の方にあります。
そして、不登校の多くの子どもたちは、休養・回復や模索への支援が十分保障されずに困っています。これは、政治の問題として重く受け止めなければならない問題で、以下のことを重視します。関係者・当事者のみなさんの意見を聞き、より豊かなものにしたいと思います。
・子どもの安心して休む権利、自分らしく生きられる権利を大切にする。不登校への偏見や不理解をなくすとりくみをすすめる。
・子どもが不登校のこと、将来のことを安心して相談できる窓口を拡充する。
・子どもの居場所として、学校復帰を前提としない公的な施設を拡充する。チャレンジ教室も、子どもの休養、回復、模索を中心にすえる。
・学校以外のさまざまな学びの場や居場所(フリースクール、フリースペースなど)をきちんと認め、公的支援をおこない、学校と同等の支援をめざす。
・「不登校を3年で半減」「不登校ゼロ作戦」など子どもをおいつめる施策や、本人の状態を考えない「学校に来ないなら他の教育機会の場へ」といった押し付けをやめる。不登校の子ども対応を不登校ビジネスに民間委託することに反対する。
・「教育機会確保法」を、子どもをさらに追い詰めないようにし、不登校特例校や校内別室の増設も含めた条件整備に役立つ方向で運用するとともに、見直しをすすめる。
Q2 不登校の子どもの保護者に関する現状認識と今後の取り組みについて
不登校の子どもの多くの保護者は、わが子の不登校を前に戸惑い、なにより、「自分の子育てのせいでは?」という社会的に蔓延している自己責任論によって深く傷つけられます。それだけに保護者のエンパワーが大切です。そのことが子どもを理解し、支える力となるし、その経験を通じて保護者も子どもに支えられていくと思います。
さらに、子どもが不登校の場合、経済的な負担や、就労上の不利などの問題を抱えることになり、保護者の大きな悩みとなっています。
これらの問題を解決するため、以下のことを重視します。
・親が安心して相談でき、不登校への理解を深められる窓口を拡充する。
・学校などで親同士がつながり、語り合える場をつくる。学校や地域での、自主的な「親の会」を公的に支援する。
・子どもが不登校の場合の保護者の短時間勤務、休暇・休業の制度をつくるとともに、保護者への経済支援をつよめる。
Q3 不登校について学校関係者に関する現状認識と今後の取り組みについて
学校関係者には、子どもの不登校を理解し、傷つけないようにじっくり支える努力がある一方で、その反対の残念なケースも少なくありません。以下、学校でのとりくみに影響のある、文部科学省の施策に関して述べたいと思います。
文部科学省のCOCOLOプランは、不登校特例校の増設などの条件整備をはじめ一定の前進面がありますが、不登校の基本的な捉え方に、おおきな問題を抱えていると思います。
その一つは、プランのタイトルが「誰一人取り残されない学びの保障に向けた」とあるように、学習保障が中心になっていることです。休養は「子どもによっては」積極的な意味があるとされ、副次的です。そうすると、休養や回復は二の次とされ、「学校がダメならこれでどう?」といった学習機会の保障を性急に求める傾向が生じかねません。
もう一つは、なぜ不登校が急増したのか、という問いかけが全くないことです。10年間横ばい・微減だった不登校の比率が、2013年から増え続けました。それはちょうど、安倍政権下で全国学力テスト体制、ゼロトレランス(許容度ゼロ)や学校スタンダードなど過度の競争と管理が学校に押しつけられた時期と重なっています。コロナ下でも、科学的根拠のない「いっせい休校」や学校再開後の勉強の回復を優先させことは、子どもの気持ちにあいませんでした。学校が窮屈になれば、行きたくない子どもが増えるのは必然です。
学校を窮屈な場にして不登校を増やす施策を続けながら、不登校の対策を講ずるという国の姿勢は大きな矛盾です。子どもが通いたくなる学校へ、競争と管理の教育の見直しや、ゆとりのある教育のための条件整備に進むべきだと考えています。
これらの立場から、以下のことを重視します。
・子どもの休養・回復を対応の中心に位置付ける。当事者や支援者、親の会などを招いての、不登校の子どもにたいする学校関係者の理解を深めるとりくみを行う。・不登校特例校を増設する。校内別室を各学校に置くとともに子どもの気持ちの分かるスタッフを配置する。チャレンジ教室を子どもの気持ちにあったものにする。
・教職員定数を増やすなどして、教員の異常な長時間労働を解決し、子どもと向きあう時間を保障する。少人数学級にして心地よい人間関係ができやすいようにする。スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを定数化し、学校に常駐できるようにする。
・全国学力テスト体制など、教育を数値で評価し競争させる競争主義的な施策を見直し、中止する。
・ゼロトレランス、学校スタンダード、細かい校則など、子どもを縛るような施策を見直し、学校の雰囲気を柔軟で人間的なものにする。学校に子どもの権利条約の精神を根付かせる。
■国民民主党
Q1 不登校の子ども本人に関する現状認識と今後の取り組みについて
Q2 不登校の子どもの保護者に関する現状認識と今後の取り組みについて
Q3 不登校について学校関係者に関する現状認識と今後の取り組みについて
総論
不登校児童への福祉・医療・家庭への経済的支援を省庁間の隔てなく、児童個々単位での適切な支援を強化します。そのために、子ども包括支援センターや小学校低学年から可能とする学校型不登校特例校の設置を推進します。また、規則正しい生活を送ることができ、子どもたちがすこやかに成長するため、自立支援学校の拡充をめざします。障がい、ヤングケアラー、不登校、引きこもり、外国ルーツ、性的マイノリティなどの全ての子どもが互いを理解し、共に学べる「インクルーシブ教育」の環境をつくります。
■れいわ新選組
Q1 不登校の子ども本人に関する現状認識と今後の取り組みについて
不登校の子どもが増加傾向にあるのは、いじめや子どもの行動や思考方法まで一律に縛る学校の在り方に適応できないなど、学校自体の在り方に起因しているのであって、子ども本人に原因があるのではないと考えます。
今後の取組について、本人が安心していられる居場所の確保が重要と考えます。学校に行けないことで様々なつながりがなくなり、進学の機会が失われる不安などを解消するために、フリースクールなど学校以外のオルタナティブな学びの場、居場所にアクセスできるよう、行政と民間が協力していくことが必要と考えます。
Q2 不登校の子どもの保護者に関する現状認識と今後の取り組みについて
不登校の要因が学校でなく、家庭や本人にあるという考えが未だに根強くあります。それ故保護者は、子どもが当たり前に学校に行けないということが受け入れがたく、子どもに登校を促したり、学校に行かないことを責めたりしてしまいがちになります。保護者が子どもの存在を丸ごと受け止め、一緒に考えていけるよう、不登校の親の会・不登校経験者による支援が必要と考えます。
Q3 不登校について学校関係者に関する現状認識と今後の取り組みについて
学校の現状は、子どもの行動や思考方法まで一律に縛る基準が設けられ、うまく適応できない子どもがいじめの対象になったり、無視され、学校における居場所を失っています。教員自身が多忙で、能力評価にさらされ、指導に手のかかる子どもに対して向き合えていない、逆に排除や無視に加担してしまっている現状があります。
子どもが学校に行けない状態を生み出している学校の現状を変えることなく、フリースクールでの学習を義務教育として公認するだけでは、その場しのぎと考えます。誰も排除しないインクルーシブな学校に生まれ変わるために学校関係者が本気で取り組まない限り、根本的な解決はないと考えております。
■社会民主党
Q1 不登校の子ども本人に関する現状認識と今後の取り組みについて
子どもたちにとって学校が息苦しい場所となっており、小中学校で登校できない子どもがおよそ30万人いると認識しています。「不登校ゼロ」などのように学校復帰を前提とするのではなく、フリースクールやホームスクリーニングなど多様な学習環境を公的に整備して、子ども目線で子どもたちの学ぶ権利を保障することが必要だと考えます。
Q2 不登校の子どもの保護者に関する現状認識と今後の取り組みについて
子どもが不登校となった際に、相談先や支援体制などがわからず孤立している保護者がいます。また、フリースクールなどの費用が経済負担となっている家庭もあります。保護者に対する公的支援の強化が必要だと考えます。
Q3 不登校について学校関係者に関する現状認識と今後の取り組みについて
教師やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、養護教諭、学校医等が専門性を発揮して連携できる体制強化が必要だと考えます。そのためには、関係者が学校で安定して働ける環境が必要で、人員増加や正規雇用化、賃上げなど待遇改善をするべきです。
<政治的中立性について>
「不登校オンライン」では、衆議院議員選挙に向けて各政党へ実施したアンケートの結果を紹介しているが、特定の政治思想、政党を支持するものではない。
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