2024年10月31日
宿題を自由学習から「すららドリル」に移行、生徒の自主性を育む学び/田辺市立高雄中学校
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和歌山県にある田辺市立高雄中学校。田辺市から、生徒が端末を自宅に持ち帰りする方針を受け、同校は宿題(家庭学習)に「すららドリル」を活用することとし、以来その実践を続けている。「すららドリル」を導入してから生徒に意外な反応が生じているという。同校 吉水和章教諭(2学年主任、保健体育)と土橋哲明教諭(2学年副主任、理科)に話を訊いた。
曜日ごとに5教科をローテーション、「すららドリル」で宿題を出題
高雄中学校の全校生徒数は約340名、各学年4クラスの編成。生徒用端末にはキーボード着脱式のWindowsデバイスを利用している。「すららドリル」は2022年11月に田辺市が導入したことにより、同校での活用が始まった。田辺市立の中学校は全14校。現在、主に2年生で利用され、3年生も一部で利用している。
2年生では、基本的に毎日の宿題に「すららドリル」を活用。月曜日から金曜日まで曜日ごとに国語・社会・数学・理科・英語を、各教科担当の教員から現在学習している単元の復習として課題を出題している。また、週末課題や長期休暇の家庭学習にも「すららドリル」を活用。各教科をバランスよく学習できている様子だ。
吉水教諭は、「すららドリルの導入当初、生徒は難なく取り組んでいる様子でしたが、教員側がどう出題すればよいか戸惑いがありました。田辺市教育委員会の指導主事からの講習会を通じて、教員同士でも情報共有しながら使い方に慣れていきました」と振り返る。
宿題の課題達成率は8割をキープ
「すららドリル」の導入以前、同校の宿題は「自由学習」として各自がノートに勉強するスタイルを採用していた。「すららドリル」に移行して、生徒の宿題に対する取り組み姿勢に変化が生じているという。
吉水教諭は、曜日ごとに教科を割り振っていることもあり、以前の自由学習と比較すると、生徒に毎日の学習がより意識づけできているように感じるという。「自由学習が苦手な生徒もいました。そうした生徒でも端末で『すららドリル』を使った宿題であれば、ゲーム感覚もあり心的なハードルが下がるようで、意欲を持って取り組む様子が見られます」。
「すららドリル」による宿題の課題達成率は8割と高い数字をキープしている。そのために工夫している点はあるか訊ねると、「特別何かをしたわけではないですが、基本的に日々の宿題にきちんと取り組める生徒たちが多いこと、また『すららドリル』を宿題に利用する旨を各家庭に事前に説明しました」と吉水教諭。家庭において、「難しそうだね」など、保護者が興味を持ったり子どもたちに声掛けしたりすることもあるようで、そうした何気ない会話も生徒のやる気を後押しし、達成率につながっている要因かもしれないという。
帰宅後に課題配信を心待ちにする生徒も
この他にも、生徒に“ある反応”が見られるようになった。帰宅後すぐに端末を開いて、課題配信を待っている生徒がいるのだという。
理科を担当する土橋教諭は、「教員はクラブ活動を終えてから宿題を用意することもありますが、出題するまでの時間、早く出してくれないかなといった様子で自宅で待っている生徒がいることを周囲の教員からもよく聞きます。成績としての効果はまだわかりかねますが、学校でも家庭でも端末に触れる機会が増えているので、ICTを活用した学習が根付いてきていると感じます」と話す。
「宿題を出すのが遅かったですねと生徒から言われることもあります」と吉水教諭も苦笑する。「すららドリルはオンラインで生徒の待機状況もわかります。数十人が待っていることもありました」と前向きな生徒の様子を明かした。
課題の配分調節、生徒の苦手を把握できる良さもある
「すららドリル」活用による教員側のメリットも大きいと両教諭は声を揃える。
土橋教諭は、「宿題の物理的な配布や回収を毎日行うのは大変です。その点、『すららドリル』は課題配信が簡単ですし、どのぐらいの時間を要するか表示もされるので、今日はこのぐらいの分量がいいなと調整できます。生徒の誰がどれだけ取り組んでいるか、していないかも瞬時に把握できるので、毎日の確認もとてもラクになっています」。
また、「理科では、習いたての部分を出題することが多いので、その正答率が低い場合には、もう一度指導してみようといった見方もできます」と話す。正解率や誤答の傾向も細かに見え、課題の結果を通して生徒の苦手を知ることができるのも「すららドリル」ならではの魅力と言えるだろう。
より自主性ある学びが根付くように
「すららドリル」を活用してから、翌日の教室では宿題に関する生徒同士の会話が聞かれるようになった。教員に対しても、「数学の解き方が難しい」といった感想が寄せられるなど、自由学習の時にはなかったコミュニケーションも生まれている。
同校では昨年度、国内外の全てのすららユーザーが学習時間を競い合う「すららカップ」にも参加。その結果、学校として全国5位に入賞、なかには個人部門で第4位に表彰された生徒もいたという。学習への意欲や意思を持った生徒は、自ら教科や単元を自主的に学ぶことができ、どんどん先へ進むこともできる。
個別最適な学びを「すららドリル」が容易にしていると吉水教諭は言う。今後は、「こちらから宿題を提示するだけではなく、自分で補いたい、勉強したいという範囲を自分から選んで取り組み、それを教員が見ていけることが一番の目標と感じています。そのための指導を考えていきたいです」と展望を語る。
土橋教諭も、「自分で考えて課題を設定し、取り組んでみて振り返る流れができればと思います。自ら学べる生徒も自分の苦手に取り組めたらそれも本人の力になる。ICT活用を生徒も教員もより効果的にできたら良いなと感じます」と語った。
生徒が自ら意識を持って学習する。「すららドリル」でより自主性ある学びを根付かせていきたい意向だ。
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