2024年11月11日
港区立の全小学校が英語教材「メトロラーニング」を導入、リズムで身に付ける語彙と発話力/港区教育委員会・港区立白金小学校
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港区が力を注ぐ国際理解教育
国際理解教育に先進的に取り組む東京・港区。英語を母国語とするネイティブ・ティーチャー(外国人講師)を全小中学校に配置し、さらに2024年度から全ての区立幼稚園への派遣を本格始動。また、全ての区立中学校の修学旅行先をこれまでの国内からシンガポールに変更するなど、幼小中一貫した国際理解教育につながる取り組みを力強く推進している。
同じく2024年度から、区立小学校の全19校に英語教材「メトロラーニング」のデジタル版を導入した。
区立小学校の全学年で週2時間の外国語活動
港区教育委員会 事務局 学校教育部長 吉野達雄氏は、国際理解教育について「英語教育だけに留まらないよう心掛けている」と話す。
港区立小学校では2007年度から教育課程特例校として「国際科」を設置。小学1年生から全学年で週2時間の外国語活動を取り入れており、海外の文化や歴史の学びに加えて、英語によるコミュニケーション能力の育成に力を入れている。
中でも特徴的な施策の1つが前述のネイティブ・ティーチャー。ALT(Assistant Language Teacher:外国語指導助手)は他の自治体にも存在するが、港区では、授業以外も含めた学校での教育活動の全時間にわたってネイティブ・ティーチャーを配置している。この他、大使館1校一取組を推進し、区内に多くある大使館との交流など、地域性を活かした学習活動にも取り組んでいる。希望する児童生徒には、同区が協定を結んでいるテンプル大学(本校は米国ペンシルべニア州)との国内留学プログラムも用意している。
「英語に限らず全ての教科において、『わかるようになること』『できるようになること』が子どもたちの学ぶ意欲を高め、さらに自ら課題を見付け学習していく、今まさに求められている能力を育成することにつながると考えます。英語に関してはさまざまな指導法を模索する中で、『メトロラーニング』を活用することは単語を楽しく覚え、そこから学びが広げることができるとても優れた教材だと感じています」と高く評価する。
英語の「基礎力」を低・中学年で、「活用力」を高学年で育む
国際人として素養を身につける教育の充実を図る港区立白金小学校。区内でも国際理解教育をリードする同校は、他校に先立ち1年早い2023年度から「メトロラーニング」のデジタル版を導入した。
港区立小学校に赴任して以来、3校で指導歴がある白金小学校 国際科の間宮多恵教諭は、いずれの学校でも「メトロラーニング」の「冊子版」を活用してきたという。きっかけは訪問したLCA国際学園だった。独自の英語教育を実践する同学園の教育現場で、日本人が効果的に英語学習を行うために開発された教材が「メトロラーニング」だ。
「メトロラーニング」は系統立てて語彙を集めた良質な教材だと間宮教諭は話す。「子どもたちにとてもフィットしていると感じます。私は冊子版を長く使っていますが、デジタル版の登場で本校の校長が興味を持ち、家庭学習で音声を聞きながら児童自身でも練習できるのではないかと導入しました」。
語彙が少なければ、その先にある自己表現は難しい。しかし、低・中学年のうちに語彙を多く習得することで、高学年になってから自己表現にたっぷりと時間を費やすことができる。英語学習の基礎からの積み上げに「メトロラーニング」はまさに効果的だと絶大な信頼を寄せる。
メトロノームのリズムで発話を鍛えて会話力を身につける
スピーキングとリスニングに特化し、メトロノームのリズムに合わせて楽しみながら発話をトレーニングできる「メトロラーニング」。従来のような「リピート・アフター・ミー」ではなく、歌を覚える時のようにスピーキングモデル(ネイティブの発音)と同時に発話の練習が繰り返しできることや、文法の易しい順に学ぶのではなく会話に役立つ順に学習できることが特長だ。
教員の発音をサポートする電子教材「メトロラーニング レインボー デジタル(デジタル版)」、デジタル版と連携して活用できるテキスト教材「メトロラーニング レインボー ブックス(冊子版)」、カードとポスターのセット教具「メトロラーニング カード&ポスターセット」の3種類がある
シンプルで使いやすい、子どもたちを飽きさせない
現在、白金小学校では冊子版とデジタル版を学習場面に応じて使い分けている。代表的な冊子版の活用法は、全学年が授業の開始5分間にネイティブ・ティーチャーと行う単語練習。次のような流れだ。
【5分間の単語練習】
(1)ネイティブ・ティーチャーが単語を順番に発話(2回)
⇒ 児童がリピートする
⇒ 確認として児童がペアになり発話、1人で発話
(2)ネイティブ・ティーチャーがランダムに単語を発話(2回)
⇒ 児童が絵を押さえながらリピートする
(3)ボランティア(得意な児童)が単語を発話
同校ではネイティブ・ティーチャーが常にいるため、ネイティブ・ティーチャー自身による発話で練習を行っているが、デジタル版に搭載されたメトロノームを模してリズムマシンを使い、そのリズムに乗って指導しているという。
同校のようにネイティブ・ティーチャーが常にいない場合であっても、「メトロラーニング」のデジタル版を活用すれば、スピーキングモデルの音声によって同様の学習環境を簡単につくることができる。
さらに、同校では授業の最後の5分間に「マイプラクティスタイム(自由学習)」を設けており、その日学習した単語の復習に当てている。ヘッドホンが利用できる際には、4・5年生はデジタル版を活用し、自身が学習したい部分を選択しおさらいすることもある。デジタル版は個別学習にも適した教材だ。
「冊子版もデジタル版もシンプルで使いやすく、子どもたちを飽きさせません。単語から会話の練習まで応用が効きます」。
毎年レベルアップする子どもたち
同校で1年生の頃から「メトロラーニング」を活用してきた現在の5年生たちは、これまで学習したフレーズを利用して話をつなげていくことができるという。「単語ではなくて、会話の習得に力を入れることができる。子どもたちは語彙が入っているので自分が言いたい単語をどんどん付け足して会話に集中しています」と間宮教諭。
同校に赴任して今年1年目という髙山直也校長も、児童の発話力に感嘆する。「発音がびっくりするぐらい良いです。特に4~6年生のレベルは異質です」。
その上で、児童が実体験として発話できる機会を増やしていくことを今後の目標に掲げる。たとえば、TGG(東京都教育委員会とTOKYO GLOBAL GATEWAYが提供する体験型英語学習施設)への1日体験や、海外から希望する留学生を招き入れることなどを通じて、その機会を広げていきたいという。
教員向けに英語学習の指導動画を制作
低学年の時期から英語にどれだけ触れられるかが学びのポイントだと吉野氏は話す。そこに、「メトロラーニング」は価値ある教材だと考えているという。
港区では現在、間宮教諭と連携して、小学3年生を想定した授業(45分)における指導モデルの動画(およそ20分)を作成し、港区立各校での英語の授業展開に役立ててもらうための取り組みを進めている。
語学の習得は、国際理解につながる大切な要素。港区が目指す指標は常にこの一点にある。子どもたちにとって英語が「わかる」喜びと、その先にある表現力や思考力、理解力の礎に、「メトロラーニング」が大きな役割を果たしている。
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