2026年4月7日
「中学受験の成績は“小4〜小5で決まる”のか?」「個別の会」が最新データで検証
個別塾「個別の会」は6日、「中学受験の成績は“小4〜小5で決まる”のか?」と題する調査レポートを発表した。

同レポートは、中学受験を経験した、または現在準備中の小学生の保護者、および中学受験指導経験者 100人を対象に実施したアンケート調査を分析したもので、「成績が固定化する理由と直前期に伸びる生徒の特徴」を詳しく解説している。
| 学年 | 模試の母集団の特徴 | 偏差値の変動しやすさ |
| 小4 | 多様な学力層が混在、通塾開始直後 | 非常に高い(±10ポイント以上) |
| 小5 | 受験志望層が固定化、難解単元の導入 | 高い(±5〜8ポイント) |
| 小6 | 志望校別対策が開始、演習中心 | 低い(±3〜5ポイント) |
同レポートによると、中学受験における偏差値は、小4~6にかけて徐々に「動きにくくなる」傾向があるという。学習内容が高度になるにつれて上位層の学力が安定し、基礎が不十分な生徒は追いつきにくくなるためで、統計的にも、小6では母集団の標準偏差が安定し、偏差値を5上げるために必要な得点の積み上げは、小4時の約1.5倍になる。
また、小5になると、多くの家庭が「以前と同じように勉強しているのに偏差値が下がる」という現象に直面する。この背景には、偏差値を算出する際の「母集団」の質的変化があり、低学年のうちは、まだ本格的に受験準備を始めていない層も模試を受験するため、基礎力がある程度あれば高い偏差値が出やすい。
しかし小5以降は、受験に対する意欲が極めて高い層、あるいは早期から準備を重ねてきた層が母集団の中心となり、平均点そのものが上昇し、偏差値が相対的に低く算出されるようになる。小6になってから偏差値を10ポイント以上引き上げることは、統計的には「異例」の事態といえ、これが「成績は小4〜小5で決まる」と言われる最大の根拠。
在籍生のデータを分析すると、小5の後半に成績が下降トレンドに入る生徒には共通の予兆が見られ、計算精度が安定している一方で、「比」や「割合」を使った立式に迷いが生じている。一方で、小6の直前期に劇的な伸びを見せる生徒は、5年生の段階で偏差値が伸び悩んでいたとしても、基礎的な概念(例:線分図の作成能力や逆算の正確性)が破壊されていないという特徴がある。
一方、多くの生徒が小5でつまずく理由は、学習内容が「具体的な数値」から「相対的な関係」へと移行するからで、例えば、分数の掛け算や割り算といった計算技術そのものを習得していても、問題文から「何が全体で、何が比較対象なのか」を読み取る能力が追いついていないケースが多い。
算数の公式として知られる「割合の三用法」を例に挙げると、この式を機械的に暗記しているだけの生徒は、応用問題で「もとにする量」が途中で変化した際(例:売買損益算での定価と売値の関係など)に対応できない。
このような「概念の壁」を突破できないまま6年生に進級すると、成績が固定化され、いくら学習時間を増やしても偏差値が向上しないという「努力の空回り」が発生する。
今回の調査の結果、中学受験生の約10人に4人が「転塾」を経験していることが明らかになった。転塾のピークは小5で、この時期は集団塾のカリキュラムが難化しクラス落ちや成績不振が顕在化する時期と一致する。
| 学習状況 | 志望校合格率 |
| 転塾しなかった生徒 | 81.0% |
| 転塾した生徒 | 62.8% |
だが、注目すべきは転塾後の合格率の差。今回の調査では、「転塾しなかった生徒」の志望校合格率が80.97%であったのに対し、「転塾した生徒」は62.79%にとどまった。この約18%の差は、転塾そのものが不利というより、学習環境の見直しが必要な状態になるまで対策が遅れてしまうケースが多いことを示している。
この約18%の差は、転塾そのものが悪影響を及ぼしているのではなく、「成績が下がってから慌てて環境を変えても、5年生までの欠落を埋めるには時間が足りない」という現実があり、集団塾のペースについていけなくなった時点で、闇雲に別の集団塾へ移るのではなく、個別の課題をピンポイントで解決できる個別指導への切り替え、あるいは併用が極めて重要となる。
一方、「成績は5年生で決まる」という説への最大の反証は、小6の12月~1月にかけて爆発的な成長を見せる生徒たちの存在だ。中学受験生が最も伸びる時期は、皮肉にも入試直前で、特に1月のお試し受験を経て、「自分の弱点」と「入試の緊張感」を肌で感じた瞬間、それまで蓄積してきた知識が一本の線でつながる感覚が生まれる。
つまり、この時期に伸びる生徒には、「基礎体力の完備」「精神的な柔軟性」「過去問とのマッチング」の土台が小5までに築かれている。
また、今回の調査では、受験準備中に大変だったこととして、「子どもとの向き合い方」や「保護者自身のストレス」が上位にランクインしたが、5年生で成績が下がった際の「親の心得」として最も避けるべきは「親が焦って叱責すること」。これは子どものメンタル不調や、最悪の場合は不登校や受験断念を招くリスクがある。
保護者の役割は、勉強の内容を管理することではなく、生活習慣とメンタルのサポートに徹することで、不安がある場合は、塾の講師や個別指導のカウンセラーに「外注」することで、家庭内を「安心できる場所」に保つことが、最終的な成績向上に繋がる。
今回の調査およびデータ分析から導き出された結論は、「中学受験の成績は小4〜5年生で一定の安定を見せる傾向はあるものの、それは決して変えられない運命ではない」という点。確かに、小5で学ぶ「比と割合」などの抽象概念の理解が遅れると、その後の学習効率が低下し、偏差値が固定化しやすくなる。
しかし、これは主に集団塾の一律のカリキュラムの中で起きやすい現象で、生徒一人ひとりの理解度や認知発達に合わせて課題を特定し、つまずきを丁寧に解消できる個別指導の環境では、小6から成績が大きく伸びる例も少なくない。受験結果を左右するのは開始時期ではなく、今直面している課題の本質を正しく把握できているかどうかで、適切な分析と指導環境があれば、学力は入試当日まで伸び続ける。
この調査は、中学受験を経験した、または現在準備中の小学生の保護者、および中学受験指導経験者を対象に、2025年1月10日~2026年2月28日 にかけてインターネットで実施した。有効回答数は100人。
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