2014年11月4日
荒川区諏訪台中/ICT活用とともに推進する日常的なキャリア教育
東京都荒川区立諏訪台中学校は10月31日、「授業力向上推進プロジェクト事業」の研究発表会を開催した。
諏訪台中学校は、2013年度、2014年度の「授業力向上推進プロジェクト事業」の研究指定を荒川区から受け、キャリア教育の視点で授業を変える研究を進めてきた。
このプロジェクトは、すべての子どもたちに確かな学力を身につけさせグローバル社会をたくましく生き抜くことのできる人材の育成するため、教員の授業力向上に関する研究を推進するもの。13年9月からは、生徒1人1台のタブレット端末を配備して授業で使用してきた。
公開授業では、7教科の授業でICTを活用した授業を公開。数学(1年基礎)の西野浩教諭は比例と半比例の単元を行い、電子黒板とタブレット端末を活用して、日常的な事象を取り上げて理解を深める学習を行った。また、美術(3年)の大黒洋平教諭が行った授業は、「DTPデザイン タブレットを使って学校ポスターを作成し海外に発信しよう」と題し、上海の学校と回線をつなぎ、これまでの授業で作成した作品について生徒たちがプレゼンするセッションを交えたものとなった。
理科(1年)では、篠宮健教諭が身の回りにある物理的な現象として光の反射や屈折についての授業を行った。
屈折とは、光がある物質から別の物質へ入る時に境界のところで進行方向を変える現象であるが、入射角がある一定の角度以上の場合、光が透過せずすべて反射する「全反射」がおこる。そうした光の性質について、電子黒板やタブレット端末を活用し説明を行った。そのうえでデジタルカメラを使い、水の入った水槽の下からの眺めを電子黒板に映し出し、全反射の現象を目に見えるかたちで提示するなど、デジタル機器を効果的に活用した。
その後の全体会では、諏訪台中学校での研究発表や指導好評を行い、これまでの成果を紹介した。
さらに記念講演では、文部科学省の長田徹教科調査官が登壇。「日常の授業にこそキャリア教育を」と題して具体的なデータを交えながら、体験学習だけでないキャリア教育の必要性について熱く語った。
国際的な調査によると、日本の子どもたちの基礎学力(理数)はトップクラスにあるにも関わらず自己評価は非常に低いという。そして、現在の社会や身近にいる大人たちの抱える問題を日常的に感じ、自分たちの将来について強い不安を抱えている、と子どもたちの取り巻く現状を説明した。
そうした中、教員が果たす役割は大変大きいと長田調査官。キャリア教育の意義について、「社会に出たとき、今の学びが役に立つことをきちんと伝えること」「困難に直面したとき生き抜く信念を待たせてあげるためには、今学んでいることが何に結びつくのかを示す=わだちにすることが重要だ」と述べ、諏訪台中学校における日常的な授業での取り組みが一つの参考になると語った。
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