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2015年4月20日

先生のための初級ICT教育講座 Vol.10「就職に活きるITスキルの認定資格 CompTIAって何?」

先生のための初級ICT教育講座 Vol.10
就職に活きるITスキルの認定資格 CompTIAって何?

IT人材の不足が指摘されている今日、学生がキャリアを形成していく手段として、IT関連の資格取得に注目が集まっている。様々な産業でITの活用が広がる一方、ITスキルを持った人材の育成が追いついていない。そうした中、学生が自身のITスキルを証明してくれる資格を持つことは、就職活動において大きな武器となる。
そうした資格制度のひとつに、ワールドワイドなIT業界団体CompTIAの「CompTIA認定資格」がある。今回は、「CompTIA認定資格」の有効性を見ながら、学生時代にIT関連の資格を取得する意義について考えていく。

IT人材の不足感は5年で30%以上急増

実際にIT人材はどれほど不足しているのだろうか。CompTIAによると、米国政府の報告では、2008年から2018年の間、IT雇用者数は20.3%増加し、全体のITプロフェッショナル雇用は、2018年までには400万人を超えるとしている。一方で、20万人以上のIT人材が不足すると予測。
日本でもIT人材の不足感は急激に高まっている。情報処理推進機構がIT企業を対象に行った調査によると、IT人材が不足していると答えた企業は、2013年は82%と2009年の49%からわずか5年で急増していることが分かる。

IT人材の不足は、企業にとってはマイナス材料だが、学生にとってはチャンスだ。学生が、労働市場で需要の高いITスキルを身につけることで、就職活動を有利に進めることができる。では、IT関連の資格を取得することで、どれほど就職が有利になるのだろうか。

93%の雇用マネージャが認定資格を有効と認めている

IT関連の認定資格を取得し、自らのスキルを客観的に証明できると、就職でさらに有利となる。CompTIAの調査によれば、企業の採用マネージャの内93%がIT関連の認定資格を有効と考えており、採用の際に認定資格の有無を確認しているという。また、58%の組織が、認定資格を持つ社員は、ビジネスにより多くのアドバンテージをもたらすと回答。認定資格の取得は、就職時に有利になるだけでなく、就職後も組織で自らの価値を高めることができるのだ。実際に、米国では、ITプロフェッショナルの失業率は2.8%と、全体の失業率5.9%と比べ、非常に低くなっているとCompTIAは報告している。

資格選びのポイント1 『キャリアパス』

「CompTIA認定資格」のキャリアパス

IT系の認定資格といっても多種多様にある。どの認定資格を取得するべきか、その中からどのように選ぶべきか中々悩ましいところだろう。
認定資格選びのポイントの一つとして、幅広いキャリアが選択できるのかという点が挙げられるだろう。たとえば、特定の企業、業界でのみ有効な資格では、活躍の場は限られてしまう。
その点、「CompTIA認定資格」は、IBMなど20社前後の会員企業で作られる試験作成委員会が問題を提案・作成。そのため、ベンダーやテクノロジーにとらわれない標準的実務スキルが学べる。

また、日本国内では13種類の資格が受験できる。例えば、「CompTIA IT Fundamentals」では、コンピューターハードウェアの基本概念や、セキュリティなどITに関する基本となるスキルを学べ、学生がITスキルを身につけるファーストステップとして取得するのにうってつけだ。その後にさらに高度な別のCompTIA認定資格取得を通じて、さらにキャリアを積むこともできるほか、シスコ技術者など他の機関が認定する資格へのキャリアパスも作ることができる。

資格選びのポイント2 『ワールドワイド』

グローバルに活躍を目指す場合には、ワールドワイドな資格であるということも重要だ。「CompTIA認定資格」は、100の国と地域での実績があり、全世界の受験者数は180万人を超える。IT試験で世界2位の試験実施数を誇り、グローバルで豊富な実績を持つ。

また、「CompTIA認定資格」のうち、「CompTIA A+」「Network+」「Security+」の3つは、世界的に認知される品質規格「ISO/ANSI 17011」「ISO/ANSI 17024」を取得。さらに、米国の国防総省が、国家の安全に関わる重要な一部業務の担当者に、「CompTIA A+」「Network+」「Security+」の取得を必須とすることなどから、グローバルでの信頼性の高さが分かる。「CompTIA認定資格」を取得することで、日本国内はもちろん、世界中でスキルを証明することができるのだ。

教育機関にとっても心強いCompTIA

学生個人だけでなく、IT人材の育成に取り組む教育機関にとっても、CompTIAは心強い味方となってくれる。専門学校や短大・大学などを対象にしたプログラム「CompTIA Authorized Academy(CAPP Academy)」では、「スキル育成」「スキル実践」「キャリア支援」の3つの面から支援を行っている。
「スキル育成」では認定資格の取得。「スキル実践」では、取得した資格のスキルを活かす場所を提供している。現在は、実践講座や特別講習を学校単位で提供している。
また、「キャリア支援」では、ワークショップなどを通し、「働くとは」「IT業界とは」といった就業意識を高めるようなサポートを実施している。

CAPP Academyプログラムに参加している教育機関からは、「学生の就職活動の際に役に立った」「学習を進める上でのマイルストーンとなった」「資格試験を勉強することによって学生自身が自分の弱点を知ることができる」など、導入した資格の有効性を評価する声が挙がっている。

CompTIA日本支局 マーケティングシニアマネジャーの吉村氏は「現在、どの業界に就職をしてもITを使うということは必須となっています。企業で求める人材は、ワードやエクセルといった業務アプリケーションだけではなく、セキュリティやネットワークといったITを理解している人材のため、これらを学ばせる専門学校や大学が増えてきています」と教育機関の動向を語る。

IT人材が不足する中、「CompTIA認定資格」のような資格の活用が広がりを見せることで、学生は自身のキャリア形成に、教育機関はより質の高い教育の充実、そして、企業もIT人材の確保につながり、日本経済に良い循環が生まれていくのではないだろうか。CompTIAの今後の展開に注目したい。

CompTIA概要

設 立:1982年 ※日本支局設立は2001年4月
拠 点:欧米を中心に10拠点 ※本部 米国 シカゴ
メンバーシップ:118カ国、約4000機関 ※2011年1月現在
活動内容:業界団体としての活動、メンバーの声を反映した活動、政府に対する政策立案活動、e-commerceなど技術の標準化の提言、各IT分野の資格試験の認定、普及啓発、Workforce(米国のみ)

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