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2017年3月10日
静岡大とマイクロソフトがデジタルトランスフォーメーションで協力
静岡大学と日本マイクロソフトは8日、大学教育におけるデジタルトランスフォーメーション推進に関する協力を締結した。
今回の協力で、「静岡大学のデジタルトランスフォーメーションの推進」「全国の大学のデジタルトランスフォーメーション推進支援」「第4次産業革命に向けた人材育成」の3つの取り組みをすすめる。
静岡大学ではマイクロソフトテクノロジーを活用して自校のデジタルトランスフォーメーションに向けた取り組みを実施し、日本マイクロソフトは、技術支援、全国の大学に向けた提案サポート、講義やセミナーへの講師派遣などを実施する。
「静岡大学のデジタルトランスフォーメーションの推進」の中核となるのが、「クラウド反転授業支援システム」だ。同大学情報基盤センターの井上春樹センター長によれば、近年、大学のグローバル化、社会連携などが加速し、留学生や社会人学生などが急増している結果、教室での一斉の対面授業だけでは十分な学習効果を上げることは難しくなっているという。基礎的な学びを教室以外で繰り返し行える「反転授業」が有効的な教育手法として注目されている中、同大学では2000科目を超える授業の動画化と教材の電子化が課題となっていた。
同大学は2012年から研究を開始し、「誰でも簡単に低コストで授業動画を制作できる」「動画を含む教材の保管を組織の規模に応じて自由に増減できる」「動画を含む教材を高速に世界中へ配信する」といった機能を有する「反転授業支援システム(大学教育テレビジョン)」を開発。実証を経て、今回、日本マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」を活用した「クラウド反転授業支援システム」を4月から全学で運用するに至った。
これにより大学全体で「反転授業」が実現。従来は授業1本の動画制作に5万円以上の費用を要しており、2000科目×10動画とした場合、年間で10億円かかる計算だが、同システムの導入でほぼ0円になるコスト効果だ。
「クラウド反転授業支援システム」は利用者のPCとクラウドサーバ上で動作する。利用者は「PowerPoint」のアドインツール「Office Mix」などにより授業動画を制作できる。制作方法を容易にしているのは、教員も学生も使い慣れた「PowerPoint」を使って操作できることにある。
まず、PCのWebカメラに向かって映像を録画する(マイクで音声録音のみも可)。編集は、録画した映像を所定のエリアにドラッグ&ドロップで配置するだけ。文字入力も自在にできる。仕上げにAzureのクラウドへアップロードすれば完成。クラウドサーバ上にはコンテンツ管理や教材配信システムが設置され、容量など気にせず動画をアップでき、いつでもどこでも視聴が可能だ。
受講者が視聴するには、教員などから配布されるアクセス許可の「科目コード」を入力する。アクセス許可は動画の制作者が「自分だけ」「URLを知っている人」などレベル設定ができる。なお、授業動画の実際の教材例が公開されているので関連URLからぜひ視聴してほしい。科目コード「risk02」を入力すれば視聴できる。
この他に、同大学では、日本マイクロソフトが教育機関向けに提供する「Office 365 Education」を活用した「OneNoteクラス ノートブック」の運用を全学生1万人に対して同じく4月から開始。教科書、参考書に加え、ノートの電子化をすすめるという。
デジタルトランスフォーメーションが与える大学へのインパクトは、システム運用の低コスト化、質の高い教育、人材育成の強化など、さまざまな面でうかがえる。高価なツールや特殊なスキルがなくても、誰でも容易に有効に利用できるこうしたデジタル技術で、「教え方」と「学び方」の変革がすすみ、次世代の人材育成につながることが大いに期待される。
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