2025年11月13日
ユーバーの「Scratchで小・中学校のプログラミング」Vol.32 <スクラッチでアナログ時計>
ユーバープログラミングスクールの中村里香代表による、小学校のプログラミング授業で使ってほしいプログラミング言語Scratch(スクラッチ)の学習動画第32回。
今回は<中級者>向け、Scratchでアナログ時計のプログラムを作成します。
アナログ時計の機能を作る
今回は、スクラッチの「現在の(秒/分/時)」ブロックを活用して、秒針・分針・時針の向く角度を変えてアナログ時計を作ります。
◆針のコスチューム:右(3時)向きの絵で、端が中心点になるようにする
0時・0分・0秒の時には、それぞれの針を上向き(文字盤の12)を指すようにしておいて、そして経過時分秒に応じて必要な角度に向けていきたいと思います。
注意が必要なのは、スクラッチではコスチュームを正方向(オリジナルの絵の向き)に向ける時には「90度」と指定するという点です。
つまり、あらかじめ上(12時)向きの針の場合、0度を指定すると左(9時)を向いてしまいます。
以下の点に注意をしてコスチュームを用意します。
・0度で上を向くようにあらかじめ右(3時)向きのコスチュームにする
・各針の端を中心に回転させるため、針の端がコスチュームの中心点になるようにする

◆秒針を作る
「秒針」のスプライトはステージの中心(x:0、Y:0)を指定します。
調べるブロックの「げんざいの(びょう)」を使って角度を指定します。
60秒で1周(360度)ですから、1秒の角度を「360÷60」で計算しますと「6度」です。
そこで次の処理をずっと繰り返します。
・変数「秒の角度」に「げんざいの(びょう)」×6の計算結果を代入
・(秒の角度)どにむける
*スクラッチでは掛け算の演算子は「*」、割り算の演算子は「/」になります。
「分針」も基本的には秒針と同じ要領なので、スクリプトをコピーして次のように作成します。
スプライトはステージの中心(x:0、Y:0)を指定します。
調べるブロックの「げんざいの(ふん)」を使って角度を指定します。
60分で1周(360度)ですから、1分の角度を「360÷60」で計算しますと「6度」です。
そこで次の処理をずっと繰り返します。
・変数「分の角度」に「げんざいの(ふん)」×6の計算結果を代入
・(分の角度)どにむける

◆時針を作る
「時針」も同様に作成するのですが1時間に1回だけ一気に回転するのではなく、1分ごとに少しずつ向きを変えようと思います。
はじめにスプライトの位置をステージの中心(x:0、Y:0)にします。
12時間制にする
調べるブロックの「げんざいの(じ)」には、0〜23 のように24時間制で時間が入るので、文字盤に合わせて12時間制にする必要があります。
以下の計算をして、これを変数「時_12時間」に代入します。
『「げんざいの(じ)」を12で割ったあまり』
1時間あたりと1分あたりの角度を計算する
続いて「時_12時間」を使って角度を指定します。
12時間で1周(360度)なので、1時間の角度は「360÷12=30度」です。
60分(1時間)で30度なので、1分あたりの角度は「30÷60=0.5度」になります。
次の処理をずっと繰り返します。
・変数「時_12時間」に 『「げんざいの(じ)」を12で割ったあまり』を代入する
・変数「時の角度」×30+「げんざいの(ふん)」×0.5の計算結果を代入
・(時の角度)どにむける
次回は、1時間ごとに演出があるハト時計に改良していこうと思います。
授業での活用
Scratchはゲームづくりだけでなく、子どもたちのアイデアの表現、発表、調べ学習など、さまざまな教育活動で活用できるツールです。
今回の「アナログ時計づくり」は、算数など教科の学びと関連が深く、制作の過程で仕組みを考える体験につながります。
なぜ秒針は「6度」なのか、時針は「30度」や「0.5度」なのか、「24時間表記を12時間に変換する」にはどうすればよいのか、計算の根拠や解決方法をただ学ぶのではなく、自分のプログラムで動かすという体験を通じて、深い納得感を得られるはずです。ぜひ「アナログ時計づくり」に挑戦していただけたらと思います。
<筆者プロフィール>
ユーバー株式会社 代表 中村里香
2017年4月、すべての子どもが楽しく学べるプログラミング教育を目指し、ユーバー株式会社を設立。プログラミング教室運営、クラウド型学習サービス「うさプロオンライン」の提供、教材開発、講師育成支援、体験イベントの開催などを行う。環境に左右されない学びの機会を届けるため、教育現場や企業と連携し活動中。
ご質問・お問い合わせ info@yuber.jp 中村宛(ご質問は該当記事のURLを添えてください)
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