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2015年10月5日

21世紀の習い事・プログラミング教室って何?/ビルダーキッズガラージ

-保護者のためのICT教育情報-
21世紀の習い事・プログラミング教室って何?/ビルダーキッズガラージ

みなさん、小学生の頃習い事は何をしていましたか。書道にそろばん、ピアノやバイオリンといったところが定番だった時代がありました。その後、時代の変化やニーズに応じて勉強系やスポーツ系など様々な習い事が登場してきました。最近の人気ベスト3は、水泳、ピアノ、英語だそうですが、学習塾はもちろん、書道やそろばんもまだまだ上位にランクされるそうです。

ところで、習い事としての「プログラミング」というのをご存知でしょうか。コンピュータを動かす、あのプログラミングを学ぶ「習い事」です。プログラミングといえば、高等教育の代表的な分野で、専門の学校に通って高度な専門知識を習得してはじめて使える技能で、小学生が学んでどうなるものでもないという感じですね。

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BUILDER KIDS GARAGEの西本さん(右)と田中さん

ところが最近では、政府が小中学校での「プログラミング教育」を積極導入する方向を示したり、小学生でも使えるプログラミング言語が登場したりして、小学生からのプログラミング教育が俄然注目されて始めています。大手のスクールが開催するワークショップは、すぐ満員になるということです。

今回は、「プログラミング」を習い事のひとつと位置づけ2014年8月に起業した、プログラミングスクール「BUILDER KIDS GARAGE(ビルダーキッズガラージ)」を運営する株式会社Buildersの西本尚五代表取締役社長と田中康寛取締役を教室に訪ね話を伺いました。

やりたい子どもが楽しんでやる「習い事」

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4人の生徒に先生が3人

土曜日の朝、横浜駅西口から徒歩数分のビルにある、「BUILDER KIDS GARAGE」の教室を訪ねた。参加したのは小学校3年生~5年生の4人。ノートPCに向かって、準備万端の体制だ。

この教室で使っているツールは子ども向けに開発されたプログラミング言語「Scratch(スクラッチ)」。プログラミングを組み立てるためのパーツ(命令のブロック)を組み合わせることで、インタラクティブな物語やゲーム、アニメーションを自分でプログラムできるというもの。

できた作品はみなで見せ合う

できた作品はみなで見せ合う

コース3回目となるこの日、子どもたちは既に「Scratch」の基本機能を把握しており、新しいミッション(課題)に向かって、それぞれが黙々と作業を進めていく。キーボードを操作する指の動きは心許ないが、パーツを組み合わせてシミュレーションを繰り返す様子は自信に満ちている。

作業の途中で、こんなシーンに出合った。一人の子は「先生!先生!先生!」と手を挙げて、次々に質問を投げつける。また別の子は「先生!先生!先生!」と手を挙げて「これどう?」と自分の作ったゲームの動きを見せたがる。思うように出来ても出来なくても、積極的で楽しそうだ。

どのような子どもがスクールにやってくるのか、代表の西本さんは「お試しでワークショップをやっているのですが、それに参加して『楽しい~』『もっとやりた~い』という子がスクールに入りますね。なんといっても子どものやる気が一番、ですから、親が無理矢理やらせようとしても難しいです。好きな子どもが集まって、楽しくやる、というのが入門クラスのコンセプトです。中でも特にやる気のある子は、宿題を出しても倍のペースで進むし、先生と違うやり方で答えを考え出す子もいます」と語る。

習い事「プログラミング」は何の役に立つのか

「BUILDER KIDS GARAGE」のコースは、エレメンタリー(入門)、ビギナー(初級)、アドバンス(中級)、アンドロイド(上級)の4段階。「現在在籍しているのは中学生までだが、高校生以上も参加できるスクールにして、レベルにとらわれずにひたすらプログラミングを続けることも出来るようにしたい。その中から『自立したプログラマー』が育ってほしい」と西本さんは将来像を語る。

現在日本ではSE(システムエンジニア)の数が絶対的に不足しており、その数は数十万人とも言われている。習い事「プログラミング」はそうした社会的課題の解決にも役立つのではないかと訊ねると、自らシステム会社を経営している田中さんから「それは違いますね」と一刀両断にされてしまった。

田中さんによると、SEという仕事は社会に出てから学ぶことが多く、習い事の延長線に位置づけできるものではない。むしろ、習い事「プログラミング」が本当に役に立つのは習っている子ども自身の基礎能力の成長に対してだという。

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システム会社を経営する田中さん

「21世紀を生き抜く子どもたちには、低年齢から『ロジカルシンキング』を身につけて欲しい。この能力があれば、人生の選択肢を増やすことが出来る。エレメンタリーで子どもたちが習っているScratchは、プログラミングを覚えるというよりは『解決の手順を覚える』というもの。物事を考えるとき、何をどう組み立てていくかということを学んでいる。スポーツ系であれ文化系であれ習い事の目的は、状況を分析して、上達するための方法をどのように組み立ててれば良いかを考えること。それが『ロジカルシンキング』なんです」と田中さんは語る。

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笑顔で指導する西本さん

続けて西本さんは、「学びにおいては、小さい時に投資した方が効果は大きいと言われます。最近Grit(やり切る力)が注目されていますが、プログラミングは、トライアンドエラーを繰り返してチャレンジしたり、作り上げたときの達成感を味わえたり、Gritを身につけるのに向いています」と、低年齢でプログラミングを学ぶことのメリットを強調する。

習い事「プログラミング」では、学習塾のような明確なエビデンス(偏差値の向上など科学的根拠)を示すことは難しいが、プログラミング学習やプロジェクト参加、発表という教室活動を通して、「ロジカルシンキング」「プレゼンテーション」「コミュニケーション」などの能力向上が期待できるという。

「答えの出し方を論理的に学ぶ」プログラミングで身につく能力は、これからの社会で求められる「課題解決能力」の向上に必ず役立つはずだと、西本さん、田中さん口をそろえて言う。

「プログラミングが君の夢を叶えてくれる」

教室終了後、子どもたちに感想を聞くと、どの子の口からも「楽しい」「面白い」という答えが返ってきた。何が楽しいかと問うと「自分で考えたものが形になるから」と答えてくれた。

bkg-08小学校3年生の男の子を迎えに来た父親に話しを訊くと、「ゲームを好きでやっていたので、プログラミングを習わせたら将来の役に立つと思い、ワークショップに参加した。やってみたら『楽しいからやりたい』というので、スクールに入った。習い事と考えているので上のクラスも継続させたい。家で新たにPCを買い与えたら、Scratchに嵌まっている。ゲームでも、Scratch同様に自分で作るものに興味を持ち『マインクラフト』や『スーパーマリオメーカー』をやり始めている」と、プログラミングを習い始めてからの変化を語ってくれた。

bkg-07父親としては当初、将来SEになることを期待しているわけではないが、社会人になればPCは絶対必要になるから、「やっておいて損はない」くらいの気持ちだったという。しかし最近では、プログラミングの考え方が分かっていればどんなビジネスにでも役に立つのではないかと思い始めたという。

父親自身は最近、営業職から本社業務職に異動となり不慣れな表計算ソフト相手に、苦労の毎日だという。「子どもの方は、家での日常会話で『分岐』『ループ』などのプログラミング用語を使ってくるんですよ」と、笑顔で答えてくれた。

bkg-05「BUILDER KIDS GARAGE」は現在、第1第3土曜日に「ワークショップ」、第2第4土曜日に「スクール」を開催している。10月からは月曜日の「スクール」も開始した。生徒は横浜だけでなく、横須賀、町田、相模原など遠方からも通ってくる。今後は、生徒数に応じてクラスも教室も増やしていく予定だ。

「将来的には、レベルの違う人が一緒にいてもいい、いたいだけいてもいいというスクールにしたいし、学校や学童と連携したプログラミングの『学びの場』も作りたい」と西本さんは夢を語る。

それは、「プログラミングが君の夢を実現する」というスクールの目標を、一人でも多くの子どもたちと共有したいからだ。西本さんや田中さんのような指導者との出会いが、プログラミングを「21世紀の習い事」らしくしていくのだろう。

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