2014年3月24日
産業技術大学院大学ほか/iPadと手書きノートアプリを使った協働的な学びを体験
産業技術大学院大学とiOSコンソーシアムは21日、e × e(イークロスイー)の体験型イベント第二弾「iPad×ICT 次世代教育を体験しよう!」を、東京・品川の産業技術大学院大学で開催した。
「e × e」とは、企業と教育者の交流グループ。「教育(educator)」×「(事業)enterprise」」の略で、それぞれを連携し力を掛け合わせた結果を最大化するという意味がある。
会場にはiPadが1人1台づつ用意され、教育関係者や教育関連企業ほかの参加者50名は「生徒」となって、最新サービスや模擬授業を体験した。
まず、MetaMoji 営業部 新開龍一郎氏が登壇した。
MetaMojiは、文字や図形を自由自在に入力し編集することができる、タッチスクリーンを搭載したモバイル端末向け手書きノートアプリ「Note Anytime」と、画面を共有して閲覧・編集ができる「Share Anytime」等を提供しており、それらの特徴を紹介した。
「Note Anytime」は、OSを選ばず使用でき、文章作成・表計算ソフトの様に特定の用途に向けたものではないため汎用性が高い点が特徴で、紙と鉛筆を進化させる新世代のデジタルノートとして2012年9月から提供を開始したという。
次に、玉川大学工学部 小酒井正和准教授が登壇。小酒井准教授は、同学で経営戦略分析等を専門に教えている。今回は「会社とは誰のものか」を設問に掲げ、「Share Anytime」を使った模擬ゼミナールを行った。
参加者らはそれぞれiPadで「Share Anytime」を開き、「株主、顧客、経営者・従業員」の中から答えを選び、タッチペンであらかじめ用意されたシートの枠内にその根拠となる理由を書き込んでいく。
それぞれの画面には自分が記入した内容とともに、全員のコメントが書かれていくところが映し出されるため、他人の意見を確認することができる。
一つ一つの回答や理由に対して小酒井准教授が逐次コメントを出しながら講義は進められ、参加者は他人の意見や小酒井准教授のコメントをもとに、さらに考えを深めていく。
小酒井准教授は「Share Anytime」などICT機器を使った授業について、「多様な意見に触れ、お互いの解釈の違いを理解することで、新しい知識や知恵を生み出すことができる」とそのメリットを語った。
また、古河市立古河第五小学校 平井聡一郎校長、鈴木教諭、菅原教諭が、「ICT機器活用をキーワードにした学校改革の取り組み」を紹介した。
古河第五小学校では、ICT機器活用による授業改革を目標に掲げ、2012年度からタブレット端末、電子黒板等の段階的な導入を進めてきた。
2013年度には、3年~5年生を対象に1人1台タブレット端末活用の実証研究に取り組み、その結果、児童たちの画像・文字・音声情報を効果的に構成して表現するといったiPad活用スキルは飛躍的に向上したという。
また、家への持ち帰りを可能として反転授業に近い家庭学習を始めたほか、児童一人ひとりのデータを管理するためGoogleAppsによるクラウドでのデータ保管や、「Share Anytime」を授業で活用することで思考の共有を行うなど、授業の質的転換を図る試みを進めている。
平井校長はこれまでの取り組みを振り返り、「ICT機器はあくまでツールであって目的ではない。児童の思考を助け、教科の狙いを達成するためのツールであり、求められるのは教師の授業力だと実感した」と語った。
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