2013年12月26日
国語授業活用ICT研究会/書画カメラなどを活用した国語授業でのICT活用例
国語授業活用ICT研究会は23日、「第2回 国語授業ICT活用研究全国大会」を東京・文京区の筑波大学附属小学校で開催した。
「授業で国語の力をつけること」を目的に、その手段としてICTをどのように活用すればよいのかについて、ICT機器を使った授業を実践している教員らがその報告・提案を発表するもので、会場には小・中学校教員・学校関係者らが参加した。
授業でのICT活用は、「写真や図表で(児童らに)明確な指示ができる」「見せながら分かりやすく説明できる」「関心や意欲を高めることができる」「知識や技能を定着させることができる」「情報収集ができる」などのメリットがあると言われている。
日本語を正確に理解することや思考力・想像力・言語感覚を養うことを目的とした国語という教科において、例えば、論理的な読み方を教えることを狙いとする「読むことの授業」ではどのような点を取り上げ、ICTをどう使えば効果を得ることができるのか。この催しはそうした疑問に答える実践的な内容となった。
提案授業は、筑波大学附属小学校の白石範孝教官が担当。1年生の児童40名が参加し、「絵本『りんごがたべたいねずみくん』を読む」の単元を行った。
授業の狙いは“繰り返し(リフレイン)を学ぶこと”。
授業で使われたのは、プロジェクターと書画カメラ、タブレット。特に書画カメラによる絵の提示の仕方には狙いに即した工夫が凝らされている。
話の進行と同時に児童らに絵本の紙面全てをプロジェクターで見せることは、作品を文章で読みながら驚きや面白さを楽しむという面では課題が残る。そのため、書画カメラで話の進行に合わせて絵の一部分をクローズアップして提示する手法がとられた。
プロジェクターに映し出された一場面だけの絵と文章から、児童らは想像力を働かせ、次にどのような展開になるのだろうといった様子で授業に集中していくのが分かる。
その後、パネラーを迎えての授業協議会では、“繰り返しを学ぶ”という狙いに対し、教材の中でいくつかの繰り返しパターンがあり、そのどれに“焦点を当てる”のかというような具体的な話し合いが行われた。
ICT活用については、「ICT機器は、写真や図版での“内容理解のためのイメージ作り”も有効だが、“文章構造・文章の情報を見せること”に重点を置きたい(関西学院初等部 野村真一教諭)、“言葉の仕組みを映し出せているのか”という点にこだわりたい(山口県下関市立小月小学校 香月正登教諭)、聞く力の弱い子などさまざまで、教師の語りかけ・発話が大切(青森県八戸市教育委員会 花生典幸指導主事)といった意見が交わされた。
午後には、3つの教室に分かれ「教材研究講座」を行った。野村教諭による高学年向けの講座では、ICTを活用して文章構成を捉えさせる授業方法を紹介。プロジェクターで映しだした文章を枠線やマーカーでブロックに分けることで、全体構造を視覚的に把握することができる点を説明した。ICTにより、「常に文章にアクセスできることで指示や共有が簡単にできるようになる」と述べた。
また講演では、筑波大学附属小学校の桂聖教官が、“論理”を授業の目標に据え、視覚的な問題提示によって問いを引き出す「課題の共有化」とともに、視覚的にすっきり理解できるようにする「理解の共有化」が図れると、ICT活用のメリットを語った。
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