2014年11月20日
日野市立平山小学校/「ICT絆プロジェクトFAINAL公開研究会」を開催
東京都日野市立平山小学校は8日、「ICT絆プロジェクトFAINAL公開研究会」を開催した。当日は、早くからICT教育に取り組んできた平山小学校の授業を見学できるとあって、定員の300名を超す参加者が集まった。
平山小学校は、日野市教育委員会研究奨励校、文部科学省研究開発学校、総務省「地域雇用創造ICT絆プロジェクト」指定校などを受け、これまでICT教育に取り組んできた。
21世紀に必要な資質や能力を身に付けさせるため、1人1台のタブレット端末などを活用し、教師が一方的に教える授業から、子どもたちが主体的、創造的に学ぶ授業への転換に挑戦している。
公開研究会では、全学年と特別支援学級のICTを活用した授業を公開した。
平山小学校では、学習場面に応じたICTの使い分けを行っており、例えば、2年3組の算数の授業では、インタラクティブスタディという個別学習を支援する学習ソフトを活用。児童は、学習ソフトの問題をノートで筆算してから、答えをタブレット端末に入力していく。すると、コンピューターが自動で判定を行うとともに、学習履歴をもとに個々の能力に応じた出題を行い、児童は自分のペースで発展的な課題に取り組むことができる。児童がどこかでつまづいた時には、教師がタブレット端末に表示されたクラス全体や一人ひとりの理解状況を確認しており、随時サポートを行う。個別学習の中に、ICTを利用して教師と児童のコミュニケーションが生まれるように設計されていた。
同じ算数でも、4年3組の授業ではデジタル教科書を使用。しかも、児童たちはデジタル教科書を手にするのはその日が初めてだという。まずインタラクティブスタディなどの学習ソフトとデジタル教科書の違いを理解しながら、試行錯誤しながらその使い方や機能を見つけていく。見つけたツールを班やクラスで共有しながら、授業の課題である複合図形の解の求めるのに活用した。最後には複合図形問題の解き方を班で話し合ったり、電子黒板に掲示して発表を行い、クラス全体で意見を交換。教科の授業の中で、ICTの活用能力を育む特徴的な内容となった。
5年2組の国語もデジタル教科書を活用した授業だった。こちらは、デジタル教科書の朗読を読みあげる機能を使い、文字を読むだけのときと比べて心情にどのような変化があるのか考えた。また、児童自身の朗読とプロの朗読を聞き、心情にどのような違いが現われるのかも比較。さらに、朗読を聴き、気になった箇所に書き込みを行い、そのデジタル教科書を児童同士で見せ合って話し合う、 そうしたコミュニケーションを通して、読み取りにどのような変化があったのかを発表。デジタル教科書を活用して物語の理解力を深めるとともに、電子書籍の特性を知るという内容となった。
ほかにも、見通しの悪い交差点を安全に渡るにはどうすればいいのか考えビデオを作る授業や、4枚の板を組み合わせてさまざまなかたちを作り、それをタブレット端末で撮影して比較する授業など、ICTを活用したさまざまな取り組みを公開した。
公開授業前には、慶應義塾大学の村井純環境情報学部長が、「俺の小学校6年。そして今日まで。そしてこれから。」と題した特別授業も行った。
また、全体会では、信州大学の東原義訓教授のコーディネートのもと、平山小学校の実践報告のほか、放送大学の中川一史教授、東北大学大学院の堀田龍也教授によるリレー講演を実施した。
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