2015年7月27日
Windowsクラスルーム協議会/「合理的配慮へのICT活用」推進プロジェクトを発足
Windowsクラスルーム協議会は24日、障害者差別解消法施行を前に、教育現場での「合理的配慮へのICT活用」推進プロジェクトを発足したと発表した。併せて、その取り組み内容を明らかにする「教育における合理的配慮へのICT活用推進セミナー」を、東京・千代田区の霞が関会館で開催した。
合理的配慮とは、障害のある人も平等に学びや社会参加の機会を得るための法的権利保障のこと。たとえば、上肢に障害があり鉛筆で筆記することが難しい子供が、スイッチ等を使って学習するために教室へPCを持ち込むこと等が具体的手だてとしてあげられる。2016年4月1日に施行予定の「障害者差別解消法」のなかで、障害のある人に対して、障害を理由として差別が禁止されているのと同時に、「合理的な配慮がなされなくてはならない」ことが定義されており、教育現場でどのような配慮を、どの程度すべきかが議論となっている。
今回のセミナーでは、文部科学省鈴木寛大臣補佐官や、同省初等中等教育局井上惠嗣特別支援教育課長らが登壇し、特別支援教育の概念や合理的配慮への取り組み方等について講演した。
また、東京大学先端科学技術研究センターの近藤武夫准教授が「学習に困難のある児童生徒の現状とICT」をテーマに講演した。
同センターでは、多様な障害のある児童生徒のメインストリーミング(主流化教育)とリーダー養成を目指すプロジェクト「DO IT Japan」を2007年から継続して行っている。たとえば視覚障害、肢体不自由、学習障害のある児童生徒は、学習する現場において、その他大勢の児童生徒が使う印刷物にアクセスしにくいという傾向を持つ。
こうした印刷物障害をもつ児童生徒は、「内容を理解できないのではなく、アクセスできなかったから」と近藤准教授は説明する。概念マッピングによるノートテイクや音声読み上げ機能の利用、キーボードによる受験や録音による記録、写真撮影による板書の記録といったように、ICT機器を使うことで読み書き支援を行うことができるとその重要性を強調した。
次に、日本マイクロソフト技術統括室の大島友子氏が今回のICT活用推進プロジェクトの内容について、つくば市教育委員会柿沼宣夫教育長がつくば市での教育ICTへの取り組みについて説明した。
主催団体であるWindowsクラスルーム協議会は、日本の初等・中等教育におけるICT導入・利活用を推進する、業界の枠を超えた企業で構成される団体。
今回のプロジェクトは、障害があり支援が必要な子供たちに対する合理的配慮の具体的手だてとして、ICTが果たす役割について実証研究を進めるもの。活動としては、つくば市との連携による実証研究の実施、教育委員会や学校に向けた相談窓口の設置、合理的配慮を提供するための支援技術製品についての相談受付・貸出や、講演・セミナーの実施がある。
つくば市との実証研究では、日本マイクロソフトと、学習塾Leafを運営するLITALICO、NTT東日本がつくば市と連携して進める。通常学級において学習効果のあるICT機器などについての教員研修や特別授業、ルール整備を、2016年3月まで継続的に行い、最終的には報告会を開催し、研究の成果を発表する予定。
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