2016年3月9日
大学生団体が中高生向けセキュリティワークショップの活動報告
日本スマートフォンセキュリティ協会(JSSEC)啓発部会は、大学生によるボランティア学生団体Re:inc(リンク)と共同で、2015年春から中高生向けの「大学生と生徒たちが一緒に考えるセキュリティワークショップ」を開催し、その活動内容等について7日に東京・千代田区のデジタルアーツ本社で発表した。
これは活動概要やワークショップに参加した生徒たちのスマートフォンの利用状況などのアンケート結果をまとめた「スマートフォン・セキュリティワークショップレポート2015」のリリースに合わせて行われたもの。
はじめに、JSSEC啓発部会小池勉部会長が同協会の活動内容について説明を行ったのち、中央大学の学生でRe:inc代表を務める窪田大悟さんが発表を行った。
Re:incは学生を中心としたサイバー犯罪ボランティア団体で、現在、慶應義塾大学、中央大学、東京大学、明治大学の学生15名が参加している。
2015年3月から、「大学生によるセキュリティワークショップ」活動を開始。参加した生徒から事前にアンケートを取り、小中高校のインターネット利用状況や意識調査・分析を実施した。ワークショップ実施校は、東京都立高校1校、神奈川県立高校1校神奈川県私立高校1校、東京都区立中学校1校、神奈川県市立中学校1校の5校。回答者数は745名。
まず、使用している端末の種類を尋ねたところ、スマホ所有が67%、タブレットを持っているが9%で、フィーチャーフォン所有の14%と合わせると90%がモバイル端末を持っているという結果となった。
利用ルールを決めているかという設問には、54%が決めていると回答。SNSで誹謗中傷をしたことがあるかという問いに対し、5%の生徒が「ある」と回答した。逆に、SNSで嫌な思いをしたことがあるかと聞いたところ、「ある」の回答は19%となった。内容としては、「悪口を書かれた」が5件、「既読無視やブロック」が5件のほか、「文字だからうまく伝わらずトラブルになった」「自分に関係のないケンカに巻き込まれた」といった事例もあった。
次に、現実社会で面識のない人とSNSやLINEで連絡を取ったことがあるかという問いに、3割の生徒が「ある」と回答し、そのうち4割の生徒が「実際に会ったことがある」と答えた。
また、ワークショップの反響については、77%がスマホ利用を考えるきっかけになったと回答。生徒からは、「(話をしてくれる大学生は)歳が近い分、親に言われるより納得できる」、「身近な視点で考えることができた」といった声があったという。
今後の課題としてRe:inc代表の窪田さんは、実際には大学生と生徒の間にもジェネレーションギャップはあると述べ、いつでも大学生が仲介できるわけではないという点に触れて、「ワークショップをきっかけに大人と生徒間でも会話を始めてほしい」とし、活動メンバーの拡大と次世代育成を図るとともにRe:inc以外の団体とも連携していきたいと語った。
なお、JSSECとRe:incは、「スマートフォン セキュリティ シンポジウム」を東京・千代田区のTKPガーデンシティPREMIUM神保町で12日13時半から17時30分に開催する。
千葉大学教育学部 藤川大祐教授による基調講演「子供たちのスマートフォン利用状況と課題」のほか、Re:inc代表窪田さんによる事例紹介、東京都立練馬高校情報科 正木成昭主幹教諭による講演を行う予定。
参加は無料。定員は200名で、事前の登録が必要となる。
関連URL
「スマートフォン セキュリティ シンポジウム」
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