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2016年6月15日

littleBits使った“探プロ!”でSTEM系アクティブ・ラーニング

littleBitsをご存知のことと思う。でも、あなたの認識ではパーツを磁石でくっつけて電子回路を作る、ちょっと気の利いた工作ツール、といったものではないだろうか。

プログラミング無用でさまざまな電子デバイスを、創造力に任せて好きなように作れるSTEM系の贅沢なおもちゃ。たしかに、そんな風に記者も考えていた。

日の出ファクトリー

日の出ファクトリー

littleBitsのワークショップと言えば、子どもたちがわーっと集まってがーっと一気にもの作りに邁進するイメージなのだが「ちょっと面白いワークショップやるので、観に来ませんか」とお誘いの声。写真も自由に撮らせてもらえるというので、出かけてみることにした。

デジタルハイクが企画する「littleBitsで公園を作ろう 世界をプログラミングする“探プロ!”<前編>」は11日、東京・豊島区東池袋の日の出ファクトリーで開催された。

“探プロ!”ってなんだ。

“探プロ!”=「探究型プログラミング学習」とは、身近な社会を通じてプログラミングの概念を学び、未来を創造する力を身に付ける次世代の子どもたちのためのプログラミング学習。次世代の子どもたちに必須の「21世紀型スキル(=未来を創る力)」を総合的に修得することを目指すものだという。littleBitsには、プログラミングの要素は無いはずなのだが。

小笠原記子先生

小笠原記子先生

昔懐かしい「始業の鐘」とともにワークショップの始まり。はじめに登場したのは、“探プロ!”を広める活動をしている小笠原記子先生。テーブルに置かれたホワイトボードと切り抜かれた服や小物のシールを、2組でグループ分けして、そのグループが何のグループかを当て合うという課題。

ひとつのグループは自分たちの意見がまとまりやすい「明確なグループ分け」を目指し、もう一つのグループは相手のチームが読み解けないような「分かりにくいグループ分け」を目指して話し合いを進めていた。

杉中智子先生

杉中智子先生

最初のゲームで「グルーピング」の手法を学んだ子どもたちの前に次に登場したのは、公園作りのプロ、杉中智子先生。いよいよ本日の本題である「公園作り」がはじまる。

「みんなの行ったことのある公園には、どんなものがあったかなあ」と、杉中先生が子どもたちに問う。「山」「森」「池」「サイクリングコース」「ビアガーデン」「じゃ、バーベキュー」。手強い。公園と言えば「ブランコ」「シーソー」「ジャングルジム」「滑り台」と、いわゆる遊具系が出てきてもやさそうだが、簡単に大人の都合に合わせてこない。杉中先生が辛抱強く子どもたちから聞き出して、なんとか「緑のある公園」「スポーツやいろいろな目的の公園」の他に「遊具のある公園」というグループ作りに成功。

いよいよlittleBitsを使い「遊具のある公園」をテーマとした公園作りがはじまる。

「シーソーとブランコ」

「シーソーとブランコ」のアルゴリズム

「さあ、じゃあlittleBitsを使って“遊具のある公園”を作ってみよう」
一斉にパーツの山にとりつく子どもたち。何を作るのか決めているのかぁ。
そんな中、静かになにかを書いている少年。先生に言われたとおり、発表の時に必要なlittleBitsで作る遊具の設計図になる「アルゴリズム」を書いていた。アルゴリズムは、自分が考えている遊具を作るために必要なlittleBitsのパーツやそれを組み合わせていくための手順書「回路図」だ。

dh-05たしかに>littleBitsではプログラミング言語を使用することはないが、自分のアイデアを形にするためのパーツを選択し、最終的な動作を実現するために「アルゴリズム」を構築していく手順は、まさに“プログラミング思考”、「探究型プログラミング学習」そのものだといえる。

図面を描いていない子どもたちも、頭のなかには既にイメージが出来上がっているのだろう。ものすごい集中力で、一気に作り上げていく。子どもたちの勢いに増して凄いのが、同伴の保護者やチューターのお兄さんたち。子どもの作っているのに首を突っ込んでみたり、自分たちでも夢中で作ったりしている。

出来上がったら、一人ひとり作ったものについて、どんな動きをするのか「アルゴリズム」で説明する。

「光る上り棒」

「光るのぼり棒」

「滑り落ちたらビリビリする滑り台」

「滑り落ちたらビリビリする滑り台」

「夜でも出来る池のあるうんてい~落ちたらファンで乾かす~」

「夜でも遊べる池のあるうんてい~落ちたらファンで乾かす~」

 

この日のワークショップは、先生が考える方法を教授し、グループで話し合って学習、グループ間で評価しあって、みんなでアイデア出してテーマを決め、一人ひとりが作って、発表する、という流れ。これは、アクティブ・ラーニングと呼んでもよいのではないだろうか。

グループワークする子どもたち

グループワークする子どもたち

ワークショップの最後に小笠原<先生は子どもたちに「きょうみんなが学んだのは4つの力です。“考える力”“ものを作る力”“社会を知る力”そして“仲間と協力する力”です」と話して学びを確認した。たしかにその通りで感心した。じつによく出来たプログラムだ。

次回の「公園をつくろう」の後編では、「3つに変化する公園」をグループで作るということ。3つとは“普段使っている公園”“災害時に利用できる公園”“夜でも遊べる公園”だとのこと。小学生が防災機能のある公園をどんな風に作るのか、次回の“探プロ!”も実に楽しみである。

因みにlittleBitsはプログラミングに使えない的な書き方をしたかもしれないが、Arduinoモジュールを使ってプログラミンができるらしい。お試しください。

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