2017年1月31日
Web活用で志願者2万人増!入試を変える東洋大学の次なる挑戦
Web活用で志願者2万人増!入試を変える東洋大学の次なる挑戦
~「Web入試」で自宅からプレゼン面接~
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2020年に向かって、大学入試が大きく変わろうとしている。昨年3月に、文部科学省の「高大接続システム改革会議」が公表した「最終報告」では、大学入学者選抜について「高等学校教育と大学教育とを接続し、双方の改革の実効性を高める上で重要な役割を果たすものであり、入学希望者が培ってきた『学力の3要素』を多面的・総合的に評価するものに転換する」と示されている。
現行のセンター試験は廃止され、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」や「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」による選考に移行することになっているが、具体的な内容はまだ明らかになっていない。
国が進める「次期学習指導要領改定」や「高大接続改革」はもちろんだが、第4次産業革命をはじめとした社会環境の変化、デジタル化やICT活用による受験生の生活・学習環境の変化も激しく、大学受験のあり方にも大きな影響をもたらしている。
そんな中、東洋大学ではここ数年で「WebでやれることはWebでやる」をテーマに、大規模な入試改革に取り組んできた。紙の学校案内はすべて廃止、資料請求も廃止、Web動画で体験授業、Web出願、Web入学手続き。極めつけは、今年度からはじめた「Web入試」。
『東洋大学には、紙の「願書」も「大学案内」の資料請求もありません。
学びの最新情報や入試に必要な情報や出願も、すべてTOYOWebStyleに集めました。』
と、はじまる東洋大学の入試情報サイト。
なぜそこまで「WebでやれることはWebでやる」に拘るのか、改革を進める肝はどこか。東洋大学理事の加藤建二入試部長と情報システム部の青山敦史次長に話を訊いた。
Webにした一番の理由は、情報の「量」と「新鮮さ」、それに加えてWebならではの「距離問題」の解消だという。紙のパンフレットは毎年9月頃から制作をはじめて、翌年3月に納品。4月から使い始めて、ピークの秋頃には、掲載されている情報は既に1年以上も前のものになってしまう。情報量も、紙だと46学科に4ページずつという割り振りが精一杯で、とても充分とは言えないのに、郵送は大変な手間だ。「WebでやれることはWebでやる」ことで、いつでも、どこでも、海外からでも、誰もが新鮮な情報を閲覧することが可能となったのだ。
広報活動のコストについて加藤部長は、「4年くらい前までは我が校の広報活動も紙中心でしたが、受験生がデジタル化しているのにこのままでいいのかという思いがありました。また、資料が一括請求できるポータルサイトの影響で、2013年までの5年間で資料請求数が2.5倍に。制作費も2.5倍、郵送料も2.5倍掛かりましたが、志願者は増えませんでした」と、課題があったと語った。
また、毎年制作していた約60万部のパンフレットを積み上げると、加藤部長の試算では、その高さは4000メートルを超えるという。受験生に利用されたものでも、高校の倉庫で眠ったままのものも、毎年それだけの量の紙が入試活動終了とともに捨てられることになる。そうした「環境問題」も一つの要因になったという。
そうして取り組んだWeb活用の到達点とも言えるのが、Web体験授業と、今年度導入したWeb会議システム「WebEx(ウェブイーエックス)」を利用して行われる「Web入試」だ。来春新設される国際学部や情報連携学部を中心とした推薦・AO入試や外国人留学生入試を、日本全国津々浦々、世界各国の隅々までインターネットが繋がるところならどこからでも受験可能なシステムで、日本初の試みである。
「WebEx」は、シスコシステムズ社のWeb会議システムだが、これは、利用者パソコンへのソフトウエアインストール、サーバーの購入や構築、メンテナンスなど一切が不要で、必要なときにすぐに利用できる。もちろん、参加者のパソコン上にある資料やアプリケーションも共有できるから、プレゼンテーションも容易に出来る。
国内向けの推薦・AO入試におけるWeb受験の方法は、はじめにWeb体験授業にある課題動画を視聴してからプレゼン資料を作成、「WebEx」を使ってプレゼンテーションや質疑応答、面談などを行って「Web入試」とするというもの。
外国人留学生入試では、語学力など基本能力を書類選考した後、「WebEx」を使って面談などを行う。
「Web入試」1年目の今年度、9月~11月の3カ月間で約20名、12月に約50名が受験した。その全員が海外受験者だという。ヨーロッパはフランス、ブルガリア、イギリスなど。アジアでは中国、台湾、タイ、ミャンマー、ベトナムなどから受験者があった。
海外との時差、現地の不安定なネットワーク状況、対応する教職員の英語力、受験者の語学力など課題も多いが、スーパーグローバル大学指定校の責務として積極的な受け入れを進めていくという。
今年度は志願者がいなかった国内からの「Web入試」について加藤部長は、「1年目と言うことで認知や理解が進まなかったのでしょう。ただ、遠隔地からのオープンキャンパス参加や受験の場合、受験料よりも交通費の方が高くなることも希ではなく、受験を諦める生徒もいます。地方における情報格差や経済格差を解消するために“Web出願”や“Web入試”は効果的だと考えています。本学の建学理念の中に“「余資なく、優暇なき者」のために”というのがあります。学ぶお金や時間の無い人に学ぶ機会を提供する、という考えですがWeb活用入試は、まさにその理念に叶うものです。まだまだ、挑戦します」と、Web活用で入試を変える意気込みを力強く語った。
また、最後に青山次長・加藤部長から、「Web入試」だけではなく、今後は東洋大学内についてもキャンパス間をつなぐ等、教職員への働き方改革へ向け、「WebEx」をはじめとするユニファイドコミュニケーションの活用を積極的に推進したいと話があった。
今回採用した「WebEx」は利便性の高さが一番の特徴であるが、専用機器を利用して高品質な映像や音声で臨場感のある会議が行えるシスコのTV会議システムとクラウド上での相互接続も可能である。
本「Web入試」における「WebEx」の納入・運用フォローを実施したのは、ユニファイドコミュニケーションシステムの豊富な構築実績を有するユニアデックス社である。ユニアデックス社は、東洋大学のPC教室やネットワークインフラの構築を担い、直近では白山キャンパスナレッジスクエアの仮想デスクトップシステムや板倉キャンパスのネットワーク整備を実施している。
今回、「Web入試」について、手順作成や各地との接続検証試験等を9月~12月の受験期間中支援したが、今後は、東洋大学内で検討されている、ユニファイドコミュニケーションの活用に対し、「WebEx」・TV会議システム等を組み合わせて提案していく。
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