2018年2月28日
「隠れ先生を学校に送り込もう!」こどもプログラミング・サミット2018
福井県を拠点に活動するこどもプログラミング・サミット実行委員会は24日、「社会で生み出す日本の未来」をテーマに、「第3回こどもプログラミング・サミット2018 in Tokyo」を国立科学博物館で開催した。
会場は、プログラミング教育を自分たちでなんとかしたいとの思いを持つ参加者約170名で埋まり、「現在の小学6年生が社会人になる2025年に向けてプログラミング教育はどうなるべきか」を議論、熱気に包まれた。
パネルディスカッションには、小金井市立前原小学校の松田孝 校長、リクルート次世代教育研究院の小宮山利恵子 院長、アイ・オー・データ機器の細野昭雄 会長、武蔵野学院大学 国際コミュニケーション学部の上松恵理子 准教授、LITALICOの毛利優介 LITALICOワンダー事業部 マネージャー、CoderDojo Japanの宮島衣瑛 理事が登壇。
アフレルの小林靖英 社長をモデレーターに、それぞれ、公教育現場、民間教育、海外事情、学術分野、企業と社会連携などの視点から、プログラミング教育の現状や課題を述べた。
その後、登壇者も参加してグループディスカッションが行われた。
松田校長が参加したのは、主に公教育の現場でプログラミング教育をどうしていけばいいかを語り合うグループ。冒頭、松田校長から「もう公立学校は変われないと思う。絶望しそうだ」という過激な発言があり、参加者は驚きの表情を見せた。
日頃から、「ICT活用教育、STEM教育、プログラミング教育、どれもそれ自体が目的なのではなく、こうした新しい学びを取り入れることで、成功を収めたとされる日本の20世紀型教育を21世紀型教育に変革する“教育改革”こそが重要だ」と力説する松田校長の発言だけに、「ええ~っ」という反応が起きた。
しかし、参加者からは「将来自分の目指すものも決めず、普通科の高校に行って、いい点取っていい大学へ行っていい会社に入るという、20世紀型進路決定プロセスを変えなければ初等教育も変われない。そのためには“普通科高校の廃止”が効果的だ」とか、「キャリア教育を中心に捉え、高校に行くよりも高専に行った方が将来に役立つということを啓発する必要がある」といった、大学受験至上主義的な教育システムの改革が必要だととの意見が出され、フィンランドやドイツでの体験や事例を紹介する参加者もいた。
また、「トロイの木馬作戦はどうか」というアイデアも出た。現場の教師が変われないなら、外部からプログラミング先生を送り込み内部から変革しようというもの。「小学校の教育は、プロフェッショナルの教師でないと絶対出来ない」と主張する松田校長も「教員資格があれば、講師という正式な立場で学校で教えることも可能だ。このグループの参加者全員が教員免許を取得して学校にいってプログラミングを教えればいい。通信教育2年で取得できるよ」とアドバイス。メンバーからは、「企業が2年間応援して社員に教員免許を取らせればいい」とか、「社員の採用募集で“教員資格がとれる会社です”っていうのもいい」などの意見が出された。「どこの大学の通信教育がいいですか」と、松田校長に質問する人も。「私、教員免許持っています」と、保護者の立場で参加した人から手も上がった。
グループディスカッションの発表後のパネルディスカッション第2部で、会場に「この中に現役の先生はいらっしゃいますか。先生の資格を持っている方はいらっしゃいますか」と問うと、両方数名ずつ手が上がった。
教員採用試験の倍率は全国平均で約4倍程度といわれる。教員資格を持っている人の4人に3人は教師以外の仕事をしていることになる。IT系や教育産業で働く教員資格を持った“隠れ先生”の社員を、プログラミング先生として学校に送り込むという企業のCSR活動も、まんざら夢物語ではないように感じられる。なにより、2020年からは、「社会に開かれた教育課程」がはじまるのだ。
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