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2021年7月26日

「日本は最もネットいじめが少ない国?」=NordVPN調べ=

NordVPNは、オンラインいじめに関する世界の主要な機関のいくつかから、一連のデータセットとレポートを収集・分類した結果をまとめ、21日に発表した。

今回の発表資料では、日本と世界のネットいじめについての調査や、インターネットリテラシーの世界基準のDQ(デジタルインテリジェンス)に関する指標を、インフォグラフィックを使って分析している。


文部科学省のデータによると、日本の子どものネットいじめは、2014年からの5年間で95%増と、増加の一途をたどっているという。2019年度の子どものネットいじめは、前年度比1590件増の1万7924件で過去最多。

しかも、SNSやLINEなどでのいじめは、外部から見えにくいこともあり、日本のネットいじめの実数は、発表件数よりはるかに多い可能性もある。

ところが、世界に目を向けてみると、日本は31カ国中「最もネットいじめが少ない国」という驚きのデータがある。

これは、世界経済フォーラムと連携の元、DQ Instituteによって2020年2月に発表された「The Child Online Safety Index (COSI)」のスコアの1つ。COSIは、世界各国の子どもたちのオンライン上の安全性を可視化する指標。

COSIの「ネットいじめ(Cyberbullying)」の指標は、子どもや青少年のネットいじめ行為への関与の頻度、ネットいじめで被害者になる頻度、ネットいじめの影響を受けた子どもの割合から算出。スコアが高いほどネットいじめが少ない国となる。

日本は「98」というスコアで世界のトップで、COSIの調査対象の30カ国で、ネットいじめが最も少ない国ということになる。

ただ、COSIは子どもたち自身のアンケート回答から算出され、実際にネットいじめの影響を受けた子どもが、正直に回答していないケースも想定される。よって正確には、「日本は子どもや青少年が、ネットいじめを最も少なく申告した国」と言ったほうがいい。

COSIの「規律あるデジタル利用(Disciplined Digital Use)」という指標では、日本の子どもは世界最高ランク。「規律あるデジタル利用」は、「過剰なディスプレイ視聴時間」、「SNSとゲームへの依存」、「子どものモバイル所有」の3つから構成されている。


「過剰なディスプレイ視聴時間(Excessive Screen Time)」は、TVやビデオゲームを含む電子機器のディスプレイ視聴が、週に40時間を超える子どもと青少年の割合を表しており、スコアが高いほど過剰なディスプレイ視聴時間の少ない国になる。

日本は世界2位で、子どものインターネット利用時間が他国に比べて低いことを示唆している。

「SNSとゲームへの依存(High Social Media & Gaming Activity)」は、スコアが高いほどソーシャルメディアやゲームに費やす時間が少ないことを示しているが、日本の子どもは世界で最もSNSやゲームに依存していないという結果になっている。

「子どものモバイル所有(Mobile Ownership for Children)」は、スマホを所有している子ども(8〜12歳)の割合を示しているが、日本は世界2位で、小学生のスマホ所持率が世界的にみて少ない状況がうかがえる。

COSIの「指導と教育(Guidance & Education)」という項目は、保護者や学校が子どもに適切なデジタル利用の指導を施しているかを評価するもので、日本は世界最低ランク。

日本の子どもがインターネットの安全な使い方について、家庭や学校で指導を受ける機会は、他国と比べて圧倒的に少ない状況となっている。

「保護者による指導スコア(Parental Guidance score)」は、子どものメディア利用に関して親がどのような影響を与え、指導しているかを測定。スコアが高いほど、保護者の指導のレベルが高いことを示しているが、日本は世界ワースト3位。

「オンライン安全教育スコア(Online Safety Education Score)」は、学校によるオンライン安全教育の提供状況を測定。スコアが高いほど、学校のオンライン安全教育のレベルが高いことを示しているが、日本は世界ワースト5位。

COSIのデータによると、ネットいじめの日本のスコアは世界トップとなる一方で、「デジタル・エンパシー(共感力)」については、世界平均を大きく下回っている。日本の子どもの「デジタル・エンパシー」は、30カ国中24位という結果になっている。

「デジタル・エンパシー(Digital Empathy)」の指標は、子どもたちのオンラインでの他者への思いやりに関する能力や知識を測定。共感に関する知識、ネット上の荒らしのメカニズム、オンラインで偏見を持たず思いやりのあるコミュニケーションを行うスキル、子どもが他人の感情にどの程度共感できるかを評価する「共感力」を主な基準として算出。

日本は、他国に比べ、ネットいじめは少ないのにも関わらず、デジタル・エンパシーの指標がこれだけ低いスコアになっている理由の1つとして、やはりオンライン安全教育のレベルが低いことが挙げられる。

また、共感力は他者との円滑なコミュニケーションに欠かせない能力の1つだが、日本は子どものコミュニケーション能力自体が核家族化の進行やITの発達によって低下しているとも言われている。

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