2022年10月5日
家庭学習の習慣化と意欲的な学びに「すららドリル」を活用/青森市立横内中学校
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教育のイノベーション計画を策定し、一早くICT整備に取り掛かった青森市。青森市立横内中学校でもICTの効果的な活用と教育改善に取り組んでいる。家庭学習の習慣化を模索していた同校では、2021年4月からAI×アダプティブ教材の「すららドリル」(すららネット提供)を導入した。現在、全学年が5教科を通して「すららドリル」を活用している。同校の横山 博校長、奈良佳彦教諭(美術・数学・3年生担任)、前森悠紀教諭(数学・2年生担任)、生徒2名に話を聞いた。
生徒も教員も「すららドリル」で新しい学びに邁進中
青森市立横内中学校は、2021年4月から生徒用端末にChromebookと「すららドリル」の活用を開始した。AI教材の導入に際しては複数の候補から検討し、機能や価格のバランスが決め手となって「すららドリル」の採用に至った。
同校では生徒の家庭学習の習慣に課題があった。ICT推進を担当する奈良教諭は、「すららドリルで1週間分の範囲を指定して家庭学習に取り組み、その範囲から学校でテストを週1回行うことを進めています」と話す。1日にどのくらい進めるかは生徒本人が計画を立てて行う。「すららドリル」であれば取り組めるという生徒も多く見られ、家庭学習の習慣化につなげられている。
一方で、紙でのワークを減らし「すららドリル」に置き換えていくことは、教員にとっても今までのやり方を転換するチャレンジでもある。「やはり私たち教員が意識を変えないといけないことを、いろいろな場で話をしてきました」と奈良教諭。長期休暇の期間も必ず「すららドリル」を課題に加えるよう、教科担任の先生たちに呼びかけているという。
「すららドリル」は従来の採点の手間が省けるうえ、容易に集計でき、すぐに結果を生徒に提示できるメリットがある。時間をかけないタイムリーな情報提供に生徒も励みになると思うと奈良教諭は話す。また、休んだ教員の代わりに別の教員が授業に入る場合でも、「すららドリル」を活用すれば学びを止めることなく授業ができる利点などもある。
青森市の中学校では同校が先陣を切って、様々な試行錯誤をしながら「すららドリル」を活用している。効果的な学習機会の創出を学校全体で推し進めている真っ最中だ。
苦手は繰り返して克服、理解できるから楽しい
2年生と3年生の生徒に話を聞いた。
数学などは見たことがない問題もあって、最初は「すららドリル」を難しいと感じたという2年生の鹿内(しかない)さん。今では、予習することで問題がある程度解けるようになるため「すららドリル」を積極的に活用、AIが苦手をピックアップして出題してくれる問題などは繰り返し行っている。英単語の学習も繰り返しできて、テスト前に役立つので好きだという。
化学反応の計算問題などが苦手だという理科でも、「すららドリルの解説は図がわかりやすくて、そのおかげでいい点数が取れています。すぐに答えが出るし正解すると嬉しいです。以前に比べて自分から進んでやろうという気持ちが強くなりました」と学習意欲が湧いている様子だ。今後も高得点を目指して「すららドリル」を活用していきたいという。
3年生の船木さんは、これまでパソコンに触れる機会があまりなかったという。今は、操作自体も楽しく感じている。「私も予習や復習に『すららドリル』を使っています。解説が詳しいので予習でも理解できます。間違ったり解くのに時間がかかったりした問題を繰り返しています」と話す。特に国語が好きだという。「普段の宿題や一斉テストであまり出ないような難問や、今まで読んだことがない物語なども収録されていて、興味深いものがたくさんあって好きです」。
苦手だった英語も興味を持てるようになった。「英語を話すと評価してくれる機能(スピーキングAI)が楽しいです。読み方がわからない単語も『すらら』は読み上げてくれるので、テストで点数が取れるようになりました」。受験にも「すららドリル」を活用して希望の学校に合格したいという。
同校は、学年やエリアを問わず全ての「すらら」利用者同士が総学習時間など努力を競い合う大会の「すららカップ」に参加し、2021年度学校対抗部門で全国2位の成績を収めた。「みんなで協力して結果が残せたので良かったです」(鹿内さん)、「参加したことでみんなの学習時間も増えたと思います」(船木さん)と、日頃の「すららドリル」の活用に加え、イベントに参加したことで、個人の学習習慣にも学校全体にも良い影響が及んだようだ。
帯学習や到達度テストにも積極的に「すららドリル」を活用
同校では、毎日10分間「すららタイム」と称した学習時間を設けている。こうした帯学習は青森市の学校では以前から継続されているが、同校ではこの時間に「すららドリル」を採用して生徒の学習習慣と学力向上に役立てている。前森教諭は、「2年生では、国・社・数・理・英の教科をローテーションで、1回につき4日間演習をしたら、その範囲から5日目にテストをしています。各クラスの平均点や高得点者の掲示をしたり、学年集会で表彰したりしています」と話す。
「すららドリル」は教員が生徒の取り組み状況をリアルタイムで確認できる。前森教諭がアナウンス機能を使って、個別に生徒へコメントを送信すると、ICTを介したコミュニケーションの新鮮さに生徒は驚いた様子を見せるという。単に課題を与えるだけではないやりとりが、学びを楽しく後押しする要素にもなっているようだ。
同校では、時代に合わせてCBT(Computer Based Testing)を進めていく方針とし、その一つとして到達度テストにも積極的に「すららドリル」を活用している。到達度テストでは、同じ問題で必ず再チャレンジをし、2回目、3回目と解いていく中で、1回目よりも点数が上がれば、それについて評価するよう取り組んでいるという。特に学習が苦手な生徒にとっては、自分の努力が認められ自信にもつながっている様子だという。
「すららドリル」は生徒のやる気アップに効果的だと思うと前森教諭は話す。「この範囲がテストとなれば、該当ユニットの正解が100%になるまで自分で練習することで、本番で点数獲得につなげられます」。また、学習方法に「すららドリル」の選択肢が増えたことにより生徒の学び方が変わったと思うとも話す。「すららドリルや紙のどちらでも宿題を出し生徒たちは取り組んでいますが、それ以外は、教科や単元によって自分に合う勉強方法を選んでいるようです」。
昨年は3年生の担任だったという前森教諭。当時、3年生の学年委員の生徒たちが中心となって立ち上げた取り組みは、「すららドリル」のクリアユニット数を毎週ランキングにして上位の生徒を廊下に掲示するというもの。受験勉強の一環として生徒から出たアイディアであり、受験の直前まで行ったという。こうした活動も、前述の「すららカップ」の好成績に自然と結びついたようだ。
教員の意識改革、持続可能な教育の条件は「簡単」であること
現在、GIGAスクール構想で示されたステップ1からステップ2へ、教科の本質に迫り学力の向上を目指して前進している同校。「すららドリル」の良さを十分感じるという横山校長は、「この良さを広めるためにも、より結果に結びつけ、ステップ2につなげていきたい想いがあります」と話す。
「きれいな組織や仕組みでなくても、奈良先生や前森先生のように、先生方が中心となってそこから少しずつ輪ができていけばいいと思います」。そして、「持続可能であるためには『簡単にやれること』が条件だと思います」と話す。
「私たち教員の意識が変わっていかなければいけない。ICT活用がたとえ目新しいものへの興味関心だとしても、子どもたちの心が向いているのであれば、それを離さないように、よりモチベーションを高めていける方法で子どもたちを導きたい。そうした指導法を私たちは学んでいく必要があります」とこれからの教員のあり方を説く。
また、個別最適化とは、「その生徒にとって最も良い環境を与えること。決して孤立させず、学び合い・教え合いがとても大切で、『つながり』や『みんなでやる』ことこそが協働的であり、学習意欲を向上させていくことではないかと思います」と語った。
「時代を生き抜くたくましさとは、学び続ける気持ちだと思う」と横山校長。個別最適な学び、学習習慣の定着、学力の向上、学ぶ楽しさなど、「すららドリル」はその原動力と教育改革の大事な一端を担っている。
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